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魔法と電脳の二重奏  作者: キューリ
ファイル「1」
13/46

「12」その頃カクは…

家の事情とかでモチベーションが落ちて、

小説に手が付けられなかった為、投稿が遅れてしまい申し訳ありませんでした。

後、こんな小説を見てくれてありがとうございます。

しばらくは更新が遅れるかもしれませんが、続けられるよう無理しない程度で頑張りたいと思います。


一応作品の地域の名前の付け方には少々手間取りました。


付けた地名が実際に会ったことに気付かず、後から直しました。


何せ架空の島と地名なので、被るのはなるべく避けたいのです。


話が長くなりました。それではどうぞ。

クレハ達がクリーチャー達と戦ってる間、


カクは広い廊下でデバックの連中を追いかけていた。


その距離は約10メートル。


しかし徐々にその差は縮まりつつあった。


角を曲がっても曲がっても、追い抜ける様子はなかった。


他の部下がゴブリンのクリーチャーを連れて迎え撃つも、カクに軽く倒されてしまい、勢いを削ることは出来なかった。


もはや足止めにはならず、只消耗するだけである。


そして今逃げてる場所はアジトの三階。


このままだと、デバックの連中が疲れはてる



「おい、まだ援軍は来ないのか!?」

「それが、抵抗してきた被験者の3人に劣戦を強いられて、こちらへの援護は見込めないそうです」

「バカな!?たかが子供だろ!戦える力はないはずだ!」



上司の言う通り、拐った被験者は力がない住民。


仮に格闘技が出来ても、クリーチャーが相手では無力だからだ。



「恐らく、アダムを使われたと…その3人の姿は変わっていて、何でも魔法少女だと名乗っていたようで…」

「魔法少女?何を行ってるんだ?頭おかしくなったかそいつら」

「しかしどうします?この階の赤外線レーサーポットは効果がない上に援軍が期待できない…俺達であのセキュリティアの者を倒すのは無理ですよ。あるとしたら…この三階に仕掛けたシャッターぐらいしか…」

「シャッターか……」



3階より下の階に配置されたクリーチャー達は全てカクにやられてしまい、今戦えるのは逃げてる3人のみである。


が、この3人はクリーチャーより弱いので相手にならない。


唯一出来るとしたら、シャッターを下ろすボタンを押すぐらいである。



「抵抗しても無駄だ。適合者の居場所を教えろ」

「そう言われて教えるわけねえだろ!」

「なら、捕まえてから聞いてもらうぞ」

「くっ、させるかよ!」



黒服の上司は逃げながら右の壁にある非常用の赤いボタンを押した。


すると追いかけるカクの目の前に鉄のシャッターが降りてきた。


更にカクの反対側の通路からも鉄のシャッターが降りて、カクを閉じ込めた。



「閉じ込められたか…」



シャッターの外にいる黒服の男達はその場で止まり…息を整えていた。



「はぁ…はぁ…流石にこれは脱出出来ねぇだろうな」

「厚さ15センチの特殊素材を使ったシャッターですから、レーザーでは簡単に破れませんよ」

「セキュリティアも、大したことなかったな」

「俺達が本気を出せばこんなもんだな」



そう言って黒服の男達は笑い出す。


勝利の笑いである。


しかし、その表情はすぐに変わった。



突然、厚さ14センチのシャッターが真ん中からチョコレートのように溶け出したのだ。


やがて真ん中に穴が出来上がり、そこには黄色い光を宿した右手を前に向けたカクの姿があった。


カクの周囲には、アルファベットの大小、数字、記号で構成された複数のプログラミング言語が浮かんでいた。



「な、なにー!?」

「厚さ14センチのシャッターが…!」

「耐熱性に優れた特別製だぞ!」

「忘れたのか?俺はアルケミストだ。この程度のシャッターを粘土のように変形させるのは造作もない」

「……で、電脳術……!?」



電脳術……


フォトニウムの力を使って、魔法のような現象を起こす事が出来るアルケミストの扱う最大の能力である。


フォトニウムは、適合者の思考を読み取る性質を持ち、その中に含まれる特殊な言語を認識することで力を行使することが出来る。


それらは言語ワードと称され、一つ一つがプログラミング言語のようなものとなっている。


それらを組み合わせることで様々な力が使えるようになる。


とは言え、フォトニウムが一度に多くのワードを認識出来る訳ではない。


コンピューターが必要以上の情報量を取得するのに時間がかかるように、フォトニウムもワードの量次第で、認識までの時間が変わるのだ。



その電脳術の一つ…錬成クリエイション


木、鉄、石等の無機物の物を、強化スーツの両腕に取り付けられたフォトニウムの力で変形、分解、合成することが出来るが、大量のワードをフォトニウムに認識しなきゃいけない為、発動の時間が長い高等技術である。


しかしカクが身に付けている強化スーツには、フォトニウムの力を制御するコントロールユニットが搭載されてる。


これがフォトニウムの処理能力を大幅に高め、錬成の発動時間を早めたのだ。


また、エネルギーをレーザーの刃に変換するフォトンソード。熱エネルギーに変換して弾丸のように放つフォトンショット等の基本武器の発動も短縮、または増幅する事が出来る。



「さて、鬼ごっこはここまでにしようか…」



カクがゆっくりと黒服の男達に近づいていく。


黒服の男達も流石に万事休すかと、徐々に手の握る力が抜いていく…


諦めかけたその時…


誰かの断末魔が聞こえてきた。



「!?」



何かの叫び声がカクと黒服の男達に響いた。


聞いた感じ、苦しむような叫び声だった。


同時に、建物が揺れた。



「な、なんだ?」

「今の、叫び声…キメラか…!?」

「キメラ?」



黒服の上司、部下の会話に出てきたキメラという単語にカクは気になった。


しかしそこへ、援軍の黒服の男がクリーチャー達を連れてやって来た。


やって来た男のサングラスのフレームは金色で、紙の色は黒、更に黒の帽子を被っていた。


連れてきたクリーチャー達は全身が白い鱗で覆われた全長約1メートル、高さ60センチの狼ので、15匹もいた。



「悪いが邪魔はさせんぞ!」

「こ、金剛こんごう隊長!?」



部下と上司から金剛と呼ばれた男は狼のクリーチャー達をカクに攻撃するよう命じた。



「援軍か…流石に手強い!」



カクは狼のクリーチャー達相手に苦戦し始めた。


黒服の上司と部下の二人は金剛と呼ばれた男の元へ来た。



「助かりました金剛隊長」

「3人とも、一旦撤退するぞ」

「退却?」

「実験室内にいる適合者の3人がクリーチャー達を圧倒している今、ここも危ない。今残りのクリーチャーを投入して時間を稼いでいるが長くはもたない。急いで屋上に向かい、大型ヘリで脱出するぞ」

「「「はい!」」」



話がまとまり、金剛は部下の3人と共に屋上へ向かった。



「くっ、逃げられたか…」



デバックの連中が逃げ、この場にいるのはカクと狼のクリーチャー達だけである。



「……今はこいつらを片付けるしかないか」



そう言いながら構え直すカク。


しかし………



突然アラームが鳴り響き、アナウンスがかかる。



「自爆システム、起動…自爆システム、起動…残り5分…残り5分…」



電子音声で伝えられた自爆の警告を聞いたカクは焦りを感じた。



「くそっ、間に合うか…!」



カクは右腕から再びフォトンソードを生成し、狼のクリーチャーの群れに向かっていった。


対し、狼のクリーチャー達は砦内に響き渡るアナウンスに聞く気もなく、ただ向かってくる目の前の敵に襲いかかろうとした。


デバックにより作られた生命体、クリーチャーは

生まれた時から意思を持たないただの人形である。


身体は仕組みを理解すれば再現可能だが、感情を作るのは実質不可能である。


しかしフォトニウムの力を使い、予め「敵を倒す」為の複数の命令をワードで代用し、それを脳波に変えてクリーチャーの脳に伝えれば活動は可能である。


例えるなら、フォトニウムが遠隔操作でクリーチャーを操作していると言ったところか。



カクは次の階に登り、先へ進むが、そこにも狼のクリーチャーが沢山出没していた。


ここにもデバッグの連中はいなかった。


カクの実力なら、この辺りにいるクリーチャーを全て倒すことは可能だが…今の目的は実験室のある階へ行き、被験者達を助けることである。



「構ってる暇はない…」



残り4分…カクはなるべくクリーチャーを相手にせず、実験室のある階を目指す。


そして残り2分…カクは実験室へ続くドアを見つけ、中に入った。



しかしそこはもぬけの殻だった。


機材等かあちこちに散乱して、辺りは鈍器などで出来た大きな凹みがいくつかあったが、人の姿はなかった。


いるとすれば、全身黒こげになって倒れた男がいるぐらいである。


しかしこれは被験者ではない。


見た限り、デバッグの連中の一人に違いないだろう。


被験者は3人供この部屋にいた事を先程下にいたデバッグの連中の会話ではっきりしている。



「皆、無事か!助けに来たぞ!返事をしてくれ!」



大声で呼び掛けるが、返事がない。


腕に付いた端末を操作し、サーモグラフィーモードに切り替えて周りを見渡すが、やはり人の姿は見当たらなかった。


まさかクリーチャーにやられたのだろうか…


周りを見渡していると、大きく割れた窓に目を向けた。


被験者達はクリーチャーによってあの窓から落ちてしまったのか…


カクはすぐに割れた窓の方へ向かい、真下を確認した。


下は岩場となってるが、死体は見当たらなかった。



被験者達は落ちてない?ではクリーチャーにやられていない?


考えたら、ここにはデバッグの連中の一人以外に血痕はなかった。


また、カクが入ってきたドア以外に通路はない。


この実験室に居ない理由は、被験者達が窓から出たぐらいしかないのだ…


しかし、こんな高いところから安全に降りるのは普通の人では不可能である。


ではどうやって脱出した?


と、ここでカクは何かを思い出した。


それは先程逃げたデバッグの連中3人が口にした「魔法少女」という単語。



「まさか…3人の被験者が…!?」



普通考えても、本来魔法少女はゲームやアニメに登場する架空の存在であり、現実にはない。


しかし現在では電脳術という力がある。


もしや被験者達は電脳術を使ってクリーチャーと戦ったのか…


ところがその考えも違うと感じた。


電脳術は簡単に使える力ではない。


仮に使えたとしても、ワード単体の簡単な電脳術ではクリーチャーに痛手を与えることは不可能。


さらにもうひとつの理由は、この実験室内にまだ残ってる炎と氷の刺であった。


しかも、その炎は何かが発火した物ではなかった。


更に電脳術は、炎や氷を作ることは出来ない。


錬成で似たようなものは出来ても、長時間燃え続ける炎や、まだ溶けずに形を保っている氷は今の科学では不可能なのだ。


なので被験者達は電脳術とは違う力でクリーチャーと戦った事が解った。


被験者達が魔法少女なら、割れた窓から出てアニメのように空を飛んでいった可能性も考えられる。


しかしそんな力が本当にあるのだろうか…



考えても、今カクが知ってる記憶には当てはまるものはなかった。


しかし、再びアナウンスのメッセージが実験室内に響き渡った。



「爆発まで、後30秒…」

「!?」



考えてる内に砦の自爆までの時間が残り30秒を切ってしまったのだ。



「不味い!」



被験者達の事は一旦置いといて、脱出する事を考えを切り替える。


今から急いで降りても、ここからでは1分以上かかるので自爆する前の脱出は間に合わない。


窓の外に飛び降りても、今着てる強化スーツの強度では岩場に落下した時の衝撃に耐えられず、無事では済まない。


ロープを使えば安全に早く外への脱出が出来るが、今いる部屋の周囲にはロープの代わりになる物がない。


電脳術の錬成でロープを作ろうにも、時間が掛かるため、出来上がった頃にはもう砦は自爆してる頃なのでオススメ出来ない。


安全に脱出するのは不可能である。


何か方法が無いのかと考えたいが、残り時間が無いためそんな暇はない。


覚悟を決めて飛び降りるしかないと考えたその時…



「カク!カク!!」

「!?」



拡声器で大きくした女性の声がカクの耳に聞こえてきた。


更にプロペラの回る音も聞こえた。



「まさか……!」



カクは窓の外に近付く…


するとそこには、雲を意識した色の大型ヘリコプターがその場に浮遊していた。


そしてドアは開いていた。



「スカイクラウドか…!」

「カク!早く乗り込んで!」

「ああ!」



迷うことなくカクはスカイクラウドと呼んだ大型ヘリの中に飛び乗る。


カクが中に入ると、そのまま全速力で砦から離れていった。


そして数秒後…砦は下の階から爆発が起こり、次第に上の階へと連鎖的に爆発していき、砦は前にも後ろにも崩れ倒れる事もなく、きれいに真ん中で崩れていった。


土を混じらせた爆風が周囲を覆うが、砦から遠く離れたヘリには届かなかった。



「助かったよ、チサト」

「砦から飛行船らしき反応があったから、気になってスカイクラウドで来たけど、正解だったわね」



スカイクラウドという名はこのヘリの名前で、停止飛行が簡単に出来るよう、4つのプロペラエンジンが前後左右に取り付けられている。


空飛ぶ雲という名前だけあって、フォトニウムを使ったステルスフィールドを展開することで、視界から消えるだけでなく、レーダーにも反応しなくなる。


速度もそこそこ早いにも関わらず、プロペラエンジンの音は気付かないほどの小さな音が出るよう作られており、ある程度の距離なら聞こえなくなり、バレる心配もない。



まさに少数での任務には打ってつけである。




「捕らわれた住民達は?」

「全員救助したわ。そのまま月村町に向かわせてるから大丈夫よ」

「そうか…じゃあチサト、このまま日野森町まで移動してくれるか?」

「もちろんよ。先程砦から出た4つの反応を見つけたわ。一つの大きな反応は日野森町へ向かってる。それをもう一つの反応が追って、残りの2つも続けて追っているわ」

「恐らく後者の3つは被験者の筈だ。急いで合流したい」

「分かったわ。司令にも伝えておくから貴方は今の内にエネルギーの補充を済ませておいて」

「分かった」




そしてチサトはスカイクラウドを操縦して、日野森町へ向かっていった。










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