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魔法と電脳の二重奏  作者: キューリ
ファイル「1」
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『11』魔法少女達の強敵との戦い


焼かれて死んだ黒服の男を見て、動揺を再び隠せない3人に対し、ドラゴンは再び3人のいる方へ視点を向く。



「こ、こっちを向いてきたよ…」

「今度は私達を探してるわね。多分敵視されてる」



ドラゴンは3人が目障りなのか、2本の頭をキョロキョロしながら探していた。


いまだに3人は機材の後ろに隠れてドラゴンを警戒していた。



「あのドラゴンを町に放たれたら危険ですわ。ここで倒しますわよ」



と言ってルカは冷静に2つ首のドラゴンを倒すことを二人に聞く。


対し、クレハとスズナは賛成し、首を縦に振る。



「とはいえ、あのドラゴンの体…剣や槍じゃ通らないわよ。何か手はあるの?」

「ありますわよ」



スズナがドラゴンをどう倒すかルカに聞くと、ルカは自信気にあると答える。



「まだ試してない攻撃手段、魔法がありますわ」



ルカが魔法という手段があることを二人に伝える。



「魔法!?」

「魔法って、この姿になったからってさすがに使えるわけ…」

「出来ますわ!剣や槍を出せたのですから魔法も当然使えるはずですわ!」



クレハが驚き、スズナが少し疑うものの、ルカは根拠があるのか自信を持って答える。



「でも、どうやって?」

「先程武器を出した時のように同じですわ。炎や水を放つイメージをするように」



クレハ、スズナに使いかたを教えるルカだが、ドラゴンはクレハ達の方へ近づこうと歩いてきた。



「二人とも、近づいてきたよ!」

「もう…考えてる時間はないのね」

「決まりですわね。まずワタクシが手本を見せてあげますわ」



そう言ったルカは正面から行かず反対に行き、機材を避けながらドラゴンの後ろに回り込んだ。


そしてルカは空いてる左手に黄色いエネルギー体を生成する。


作られたエネルギーの球体には電気が走っていた。



ドラゴンは後ろに誰かがいることに気付き、体をルカの方へ向けようとするが…ルカの方が早く左手をドラゴンに向けた。



すると、黄色いエネルギー体は大きな電撃となって伸びていき、ドラゴンの体に直撃した。


同時に黄色い火花が飛び散り、ドラゴンは仰け反りながら横に倒れた。


その光景にクレハとスズナは…



「本当に出た!?」

「ルカちゃんすごい!本当に魔法が出たよ!」



スズナはルカが放った魔法のような力に驚き、クレハは目をキラキラさせるほど感動していた。


炎に焼かれて死んだ黒服の男の件で落ちてた二人のモチベーションは上がったようである。



「正直、初見で放つのは簡単ではありませんわね。でもコツは掴めましたわ。さあ、次はお二人の番ですわ。ドラゴンが起き上がる内に」

「ふう…わかったわ。あれを見たら私も出来ると思えてきたわ!」

「私も、分かっちゃったかも!」



やる気満々になったクレハとスズナは正面から現れ、起き上がろうとするドラゴンに魔法を試す。



「まずは私から…!」



スズナは左手を掲げ、氷の刺を発射するイメージをした。


すると、掲げた左手の上に氷の刺が次々と現れた。



「行け!」



スズナが掛け声と共に掲げた左手をドラゴンに向けて降ろすと、無数の氷の刺は次々と発射された。


しかし2、3発程コントロールが取れずに狙いからそれてしまう。


残った氷の刺はドラゴンの両足にいくつか命中した。


氷の刺の連続攻撃でドラゴンはバランスを崩し、再び倒れこんだ。


しかしドラゴンは2つの頭をスズナに向けて炎を吐こうとするが…



「させないよ!」



ドラゴンの横に回ったクレハは、左手に約50㎝の大きな炎の球を投げつけた。


投げられた炎の球はドラゴンの2つの頭にあたり、2メートル程の爆発を起こした。


炎の球の直撃で悲鳴のような鳴き声をしたドラゴンの2つの頭はぐったりと倒れこんだ。



「やった!」

「倒した…の?」

「まだですわ。これだけの大きさなら、それにあう体力があるはずですわ。気を抜かないで」



二人に注意しつつ、ルカは倒れたドラゴンを前に身構えていた。


ルカの言葉を聞いたクレハ、スズナも身構え直す。


そんな中、ルカはスズナの放った氷の刺とクレハの放った炎を見て感じた。



(やはりスズナも魔法のコントロールは難しいようですわね。特にクレハの魔法…ワタクシとスズナのより安定している…適合者だから?それとも…)



と、クレハの魔法を高く評価していた。


一方ドラゴンは再び立ち上がろうとした。



「まだ動くの!?」

「今度は同時に仕掛けますわよ。合わせて!」

「うん!」



3人は再び魔法のような力を放つ準備をするが…



「…………ク………」



突然ドラゴンからノイズ混じりの声が聞こえた。



「?」

「今の声…」

「あのドラゴンから聞こえてきましたわね」



3人も突然聞こえた声を聞き取った。



「…………く…………れ………」



ドラゴンから聞こえる声は少しずつ聞き取れてきた。



「人の言葉を言える…まさか…」

「ルカちゃん、何か分かったの?」



人の言葉をドラゴンが言った事にルカは何かに気付いた。



「先程あの黒服の男が言いましたわ。上質な材料を使ったと…」

「材料?それがあのドラゴンとなんの関係が?」



ルカの説明を理解出来ないスズナ。



「憶測ですが…もし、あのドラゴンに人間が使われたとしたら…」

「!?」

「人間…!?」



ルカの答えに驚くスズナとクレハ。


キメラは複数の生物を組み合わせて作った生命体。


その為、組み合わせた生物の特性が濃く出てくる。


人間の言葉が喋れるとすれば、人間を材料にした可能性が高いだろう。


そして、ドラゴンが言う次の言葉でそれは確信に変わる。



「「…く……れ………は……!」」

「「「!?」」」



ドラゴンの2つの頭はお互いクレハの名前を喋った。


ノイズ混じりのその2つの声は男性、女性である事が3人には聞き取れた。


そんなクレハの名前を言ったドラゴンを前に、3人は今までよりも一番驚いた。


いや、この中で一番驚いたのはクレハ本人だろう。



「今…私の名前を……!?」

「あのドラゴン…まさか…!」

「ええ…間違いありませんわ…!」



クレハの名前を言ったドラゴンに3人は気付いてしまった…


ただクレハ自身は二人以上の衝撃を受けていた。


そんなクレハの脳裏に、ある答えが浮かび上がった…



「……っ…!」



だがクレハはその答えを言いたくなかった。


言えばそれを認めてしまうからである。


そんなクレハの表情は辛かった。


それでもドラゴンを前にクレハは黙る訳にはいかず、その答えを口に出した。



「………お父さん……お母さん…!」



クレハはドラゴンの正体が自分の父と母だと分かり、ドラゴンの事をお父さん、お母さんと呼んだ。



「二人がなった怪人以上の化け物が、このドラゴンだったなんて…」



スズナもドラゴンの正体に驚く。



「……くっ…!」



ルカは少し焦りを感じた。


一方クレハは…



「ルカちゃん…お父さんとお母さん、元に戻せるかな…」



クレハはドラゴンの戻し方があるか、ルカに聞く…


しかしそれを聞いたルカは気まずいのか、表情を暗くした。



「……………無理ですわ」

「……えっ?」



ルカがクレハに言った答えは、無理という返答だった。



「……複数の生物を組み合わせて生まれたキメラは…もう元には戻せませんわ…!一度出来上がった料理を材料に戻せないのと同じですわ。仮に戻せるとしても、失った人の体には戻れない上に、その体に宿る意識がその人本人になるとは限りませんわ」



アニメやノベルの知識とはいえ、ルカが言う説明はどれも説得力がある。


クレハが言ったキメラを元に戻すのをルカは不可能だと答えた。



「それに、このドラゴン…クレハの父と母の意識が暴走しまい、町に放たれたら大変なことになりますわ」

「じゃあ…このドラゴンは…」



と、スズナがルカに問う。


元に戻す術が無いこのドラゴンにやるべき事は…



「…辛いですが…!」

「「倒して……」」

「「「!?」」」




ルカはクレハ、スズナにこのドラゴンを倒す事を告げようとする中、突然ドラゴンが自分を倒してと言い出した。



「今、俺達の……意識が…出てる内に…早く…倒してくれ…!」

「早くしないと…他の意識に…浸食…されて…再び暴れてしまう…!」



悶えながら父の声、母の声でクレハ達に伝える。


今のドラゴンは父と母の意識が出てる為、攻撃の危険性が無い。


倒すなら今である。


しかしクレハは…



「そ…そんなこと…出来るわけ…!」



クレハが父と母だったドラゴンを倒す事をためらい始め、倒したくないと告げる。


右手に持った剣はただ持ってるだけで構える気は無かった。


その時ルカが…



「……ワタクシが代わりますわ…!」



ためらうクレハを前にルカがメイスを持ってドラゴンの目の前に立つ。



「ルカ…ちゃん…?」

「……さすがに、クレハには荷が重すぎますわ。ここはワタクシがやりますわ」

「ルカ…!」

「ルカちゃん…お願い…やめて…!」



ルカの行動にクレハは止めようとする。



「ごめんなさい…これしか方法がありませんの…恨まれても構いませんわ…」

「そんなこと言わないで…嫌だよ!」



ルカを必死に止めるクレハ…!



だがその時…



「ウウッ……ううああ、あああああっ!!」



突然ドラゴンが苦しみだし、首をブンブン振る。



「ど、どうしたの!?」

「突然苦しみだした?」

「まさか…意識が暴走し始めた…!急いで止め…あっ!」



早く倒そうとするルカだったが、ドラゴンは苦しみながら走りだし、射線上にいるクレハ達を素通りし、反対側のガラスを突き破り、そのまま翼を広げて外へと飛んでいった。



「お父さん、お母さん!」

「まずい、外へ向かったわ!」

「あの不安定な状態で町に着かれたら危険ですわ。町に着く前に倒さないと…!」



このまま意識が不安定なドラゴンが町に着けば、大惨事は免れないだろう。


追いかけたい所だが、一つ問題があった。


ルカが向かった割れたガラスの先には道がなかった。


真下を見ると、自分達がかなり高いところにいるのがわかる。


普通の人が落ちたら大ケガでは済まされないだろう。


後から来たクレハとスズナも、真下を確認した途端、少し後ろに下がる。


外の景色は見渡す限り山や森ばかりで、夕日は半分ほど沈んでおり、視界は悪い。


そこへドラゴンが飛んで行く姿は確認できた。


しかし問題があった。



「とはいえ、普通に追いかけても間に合いませんわね…」

「お父さん…お母さん…」



ルカの言う通り、仮に走って飛んでるドラゴンを追うのは難しい上に森の中を進んでいては見失う可能性もある。


たとえ魔法少女で強化された身体能力でも、飛んでるドラゴンのスピードに追い付くのは無理だろう。


クレハは逃げるドラゴンを見て、今すぐでも追いたい気持ちで一杯だった。



「でもこのままじゃ…」

「……手はありますわ。飛ぶ相手を追いかけるにはこちらも飛ぶしかありませんわ」



と、ルカが言った。


飛ぶ相手を追うのはこちらも飛んで追いかける。


単純な答えだが理に叶っている。



「今度は飛ぶ…ね…人が飛ぶイメージが思い付くかな…」

「それに、急いだ方がいいですわ」

「急ぐ?」



難題に悩むスズナだが、ルカはゆっくり試す時間はない事をクレハ、スズナに言う。


ルカは気付いていた。


すでにドラゴンが壊したドアの奥から恐ろしい声や走る足音が聞こえ始めた事に。


敵の増援である。



「って、まだ来るの!?」



スズナも気付く。


もう悠長してる暇はないと悟ったルカは、クレハの方へ目を向け、あることを伝えた。



「クレハ、一人でドラゴンを追って!」

「え、まさか私一人で!?」

「ルカ、またまた何を言ってるのよ!」



ルカの唐突な指示に困惑するクレハと理解が出来ないスズナ。



「敵が来る以上、ここに残って足止めする人が必要ですわ。それに、クレハはワタクシとスズナより魔法の発現かしっかり出来ていますわ。きっと空を飛ぶ事もすぐに出来るはずですわ」



と、ルカはクレハにドラゴンの追跡を任せる。


クレハは魔法の扱い方が上手く出来てる事をドラゴンとの戦いで確証済みである。


なら、空を飛ぶのも容易に出来るはずだろう。



「で、でもどうやって…」

「自分が空を飛んでるイメージをすればいいだけですわ。クレハなら出来ますわ」

「でも、それじゃクレハがドラゴンを倒さなきゃいけなく…」



スズナは言った。


クレハにドラゴンの追跡を任せるという事はドラゴンを倒すと同時にクレハの親を倒す事である。



「………酷かもしれませんが…あのドラゴンを追えるのはクレハしかいませんわ…ですが、本当ならこんなことクレハに任せたくありませんの…!」



クレハにドラゴンとなってしまった親を倒す事…


それは酷だとルカは思っていた。


しかしこのままではドラゴンは他の町にたどり着き、大きな被害がでる。


もはや迷ってる時間は無いのだ。


ドラゴンを止めるためにも、ルカは魔法の扱い方が上手いクレハに頼むしか他に選択肢はなかった。


ルカは、自身の未熟さに悔やむ。



「ルカ…」

「ルカちゃん…」



ルカの悔しさを理解する二人。


そんな中、ついに壊れた扉から複数のクリーチャーがやって来た。


先程のフードのクリーチャーに加えて全長50センチ位のオオカミまで何匹かいた。



「敵がゾロゾロと来たわね…!」



スズナがクリーチャー達に体を向けて槍を構える。



「あの敵なら、ワタクシ達で十分ですわ」



ルカもクリーチャー達の方へ体を向け、メイスを構え直す。



「スズナちゃん…ルカちゃん?」

「クレハ、ここはワタクシ達に任せて、早くドラゴンを!この敵を片付けたらワタクシ達も追いかけますわ!」

「クレハ、くれぐれも無理はしないで…!」



ルカとスズナは、背を見せたままクレハにドラゴンの方を任せるよう頼む。


そんな二人の姿を見たクレハは右手に持った剣を再び握りしめ、覚悟を決める。



「……スズナちゃん、ルカちゃん、ここをお願い!」

「任せて!」

「ええ!」



二人にこの場を任せ、クレハは割れたガラスを通り、そのまま飛び降りた。


ゆっくりと急降下する中、クレハは目を閉じ、空を飛ぶイメージを試みる。



(空を飛ぶ…アニメで見たあの魔法少女のようにやれば…!)



するとクレハの両足から赤い光の球体が現れ、ゆっくりと浮き始めた。



「飛べた………!後は…」



体が浮いてる事を確認したクレハは次に空を早く移動するように意識した。



(早く飛ぶ…早く飛ぶ…何があったかな…隼…ロケットのように早く……あっ!)



ロケットのように早く…と意識した瞬間、これはまずいと気付くがもう遅かった。


足の下に付いた光の球体が強く光り、クレハの体はロケットのように真上に加速し、飛んでいった。



「はーやーすーぎーるうぅぅぅ!!!??」



時速180キロ…例えるならば一般の自動車が最高速で走る程の速さで加速し、上昇するクレハは身動きが取れずにいた。


直ぐ様その場に浮くイメージに切り替えると、速度が落ち、上昇するクレハの体はゆっくりと停止した。



「はぁ…止まった…でもこれでコツは掴めた」



すぐに空を飛ぶ方法のコツを掴んだクレハは目線を遠くへ飛んでいくドラゴンに向けて、再び飛ぶイメージを試みる。


今度はロケットよりましな加速で飛行し、ドラゴンの方へ飛んでいく。



(お父さん…お母さん…!)



父と母の事を思いながらクレハは飛びながらドラゴンを追いかけていった。





溜め込んだストックが無くなったので、

ここからは更新が遅くなります。

気長に待ってて頂けるならば嬉しいです。


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