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プロローグ 『終わりの始まり』

薄暗い闇の中。道端に倒れこむ少年。

少年の目にあったはずの光は、どんどん消えて行く。

少年の生命は、今、この薄汚い路上にて終えるのだ。

そこに、何者の助けはなく、ただ少年は自分の死が来るのを待つことしかできないのだ。


少年は恐怖した。泣き叫んだ。悶え苦しんだ。

しかし、誰も彼を助けはしない。


少年は薄れゆく意識の中で、走馬灯を見た。

自分が何故この様に死に変えているのか。

何故、軟弱な現代日本人である自分が異世界転移などというファンタジーに巻き込まれ、このように死にかけているのか。


死に際に見るには、些か気分の悪いこの世界で起きた走馬灯を————見たのであった。




*************




金曜日。

それは、学生にとって最高の曜日であり、最も愛される曜日である。

金曜日の良いところは、次の日が土日で学校がないことや夜にやる番組が全て面白いので、暇な時間を過ごすことがないからだ。

無論、そんな金曜日を裕翔は愛していた。


そんな事を考えながら、裕翔はいつもの様に自分のクラスに入り、自分の席に座る。

その瞬間、隣に座っている男子が話しかけて来る。


「よっす、裕翔(ゆうと)。おはよう」

「うっす、翔。おはよう」


俺の隣にいるこのイケメンは、田代翔(たしろ かける)

この学校1のイケメンと呼ばれており、性格もいい。

まさに非の打ち所がない完璧イケメンだ。

そのため、女子にとてもモテるが何故か全て断っている。

俺もこんなイケメンに生まれたかった、って何度も思った。


「おー、裕翔じゃん。今日は遅刻しなかったのな〜、偉い偉い」

「神崎くん、おはよう!今日は遅刻しなかったんだね、これからは今日くらい早く学校に来ようね!」


翔の目の前にいたギャルの様なド派手な格好をして、俺に荒っぽい口調で話しかけてきたこの美少女は、佐々木伶奈(ささき れな)

この学校1問題児として有名だが、以前、伶奈が何かトラブった時に翔がそれを助けてあげた時以来、彼女は俺と翔に絡んで来る様になった。

最初は、噂の問題児だと思って警戒していたが、翔のことが好きだから俺に協力して欲しいなんて言って近づいてきた時の彼女は恋する乙女であった。

それに、彼女の問題行動は、他人を助けるために行った行動であったらしく、彼女に助けられた人達は彼女のことをかなり慕っている。

そのため、裏の美少女として呼ばれている。まぁ、本人は認めていないが。

余談だが、一度メイクを取って、すっぴんになってもらった時があるのだが、明らかにメイクをするより、すっぴんでいる方が、彼女は可愛い。



そして、もう一人ニコニコと俺に話しかけてきた女の子は、櫻井優佳(さくらい ゆうか)

この学校1の美人であり、この高校には勿論、他の高校にファンクラブが出来る程の人気を誇っている。

彼女の容姿は、腰まで届くほどの長くて艶やかな黒髪で、抱きしめたら折れてしまいそうな華奢な身体に似合わない大きな胸。

そして、優しげな瞳にスッと通った小ぶりの鼻。

10人中100人が二度見するような完璧な容姿を持った美少女だ。


だが、彼女が人気なのは容姿だけではない。

彼女は性格もとてもいいのだ。

困っている人が迷わず助けようとするし、助けを求められようものなら進んで助けようとする。

そして、いつも明るくにこやかに微笑むため周りのみんなを笑顔にさせてくれる。


彼女は、そこらへんのアイドルたちよりも人気があり、とても性格のいい完璧美少女なのだ。


「うーっす、おはよう。伶奈、優佳さん」


瞬間、周りから殺気が俺に押し寄せられる。

周りを見ると皆、裕翔を睨んだまま目を離さない。

当然だ。

なんせ裕翔は、翔や伶奈、そして、優佳さんがいるグループには不釣り合いなフツメンだからだ。


『なんで、あいつがあのグループに!』と、みんな思っているのだ。

俺の容姿は先程述べた通り、普通。もしかしたら、普通よりちょっと悪いかもしれない。

それなのに、裕翔は学校1のイケメンと美少女、それに何故か裏で人気のあるギャルと親しくしているからだ。

そう、みんな裕翔に嫉妬しているのだ。


「……チッ、朝っぱらからいいご身分だな」

「本当にあの人は、身の程ってものを知らないのかしら」

「身の程を知らないからこそ、あのグループの中にぬけぬけと居られるんだろ」

「それもそうね」


決して、翔や伶奈、それに優佳さんには聞こえないようにクラスメートたちの陰口が始まる。

全くもって、嫌な連中である。

自分で関わる勇気もないくせに、俺を見下し、蔑むかとしか出来ない臆病者達が。

俺は、何もしないでいる……いや、出来ないでいる君たち臆病者達とは違い、勇気を持って行動をしたからこそ、彼らと仲良くなっているのだ。


———他人を妬むより、自分を見直せ。傍観者。


決して顔には出さず、心の中で裕翔は、そう暴言を吐く。

その瞬間————裕翔の足元を中心に魔法陣が現れた。

そして、急に眩く光り出した。



「うわっ!?なんだ、これ?!」

「ひ、光っ?!まっ、眩しい!」



伶奈、優佳さん、翔、そしてクラスメート全員。

そう、教室全体に魔法陣は広がっていき、ますます光を強くする。

翔が、「なんだか分からないけど、みんな一旦教室からでよう!」とみんなを教室から出そうとした瞬間。

魔法陣の光はカッと爆発し、裕翔たちの視界は白くなり、何も見えなくなった。



数秒ほど経ち、光が消えた教室には、先程までのようにクラスメートたちが話していた声は聞こえなかった。

そこには、使いかけの携帯、出しっ放しの筆箱、授業の準備をしようとして出した学校のカバン。学校の備品。



しかし、先程までと違った所があった。

それは————先程までこの教室にいた人間が、いないことであった。


この事は、今後高校にて起きた謎の集団誘拐などと呼ばれ、日夜テレビや新聞で取り上げられ、オカルト業界を盛り上げる事件となるのであった。


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