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Caravan  作者: Ni_se
プロローグ
1/53


辺り一帯全てを焼き尽くす炎。

轟々と燃え広がる様を、ただぼんやりと見つめていた。

手を伸ばせば、触れてしまいそうな距離。

しかし、不思議と熱さは感じない。

音が、まるで水の中に居るかのように聞こえてくる。



視界が暗転する。


目を開くと、そこはどこかの部屋の中。

四方の壁は既に火の手が回り、床一面には不思議な模様が描かれている。

中心には揺り籠が置かれ、その中から泣き叫ぶ赤ん坊が覗いていた。


「......」


それは、赤ん坊を見下ろし佇む。

人の様な形をした何か。

その身体は靄のようにぼやけた姿をしており、人かどうかすら定かでない。

時折ノイズのよなものが走り歪む姿は、存在が曖昧なように感じた。


何かは赤ん坊へ近づき、右腕を伸ばす。

伸ばした指先が、赤ん坊の額へ触れる。


「...ッ」


ぼやけた姿がゆらめき、後退り掛ける。

見えない筈の顔が、苦悶の表情を浮かべているように思えた。


それでも触れるのをやめない。

震える右腕を片手で支え、体勢を保つ。

すると、ぼやけた足元から、次第に色が薄れていくのが見える。

それは足先から足首、脹脛と、徐々に大きく浸食していった。


それが浸食していくにつれ、自分の意識も遠のいていく。

視界が薄れ、ぼやけていく。

思考が覚束なくなり、なにも考えていられなくなる。

やがて視界が完全に途切れ、意識も途絶える時。


「ごめんね」


薄れていく意識の中、そう聞こえたような気がした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やりますねぇ! [気になる点] まずいですよ! [一言] 良いよ!来いよ! 胸にかけて胸に!
[一言] 追記:評価、ブックマークさせて頂きました。 次回更新心待ちにしております!
[良い点] 文章力が高い点。 私は独特のセリフ回しには自信があるのですが、決して高い文章力ではありませんので。 参考にしたいです。 [気になる点] 特になし。 [一言] 評価、ブックマークしました。 …
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