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転生迷宮 ―リバイバルラビリンス―  作者: 梅雨ゼンセン
第五章 ―二人の出会い、追われる出発―
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過去 二人の出会い―2

「はぁ……」

 思わずため息が出てしまう北条。それにグレドは「幸せが逃げてくぞ?」と笑ってくる。

 しかし、ため息を吐かずにはいられない。

 行方不明の子供の捜索。

 報酬は水と食料。そこまでは良かった。

 しかし、

「思い当たる場所がないって……」

 捜索範囲は集落の周り一帯。それをこの少人数で探せと言うのか。

 一応二手に分かれて、『北条とグレド』『エレナとリック』という組み合わせで現在捜索してるが、半日経って未だ少女の『し』の字も掴めていなかった。まあいなくなった時間から見れば、逆に半日で見つかる方が驚きなのだが、

「リックの魔法を頼りにしてたのに……足じゃあいくらなんでもきついよ」

「そう文句言うなって。探さないよりマシだろ?」

 それはそうだけど……、と北条は納得がいかなさそうな表情をする。

 


 エレナとの別れ際の一言。

「追跡スキルと使え。見つけた後は添い寝してもいいが、隠し扉のクリスタル無効化エリアにだけ気を付けろ」

「上から来るぞ?」

「リックそれ違う」



 今日知ったことは、エレナの脳内蔵書数の多さくらいだ。まあBLじゃなかっただけ良しとしよう。もしそうだったなら『クロ×グレド』とか言われそうだし……あ、やばい。気持ち悪い。

「ん、どうしたクロ? 顔が赤いぞ?」

「はあ!?」

「熱でもあるのか?」

「は? ちょ、なに? やめてって! 額当てようとするなよ!」

「いやそれはしてないが」

「……」

「……」

「……」

「……俺、知らなかったよ」

「そんな遠い目をするなあああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!」

 捜索は、中々捗らない……



      ・・・



「捗るな」

 エレナは一人呟いた。

「ん? 変な電波受信した?」

 そのリックの言葉にエレナは「ん?」と首を傾げる。

「私は捜索が捗るなと言っただけだ。お前は何を言っている?」

「ああそっちね」

 なんだぁ、とリックは少し退屈気にため息を吐き、ワンドを取り出す。

「まあ魔法使ってるからね。あっちの二人はそう大変そうだね」

「魔法専門のお前を一人にするのはマズいだろう」

 それは確かに、と彼は詠唱を始める。

「『南の心臓 北の瞳 西の指先 東の踵』……」

「真面目にやれ!」

「痛い痛い痛い! ツッコミ放棄じゃなかったの!? 悲報はどこに行ったのさ!」

「それは前の話で終わった!」

「メメタァ……ァァぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああイダダダダダ! ギブギブ! もげるって!」

「モグ!」

「やっぱりツッコミ放棄してん……あ」

「あ……」

 



 ―――――――ちょっと間を置いてから☆




「……『足跡に杭 帰路には白石はくせき はぐれた羊の居場所を示せ』」

 リックは詠唱してワンドの先を地面にそっと当てる。

「『薄闇の糸グリュック』」 

 その瞬間、ワンドの先から地面を細い光の意図が這い回り、森の中へと伸びていく。この魔法は魔力で生成した糸を使用者から半径一キロの範囲に伸ばし、辺りを探る魔法だ。

 頭の中に情報が流れ込んでくる。そしてしばらくして彼は「ふぅ……」と小さく息を吐くと、

「……こら変にはいないみたいだ」

「そうか」

「……」

「……悪かった」

 そう彼女は素直に謝った。まさか人形の様に簡単に捥げるとは彼女も思っていなかったのだろう。そして本人のリックも捥げるなんてことは今まで知らなかった。

 そして、

「……知りたくなかった」

「……お互い、このことは忘れよう」

 うん、とリックはいつもの意気なく、コクンと首を縦に振った。

 二人の間に気まずい雰囲気が漂った。



   ・・・



 結局その日、エレナ一行は成果をあげることができなかった。

 今は村長宅の一室にいる。村長が貸してくれたのだ。エレナは女ということで別の部屋だ。

「はぁ……リックでもダメだったか」

 そうグレドはため息を吐く。日の昇っていたときは自分で幸福が逃げていくと言っていたのに、と北条は思うが口には出さない。自分も同じ気持ちだからだ。

 リックの魔法でも難しいとなると、難易度は一気に上がる。

 さてどうするか、と男部屋の三人は腕を組んでため息を吐く。

 依頼を受けると言った以上、そう簡単には降りられない。村の状況も状況なので、そう簡単に了承してくれるわけもないだろう。

「リックの魔法の……『薄闇の糸グリュック』だっけ? それってどういう効果?」

「ん? 地面の上に糸を這わせて探知するやつだけど?」

「……地下か!」

 その返答を聞いてグレドがポンと手を打つ。

「俺は木の上かと思ったんだけど」

 北条は少し恥ずかし気に答える。しかしそれにリックが反応し、

「地下もツリーハウスも、どっちも目立つよ。それなら洞窟とかに居る方が自然だと思うけど?」

 なんて、三人寄れば文殊の知恵。ダメかと思っていたが案外考えが浮かんできて、再び光が差してきたように思える。

 そこでバンッ、とドアが開いた。

「おい! 誰か私の下着知らないか!?」

「「「はあ!?」」」

 そこに立っていたのはバスタオル一枚で憤慨しているエレナだった。体から湯気が上がっているのと今の発言からだいたいの状況は想像できた。

 彼女はこっちの反応を見た瞬間、舌打ちをし、

「あのクソジジイか!」

 そう言ってきびすを返そうとする。その表情は悪鬼のようで、村からもう一人消えてしまいかねない凄みを持っている。

 が、彼女は途中で足を止めて、そしてもう一度こちらに振り返る。

「……………」

 そして無言で睨み付けてくる。それに北条たちは何のことかさっぱり分からず、「え?」と零す。

 そしてエレナは自分の胸を抱くように抑えて、最後にぼそっと、

「……次はお前らだ」

「「「それは理不尽だ(ろ)(よ)」」」

 そう北条たちは抗議をするが、それが彼女の耳に届く前にドアは閉まってしまい、しばらくして下の階から村長の断末魔が聞こえてきた。

「……」

「……」

「……」

 今日は背中合わせで、見張りは一時間交代にしようと、男どもは石を固めたのであった。

 だがそこで、階段を駆け上がる音が聞こえ、またしてもドアが激しく開け放たれる。

「おい、お前ら!」

 同時に入ってきた彼女に反応して、グレドが叫ぶ。

「ッ!? フォーメーションα」

「「え……」」

 が、それに入ってきたエレナを含めた他の三人は茫然としてしまう。



 シーン、――――――――――――


「………どうしたエレナ!?」

「「「仕切り直すな!」」」

「ってやってる場合じゃない!」

 そう彼女は珍しく狼狽、とまではいかないも驚き慌てた様子で北条たちを見て、

「村長がさらわれた」

 そう言った。

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