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魔法と電脳の二重奏  作者: キューリ
ファイル「1」
21/46

「20」ラーメン三兄弟





「「「いらっ!しゃい!ませーー!!!」」」






3人のガタイのあるボディビルダーが蔓延の笑顔で迎えていた。



頭は勿論ボウズで、顔は全員同じ。


唯一、違いがあるとすれば、それぞれ赤、黄色、青のエプロンを付けてるぐらいである。


そして3人とも胸の筋肉を揺らしてアピールしている。








「………………もう驚きませんわ」






流石のルカもツッコミに疲れたようである。


表情もどんよりしていた。





店内を見渡すと、椅子、テーブル、カウンター、壁等が全て木材を使っており、完全に和を意識した空間になっている。







「お、旦那今日は子供連れですかい?」

「誤解を生むような発言は止めてくれ」






赤エプロンの男がカクに話す。






「兄さん、この3人は?」

「この店、白兎を支える三兄弟だ」





リオほ質問に答えるカク。






「長男のあかつき!」




赤エプロンのボディービルダーがポージングを決める。




「次男の黄昏たそがれ!」




黄色エプロンのボディービルダーが続けてポージングを決める。




「三男の青空あおぞら!」




残った青エプロンのボディービルダーもポージングを決める。




「「「我ら、白兎三兄弟!!」」」





最後は揃ってかっこ良くマッスルポーズをキメた。


ドドーンという衝撃がクレハ達の頭の中に走った。














そしてお約束の胸の筋肉を揺らすアピール。





「その胸の揺らしはやらなきゃいけないんですの?」

「「「お約束!」」」

「……………もういいですわ」





これ以上は追求しない方がいい事にしたルカ。






「おおー…」

「凄い迫力…」

「早速だが、例の物を6人前で頼む。残りの1人は後から来る。お代は俺が全て払う」

「ウッス!白兎ラーメン6人前ー!!」







カクの注文を聞き、直ちに厨房へ向かう黄昏。








「皆さんこちらで座っててくだせぇ」

「は、はい」





青空がクレハ達をカウンター側の方へ進め、前からルカ、スズナ、クレハ、リオの順にカウンター側の席にそれぞれ座った。


カクはリオの隣に座った。








「兄さん、この店によく来るの?」

「ああ。格別だからな」






リオがカクと話してる内に暁はクレハ達6人分の麺をゆで始め、黄昏がクレハ達にそれぞれ水の入ったガラスのコップとザーサイが載ったお皿を置いた。






「出来上がるまでの間、こちらを摘まんでてくれ」

「ありがとうございます」

「このザーサイは?」

「そいつはラーメンを頼んだ客へのサービスなんで、どうぞ食べてくれ」





並べられたザーサイはラーメンを頼んだ客に特別に出すようである。






「サービスがいいですわね。いただきますわ」







一足先に割り箸を割り、ザーサイに手を付けたルカ。







「うーん、これは美味しいですわ」

「美味しい!」

「丁度いい香ばしさで箸が進むわ」

「うん。このザーサイ…使ってるごま油が違う。白ごま油を使ってるね」






食べたザーサイに白ごま油が使われているのが分かったリオ。






「おお、分かるんですかい?このザーサイに使ってる白ごま油は中国から輸入した物を森星町もりぼしちょうで買った奴なんですよ」

「森星町?」

「世界中から集めた輸入品を保管した巨大倉庫のある町ですわね。各町から注文が来るほど有名な町ですわ。衣服、本、食品、家具、生活用品、電化製品、乗り物等と、一般の物から高級品まで揃っている輸入品を保管するだけでなく、一般の人でも買うことが出来る大型デパートとしての機能も兼ね備えていて、ほとんどの営業者が利用してますのよ」






森星町の説明についてルカが答える。






「因みに巨大倉庫は東京ドーム4個分の広さもあるのですのよ」

「と、東京ドーム4個分!?」

「僕は写真でしか見たことないけど、かなり大きな倉庫なのがわかるよ」

「いやいや、無駄に大きすぎでしょそれ!」





無駄に大きい巨大倉庫の疑問にカクは答える。





「この日野森半島は14年前、まだ各地の移住が済んだばかりで生産体制が整ってない時期があった。日本だけでの物資ではとても間に合わず、このままでは市民達の生活は難しいと思ったプロジェクトのスタッフは新たな案として、アメリカ、中国、インドといった他の国に輸入品の依頼を頼み、支援を手伝う事だった。一方相手側はその日野森半島に数千人移住することを条件に出してきた。勿論交渉は成立し、各国から輸入品が送られてきた。その結果、予定以上の品物が輸入されて、各町の倉庫では入りきれなくなってしまった。そこでスタッフが次に考えたのが倉庫街の建設だった。しかしそれを建てるにはかなりの額と時間がかかるため、資金と人手が足りなかった。巨大倉庫建設を諦めかけた時、その話を聞いた他国の政府が協力を申してきた。他国と協力する事で作業ははかどり、世界最大級の巨大倉庫を含む町…森星町が出来たって訳だ」







カクの話を聞いた限り、森星町は日野森半島のライフラインでもあることがクレハ達にはそう思った。







「各町の生産体制が整っている現在でも森星町は日野森町からの注文が今も殺到している。ルカの言ったとおり高級ブランドまで扱っているからな。最近では特産品生産も始めているそうだ」

「もう凄いとしか思い浮かばない…」

「スケールが大きいわね…」







森星町に関する話を聞いた所で、暁茹で上がった麺を湯切りし、スープの入った6つの丼にそれぞれ入れていき、黄昏、青空がそれらをカク、リオ、クレハ、スズナ、ルカの順に置いていった。


そしてルカの隣の空いているカウンターにも置いた。



と、ここでチサトがやって来た。





「お待たせ!丁度来たみたいね」

「いいタイミングだ」





チサトはルカの隣の空いている席に座った。






「さあ、白兎の看板メニュー…白兎ラーメンだ!」

「うわあ…」






出されたラーメンにクレハ達は言葉が出ないほど驚いた。


醤油ラーメンとかに使ってる太麺は、ツヤが出てるほど質がよく、スープは薄めの黄金色に輝いていた。


そしてその上にはお花の形に広がっている子キャベツが乗っていた。





具材はたったこれだけである。


ネギやチャーシュー、メンマといった一般ラーメンの具材も入っていない。








「具が入っていない?」

「あるのは真ん中の子キャベツだけ…」

「間違いなく麺とスープで勝負のラーメンですわね」

「特にこのスープと麺の輝き…普通のラーメンにはないよ」

「第一印象、リオとルカだけ違うな…」

「クレハちゃんとスズナちゃんの例が普通なんだけどね」

「とにかく、冷めないうちに食べてみてくれ」






暁に勧めながら、クレハ達は左手にレンゲを持ち、ザーサイを突いていた先程の割り箸を右手に持って、まずは麺の方からすすって食べた。






「美味しい!」

「ええ。スープの味がもう麺に染みこんでるわ」

「スープも丁寧で濃厚ですわ」

「そうだろ?」





クレハとスズナはスープの味が染みこんだ麺から食べ、ルカはレンゲでスープを飲んでいた。


味は大好評だった。






「このスープの味…もしかして霧ノ崎町の玉葱と長葱、生姜を使ってるんですか?」





リオがスープに使われている材料を言い当て、黄昏が驚いた。






「な、わかるんかい?企業秘密だったんけどな…」

「あ、ご、ごめんなさい!そのつもりで言ったわけじゃ誰にも喋りませんから!」






つい言ってしまったと、慌てるリオ。






「いいっていいって、確かにこのラーメンのスープは霧ノ崎町から取り寄せて貰った野菜を使ってるんだ」

「なるほど、そうだったのか」

「いや兄さん、生まれ故郷だから」





普通に、リオにツッコまれるカク。





「弟のリオ君が分かっててなんで兄の貴方が分からないのよ?」

「味で具材が分かる人なんてそうそういないだろ」

「いつものボケツッコミ、何度見ても飽きませんな」





青空がカクとチサトのやりとりを見てクスクス笑っていた。







「リオ君、霧ノ崎町出身だったの?」

「うん。少し田舎だけど立派な温泉街で、そこで育った野菜はとても美味しいし、栄養価が高いんだ」

「温泉街…」





クレハは温泉でゆっくりする自身を想像した。





「機会があれば行ってみたいですわね」

「忘れたか?現在三町に続く道は全て閉鎖されている」

「あ」





クリーチャーの大量発生で現在は三町への経路が閉鎖され、行くことが出来なくなっている。






「そうなんだよ。お陰で霧ノ崎町、森星町からの仕入れが出来なくなって、経営も厳しくなってきたんですよ。今は食材がまだ残ってるけど、恐らく1週間持つかどうか…」






もし材料が尽きれば、メインであるこのラーメンも食べれなくなり、この店の存続も危うくなるだろう。






「そうか…」

「ご、ごめんなさい!こんな貴重な料理を私達に!」

「いいんだよ嬢ちゃん。美味しい物を客に提供するのが料理人の仕事なんだから気にするな。金も貰ってるしな。それにウチのメニューはまだ他にもあるからな」

「暁さん…………」






暁の料理人らしい言葉を聞き、クレハはこの人は…この人達は凄いと改めて実感した。



その後、クレハ達はラーメンを美味しく食べ終えて、店を出た。


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