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 王子さんはシルバー・レイのことが何もわかっていないんだよ!!人を殺す目を持ったみんながどんな気持ちで生きているかなんて、考えもしないんだよ。だから、こんな酷いことも平気でできるし言えるんだ。


 掌で涙を拭い、王子さんにきつく視線を向けると僕は王子さんに怒りをぶつけた。

「シルバー・レイの金色の瞳を見たかったって、それだけの理由でお姉さんに魔法をかけたって簡単に言うけど、お姉さんの気持ちを少しでも考えた?金目になってお姉さんがどれだけ困ったか、隠れて見ていたんだから知っているんでしょ!!」

「全く」

「え?どういうこと?見えていなかったってこと?だったら言うよ。金目になったお姉さんは何度も目に無効化の魔法をかけたんだよ。必死にね。でもそれはかからなかった。だから、お姉さんはフードを深く被って目を隠し、その場に踞っていたんだよ。誰かに会って目が合ってしまったら、その人が死んでしまうことになるからって、どこにも行けずに不安の中でひとりで震えていたんだよ。その時のお姉さんの気持ちを王子さんも考えてよって言ってるの。お姉さんにどれだけ酷いことをしたかがわかるでしょ!!」

「全く・・・意味が理解できないですね」

 興奮気味の僕とは正反対に王子さんは何事もないかのように淡々と答えた。


 『意味が理解できないですね』って、僕にはその言葉の意味が理解できないよ。


 僕は少し話の方向を変えた。

「王子さんに聞くけど、シルバー・レイにかけられた呪いを王子さんは知っているの?シルバー・レイの金目と目が合ったら、死んでしまうということを。噂でも迷信でもなく本当のことなんだよ。もしもあの時、王子さんがお姉さんの金目と目が合うことがあったなら、死んでしまっていたんだからね」

「だからですよ」

 王子さんはまたしても平然と答えただけだった。僕は王子さんの言葉の意味が理解できず、王子さんの次の言葉を待った。

「それでもよかったってことです」

「それはどういう意味?」

「つまり、死んでしまってもよかったってことなんです」


 死んでもよかったって何を言ってるの?

 王子さんの言葉がもっともっとどんどんわからなくなっていく。


「死ぬのが誰だかわかってるの?王子さんなんだよ。お姉さんの時も、今だって王子さんが言うように僕がなりそこないじゃなかったら、王子さんは・・・王子さんが死んでしまうんだよ」

 僕の言葉を聞いて王子さんはクスリと静かに笑って言った。

「望むところです」

「王子さんは何を言ってるの?僕にはわからないよ」

「ああ、わからなくて結構です。祝福の王子と呼ばれる私だけの感情ですからね」

「もしかして王子さんは死にたいの?」

「単純に考えるとそうですが違います。色々と複雑なんですよ」

 そう言うと王子さんは一瞬寂しそうな表情を見せた。


 王子さんの言ってることも考えてることもしていることも訳がわからないけど、でも王子さんが祝福の王子の名前通りじゃないってことはわかったよ。悲しい存在だってことが。


「なぜ、泣くのです?」

 王子さんに言われ、自分がまた涙を流していることに気付いた。

「悲しいから泣くんだよ」

「そうなんですね。私に魔法をかけられたシルバー・レイの女性のことを思ってですか?それとも今から私に殺される自分のことを思ってですか?」

 さっきの寂しそうな表情はどこへやら、今の王子さんはいつもの楽しげな雰囲気に戻っていた。でも、僕は気付いてしまった。王子さんの中には哀しみが渦巻いていることが。

「違うよ。僕の涙は王子さんのことを思って流れているんだよ。心が痛くてね。それとね、王子さんが全力でかけてくれた呪いの魔法だけど、もう僕かかってないから。僕の瞳の色はすぐにもとに戻ると思うよ。だから今日はきっと僕のこと殺せないよ」

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