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 衝撃の事実に30秒以上固まっていた僕だったが、いを決して自分の首筋に手をやると、王子さんは僕の首筋から顔を放した。おそるおそる王子さんの様子をうかがうと、王子さんは小さく口を動かし何かを呟いていた。


 王子さん、独り言?何を言ってるのかわからないんだけど・・・怖いんだけど・・・。


 目の前の王子さんから目をそらすと、首筋がヒリヒリと痛むのを感じた。首筋を手でなぞってみると、ヌメリと嫌な感触がした。目で確認すると、それは血だった。


 この血って、屋上で王子さんに切られた時の傷口から出た血?井戸に落ちたときにはもう血は流れていなかったはずなのに、傷口が開いっちゃったのかな?うわぁ!!考えたくもないけど、王子さん、今この血を舐めていたんじゃないよね?そんなことないって言いたいけど屋上でのこともあるし、そうとしか思えないよ。何?僕の血に何かがあるの!?


「くっくっくっく・・・」

 僕が頭を悩ませていると王子さんが急に笑いだした。


 王子さん、壊れちゃった?


「やはり・・・君は何者です?」

 

 ん?何者と言われても、ただのセラーレテだけど・・・。


「この左手の腕輪は何です?」

 答えずに固まったままの僕の左手を王子さんが掴みあげた。

「君は今二時間弱眠っていたんです。その間に五回ほど汚水の中に沈みかけたんですよ。でも、その度にこの腕輪が光って君を引き上げていました。よく見させてもらいましたが、この腕輪には呪いがかけられていますね」

「呪い・・・?」


 僕の唯一の魔法の力、空を飛ぶことを封じている力を呪いと言うのならば、そうなのかもしれないけど、呪いって言われてもなぁ・・・。王子さん、呪い好きだねぇ。


「腕輪の呪いは君を守るための呪いですよ。私の呪いを弾け飛ばすほどのね。私は自分の秘密を守るために君に何回か呪いをかけました。全てを暴く魔法とは別物です。そちらはただの好奇心で重要なのはもうひとつの方でした。でもそれは効果なしでした。君は一体どんな秘密を持っているんですか?」

「秘密・・・?」

「私の秘密はもう君にばれてしまっています。だから、君を殺したかった。でも無理でした」

 王子さんは僕の掴んでいた左手をそっと放すと言葉を続けた。

「首筋のある一ヶ所から流れる血を使って口の中で精製すると、忘却の呪いになるんですよ。これも一般的なものではありません。それを使って君の記憶から私を消したかったのです。あの時も君は見ていたのでしょう?」

「あの時って?」

「雪の中、食堂に閉じ込められていた時に私が何をしていたのか、君は見ていた。そして止めた。私を掴んだ手は君の手だった。あっているでしょう?」

 そう言って寂しそうに笑った王子さんに僕はどうしてだかほんの少し見惚れてしまったのだった。

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