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「うわぁぁっっ!!」

 どこまでも反響するような自分の声とともに、僕は落ちていった。


 ボッシャャンッ!!


 大きな水飛沫と全身への突き刺すような痛みとともに僕の落下は止まった。腐ったようなどぶの臭いがすぐに鼻を刺激してきた。


 僕、落ちた・・・?

 ここ、どこ・・・?


 胸あたりまで水があることはわかったが、それ以外暗くて何も見えない。僕は両手を伸ばし辺りを探るが手に触れるのは水だけであった。


 落ちた時に身体中の骨が折れたと思ったけど、痛いだけで普通に動くね。ここに水があって助かったけど、なかったらきっとペチャンコだったね。


 自分の変わり果てた姿を想像し寒気がした。


 無事なのはよかったけど、ここどこ?


 腕だけでなく首も動かし辺りを探ると、暗闇に目がなれてきたようで少しずつ周りが見えるようになってきた。どうやら僕は今、筒状の壁に囲まれているらしい。上を見上げると微かに星らしきものも見えた。


 この水にこの形は、もしかして井戸・・・?


 直径が4.5メートルほどある大きな井戸のようだった。充満する腐った水の臭いと僕の体にまとわりつくヘドロ大群の様子からして、おそらく使われなくなった古井戸のようだった。


 げっ!僕、井戸に落とされたの?王子さんに?ナイフで殺すみたいなこと言っていたくせに、最後は井戸に落とすって?ずいぶんと陰気臭い殺し方だよね。

 にしても、王子さんが、ああ、思い出しただけでも鳥肌立っちゃうけど、王子さんが僕の首の血を舐めて、その後すぐに僕の足下が崩れて、落下したんだよね。ということは、ここを登れば屋上に戻れる?ってわけでもないか。屋上の真下に井戸があるわけないし。

 あーあ、きっとね、呪いってやつで僕、どこかの井戸に飛ばされちゃったんだよ。王子さんお得意の呪いの魔法ってやつでね。『魔法使えません』とか、王子さんは言っていたけど嘘だったんだよ。


「はぁ・・・呪いの相手をするのって疲れるよ。まずはこの井戸から脱出しないと・・・」

 溜め息をつきつつ、僕は絡みつくヘドロのようなものと戦いながら壁際まで行った。そして、壁に手をつき登れるかどうか確かめてみた。

「うーん、無理そう・・・」

 壁には一切のとっかかりがなく、濡れている僕が滑らずに登りきることは不可能であった。

「うーん、明日の夜になったら絶対出れるんだけど・・・でも、何か嫌だな。せっかく久し振りに飛ぶのに全身ずぶ濡れのヘドロまみれって」

 明日の夜には銀国に帰るために腕輪の魔法が解けるようになっていた。兄様が学院を出る前に僕の腕輪にその記録を残していってくれていた。

「丸一日ここにいるってきついけど、それしかないか・・・ん!んん?ギャーッ!!な、何かいる!!踏んづけたっ!!」

 何か弾力のあるものを僕は踏みつけてしまったようだった。足下のそのフニャッとした感触に全身の毛が逆立ち、僕はその場で思いっきり飛び上がっていた。

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