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魔法と電脳の二重奏  作者: キューリ
ファイル「1」
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「29」移動式コンビニ


代わってクレハ、スズナ、ルカの3人は白雲堂を出て、リオの案内で変わったコンビニがある住宅地の奥へ進む。





「今日はこの辺りだけど…見つけた」







着いた先の小さな十字路の端っこには、コンテナの付いたトラックが止まっており、そのコンテナは片方だけ上に開き、様々な商品がコンテナ内の棚に並べられていた。


トラックの上部にプリントされているロゴは、英語でサニーフォレストと描かれていた。


聞いたことのないブランド名な為、個人経営なのは違いない。





そのトラックの周りには人が沢山来ていた。


トラックの中の棚に飾ってある商品を選んでは取り、いくつか取ったらそのままレジの方へ並んでいく。


トラックの上部にはカメラがいくつか設置されてり、万引きをすれば確実にバレるようになっている。


会計を終えた人は買った弁当の入ったレジ袋を持ってトラック内に置いてある電子レンジを使って暖めている。






この光景にクレハ達は何なのか分かった。





「コンビニの移動販売!?」

「うん。7時頃にこの辺りで止めて販売してるんだ。周辺にコンビニストアが無いのはこういうことなんだ。見たところ雑誌、たばこ、酒、レトルト食品は無いみたい」






リオが言うように、移動コンビニの商品は豊富な弁当、飲み物、お菓子、アイスクリーム等の食品が揃っており、文房具やノート、生活用品も必要最低限の物が取り入れられていた。


子供達はアイスクリームを、学生はシャーペンを、おばさんはゴミ袋を買いにと、他大勢も今欲しい商品を買いに来ている。


わざわざ遠くのコンビニに行かなくても、これだけ揃っていれば十分である。






「見た限り、人が多いですわね」

「そういえば、店員さんはどこだろう…」

「折角だから何か生活用品を買っておこうかな」

「ですわね」






4人はコンビニトラックの側に近付いた。


トラック内の棚を見ると、マイナーなポテトチップスやポップコーンが三種類ずつあり、弁当は幕の内、牛丼、ハンバーグやエビフライの入った洋食弁当等、合計六種類の弁当が売られていた。


ガラス堀の冷凍庫の中にはアイスクリーム、シャーベット等、マイナーで定番なのが揃っている。


そしてこれらの商品の価格が8割と、他より安いのだ。


リオはこれらの価格の札を目にして納得した。






「なるほど、普通のコンビニより安いからこれだけ人気なんだね」

「お弁当も結構作り込んでる」

「結構こだわってるね」






弁当の出来の良さを見たクレハとスズナはそう述べた。


値段の付いたラベルは大きめで、使ってる材料と作ってる場所が大きめの文字で印刷されており、


視力の衰えてるお年寄りにも分かりやすく工夫されている。



他のコンビニと同様アレルギー持ちの人を考慮し、分かるよう配慮しているのも欠かせない。







「hey。314円のおつりだYO!」






近くで20代後半の男性の声が聞こえた。


明らかに普通の発音ではない。


4人は声のする方へ向かい、覗き込んだ。













そこには派手な銀色のダンサー衣装を着た赤いアフロヘヤーの男性がエプロンを付けてレジを操作していた。


アフロの大きさは人の頭の倍以上あり、サングラスを付けている。


どう見ても場違いな姿である。







「「「「………」」」」





その姿を見た4人には、ある意味衝撃的だった。


こんな田舎の住宅地でアフロダンサーがコンビニの店員として働いているとか、あり得ないと思っていた。






「あの人が……店主?」

「いや、多分バイトの人だと思う」

「または宣伝担当のスタッフかもしれませんわ」






3人はひそひそと小声でアフロダンサーの事を話していた。


と、アフロダンサーの人がこちらに気付いた。






「oh!何そこでfreezeしてんno?」

「はっ!ご、ごめんなさい、僕たち初めてここに来たので…」







アフロダンサーに声をかけられ、気が付いたリオは失礼な事をしてしまったのかと、謝った。


他の3人も気が付いた。






「別に気にしてないよ。君達はここが初めてか…まあ無理もないか」






と、アフロダンサーの人は普通に喋った。






「普通にしゃべるんですね…」





スズナがツッコむ。





「俺はアンドレア・スレイコフ。このコンビニトラックの店主さ」

「神埼りおです」

「坂野くれはです」

「成宮鈴菜です」

「宝道寺瑠花ですわ」






お互い自己紹介した。








「さて、ここに来たという事は、何か買いに来たのか?」

「はい。生活用品を買いにやって来ました」

「いいよ。好きなものを選んでくれ」





と、クレハ達達はトラック内の商品を見に行った。






「リオ君、話はカクから聞いたよ。あのドラゴンのキメラと戦ったそうだな」

「はい。でもクレハが来なかったら、勝てたかどうか…って、アンドレアさん、兄さんと知り合いなんですか?」

「知り合いというか、セキュリティアの同僚で、俺もかつてはアルケミストだったからな。けど戦いが怖くなって今はこうしてコンビニトラックの店主として働いてるわけさ」

「もしかして…キメラですか?」

「ああ。キメラと戦った時、アルケミストの攻撃が聞かなかった。他の方法も試したが駄目だった。俺達はキメラ相手に為す術も無く壊滅に追い込まれたが、カクの頑張りで倒すことが出来た。しかしその代償は大きく、仲間まで失ってしまった。あの戦いで俺は死ぬことを恐れてセキュリティアを退職した。それっきり俺は戦いとは関係の無いコンビニ経営をしてるわけだ。少々地味な仕事かもしれないが、これでも人達の役に立ってるからな」

「そうだったんですか…」

「それに君は凄いよ。キメラの攻撃を何度も受け止めるし、俺達じゃ防ぎきれなかったからな」

「でも、攻撃は通りませんでした。クレハが来なかったらあのドラゴンは倒せませんでした。今の僕の力ではあのドラゴンを倒せない…それを実感しました」

「………」






リオの話を聞き、アンドレアはとある疑問を感じた。


カクから聞いた話では、リオの攻撃はキメラ相手に少し効いていたとのこと。


しかしリオは効いていないと答えた。


恐らく気付いていないのだろう。


アンドレアは1つの例えを見つけた。


それは、リオの使う電脳術はこちらが使ってるものより異質なものだと言うことである。


しかしこれを決定付けるには根拠が無い。


純粋に電脳術の性能を上げるには、フォトニウム自体を大きいものにするか、ワードを組み替えるかだが、リオの首にぶら下げているフォトニウムの原石では少し小さく、リオが使った光学シールドと光弾に関しては見ていないので分からない。


リオの電脳術が異質なものか確かめるためには、リオの電脳術をこの目で見るしかない。




アンドレアはリオに声をかける。







「リオ君、今日の夕方、時間空いているかい?」

「え?まあその時間なら…何かようでも?」

「実は、君の電脳術を見……」






アンドレアが話してるところで突然爆音が響いた。


トラック周辺の人達も爆音に気付き、手を止めた。





「今の爆発は…!」

「クリーチャーだ…この爆音は恐らく、カノンリザードの炎だな」

「僕は動画で見たことありますが、炎をを吐く場面は初めて見ました」






爆音のする方へ目を向けると、遠くから黒い煙りが上がっていた。





「あの方角だと、日野森商店街!」

「皆、緊急事態だ。早く避難するんだ!」






アンドレアの指示に客達は商店街とは反対方向で走っていった。


そしてアンドレアはトラックのリモコンを操作して、コンビニトラックのコンテナを閉めた。



更に自動ロックも掛けた。



トラックのロックが終わった所でクレハ達がやって来た。






「リオ君、今の爆発は!?」

「クリーチャーの攻撃だよ。商店街から聞こえた」

「クリーチャー!?」

「クレハ、僕は先に行く!」

「俺も行こう」





アンドレアがリオに一緒に戦うと言ってきた。


するとズボンの右ポケットから長さ8センチのフォトニウムを取り出した。







「アンドレアさん、それはフォトニウムですか?」

「ああ。アルケミスト時代に司令官がお守り代わりと俺にくれたものだ。微力ながら協力しよう」

「えっと…その格好で行くんですか?」







リオは現場に向かうアンドレアの格好見て少し戸惑いながらも指摘した。


確かにダンサー衣装にアフロヘヤーの人が戦いに向かうとか、普通は考えられない。






「これが俺のバトルスタイルだ。アルケミストを辞めた俺が言うものでは無いが、町の皆を助けようとする意志は今も揺るがない。だから頼って欲しい」

「寧ろこちらから頼りたい限りです。よろしくお願いします。アンドレアさん」

「気をつけてね。リオ君」

「うん。クレハ達も!」







クレハ達をその場に残し、リオはアンドレアと一緒に商店街の方へ走っていった。















通常の倍以上の速度で走りながら建物の上を飛び越えていった。






「早!?」

「凄いスピードで向かっていったよ!」

「なるほど、トラックで直接向かうより電脳術を使った加速なら早いですわね」

「急いで追いかけないと!」

「待ってくださいまし、変身でもしない限り追いつけませんわ。そこのコンテナの中を使いましょう」






と、ルカが手を向けた先は、アンドレアのトラックである。





「どうやらコンテナのドアだけロックされていませんでしたわ」

「アンドレアさんが気を遣ってくれたのかな?」

「考えるのは後よ!早く変身して私達も商店街に行くわよ!」

「うん!」







3人はコンテナのドアを開けて中に入りすぐに閉めると、約3秒でドアが開き、魔法少女姿の3人が現れた。




クレハはこれでいいのか?と思うほどの少々複雑な気持ちになっていた。






(それにしても…)






改めて、スズナとルカの魔法少女姿を目にするクレハ。




スズナは和風の魔法少女コスチュームである。


長袖の着物に似た青と白の服の下に青いミニスカートは、くノ一を思わせるが、そこに白い手袋、青い足袋、青のラインが入った白のカチューシャを纏ったその姿はまさしく和風の魔法少女というイメージを定着させる。


これでも動きやすさを意識して作ったとルカは述べていた。


ロングヘヤーそのままで、髪の色は変身前が黒なのに対し、変身後は青に変わっている。




ルカは中世のお姫様を魔法少女風にしたコスチュームである。


膝のところまで伸びたドレスの色は黄色と緑色の縦ラインが前に2本、後ろに1本という模様になっている。


そして膨れた肩から手首までの長い袖は黄色1色で統一。


そのドレスの下の分かれた下半身の所には緑色のミニスカートと、太股まで伸びた純白のブーツだがハイヒールではない。


武器のメイスを持つと、メイスを振り回し暴れていくお姫様として、とても似合うだろう。





やはり共通するところは、上半身は露出が無いことと、下半身は色は異なるが、形状は同じのミニスカートぐらいである。








「なんかステージ前の着替えをしてるみたい…」

「気にしたらきりがありませんわ。ワタクシ達も屋根から行きますわよ!」






と、ルカは先に高くジャンプし、近くの家の屋根に飛びる。


気持ちを切り替えてクレハもスズナに声をかける。







「私達も行こう。スズナちゃん!」

「そうね。早く合流しないと!」





クレハとスズナもルカがいる屋根へ飛び移り、3人一緒に他の家の屋根に飛び移りながらリオ達の後を追っていった。




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