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「あれは何をしていたの?」

「ふふ、見た通りですよ。手の平の一部分から流れる血を集めていたんです。少し前にここでしたことと同じです」

「僕の手の平をナイフで切って、その血で赤い玉を作ったこと?」

「ええ、そうですよ。食堂では玉が精製される前に君に止められてしまいましたがね。これも呪いなんですよ」

「呪い?」

「君も気付いているはずですよ。君の血から作った玉が私のピアスになっているってことを」

 そう言うと、王子さんは髪の毛に手を添えて少し持ち上げると、耳元のピアスを僕に見せた。それは赤く輝いていた。


 そのピアス、僕の血でできてるの!?なんだか、気持ち悪い・・・。


「そんな嫌そうな顔をしないでくださいよ。このピアスには君の魔法が閉じ込められているんです。それを使って私は自分の背中の怪我を治したんですよ。結界さえ張られていなければ、君の魔法の力でここから脱出することも簡単にできたはずだったんですけどね」

「魔法を閉じ込めるなんてことできるの?」


 血でその人の魔法を閉じ込めて、それを使うだなんて一度も聞いたことないし、見たこともないけど・・・。


「これも呪いの魔法なのです」

「呪いねぇ。王子さんお得意の呪いってことはわかったけど、どうしてそんな呪いが必要なの?」

「僕には必要だったからです」

「必要・・・?」

「ここからが僕の秘密です。話しましょう」


 え?秘密なんじゃないの?言ったら駄目なんじゃないの?そのために僕を殺そうとしてたほどなのに。


「僕に教えちゃっていいの?秘密なんでしょ?」


 王子さんはクスリと笑うと言った。

「いいんですよ。君には何度も助けてもらいましたからね。それが理由ですよ。もうひとつ大きな理由がありますが、それは君自身がいつか気付くでしょう」

「え?」

「どうして私が血の玉を精製するか、私は血の玉を緋石と呼んでいますが、私が緋石を求める理由を君は知っています。君は見抜いていましたよ。そう、私がなりそこないの王子だと言うことをね」


 なりそこないの王子?それってどういうこと?


「なりそこないってどういうこと?」

「君もなりそこないでしたっけね。血だけをみるとそんなことはないんですが、容姿がシルバー・レイの特徴と違いますからね。でも、私はそれ以上なんです。考えてみてください。どうして私が緋石のピアスをしているのか、他人の血をもらう必要があるのか」


 えっ!?

 王子さんを初めて魔法科の図書館から盗み見たときから、確かに不思議に感じていた。王子さんから魔法の力を一切感じないのはどうしてなのだろうって。もしかして、そういうことなの?


 自分の考えに興奮して、なぜだか呼吸が少し苦しくなってきた僕は目の前の王子さんを観察するようにじっと見つめた。


 でも、それが本当だったら大変なことなんじゃないの?国のことに詳しくない僕だけど王族でそういう人間がいたなんて聞いたこともないよ。ましてや、祝福の王子と呼ばれる人間が魔法の力がないだなんて。


「魔法の力を持っていないの?」

 僕の問いに王子さんが小さく頷いた。

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