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「・・・痛・・・っ!」

「色が変化しないので偽物の髪の毛かと思ったのですが、違いましたね。本物のようですね」

 王子さんは僕の茶色い髪の毛を鷲掴みにして持ち上げると、確認するように引っ張り言った。身体中を駆け巡る電流のようなものによって気を失いかけていた僕だったが、髪の毛を引っ張られる痛さで正気に戻させられた。そして僕の顔は無理矢理上に向かされ、蔑むような顔で王子さんが僕を見ていた。

「やはり、シルバー・レイだったのですね」

「・・・え?」

「瞳が金色をしていますよ」

 王子さんは僕の髪を放すことなく僕の顔を近くで凝視すると、言葉を続けた。僕は混乱していて王子さんが言っていることも自分に何が起こっているのかということも理解することができずにいた。

「君にかけた魔法は全てを暴く魔法なんです。ああ、一般的には知られていませんよ。私の力を全部使って完成するほどのタブーの呪いですからね。先日、君に邪魔されて失敗に終わりましたがシルバー・レイの女性にかけた魔法も同じ種類ですよ。今回よりは軽いものでしたがね。それにしても、金目茶髪のシルバー・レイがいるとは思いませんでした。なりそこないのシルバー・レイが普通科に隠れていたなんてね」


 目が金目になっている?・・・タブーの魔法?シルバー・レイのなりそこない?どうして・・・王子さんはこんなことをするの?僕は苦しくて堪らないのに・・・王子さんはどうして笑っているの?


 王子さんを必死に見据えながら僕は言葉を発した。

「どうして・・・こんなこと・・・するの?」

「おや、まだ喋ることができるなんて凄いですね。そこも規格外ですね。君はおそらく魔法がかかりにくい体質なのでしょうね」

 王子さんの言葉を聞きながら、僕は意識が急に鮮明になるのを感じた。王子さんに髪を引っ張られてその痛さで意識が戻ってきたのとは違い、ある力が働いて僕の意識は正常になったのだった。その力とは腕輪であり、腕輪が僅かに発熱していて、それが僕にかけられた呪いを中和しているようだった。


 腕輪さん、ありがとうね。にしても、王子さんは僕に一体何をするつもりなわけ?


 今の僕は体が微かに痺れているだけで、立ち上がろうと思えばできそうであったが、僕はまだまだ苦しい振りをして絞り出すような声で王子さんに尋ねた。

「・・・どうして・・・こんなことを・・・?」

「君は先程からそればかりですね。言ったはずです。殺すと。それと、殺す前に君の正体を暴きたかったんです。君の正体にはずっと疑いを持っていたのですよ。疑いが確信に変わったのが先日のシルバー・レイの女性に魔法をかけたときの一件です。シルバー・レイの金目を直視しても君が平気なことにも驚きましたが、それ以上に君自身も金目になっていることに驚愕しました。それでどうしても君の正体を知りたくなったのです。今日、呪いが成功して、君がなりそこないのシルバー・レイだと明確になりスッキリしました」


 あの時、全てを見られてしまっていたんだね。それで、僕の正体をハッキリさせるために、タブーとかの呪いの魔法をかけたと。本当の僕も茶色の髪に黒目で普段の僕と一緒なのだから、何も変化することはないはずなのに、どういうわけかその呪いにかかって目が金色に変化しちゃったんだね。それで、王子さんは僕をなりそこないのシルバー・レイと判断しちゃったんだね。


 僕は王子さんに聞きたいことがまだ山ほどあった。引き続き、僕は苦しそうな声を出しながら王子さんに聞きたいことを尋ねた。

「シルバー・レイの・・・お姉さんに・・・魔法を・・・かけたのはどうして?」

「単純なことですよ。シルバー・レイの金目を見てみたかったからです」


 そ、そんな馬鹿げた理由でお姉さんに魔法をかけたの!?お姉さん、金目で人を傷つけたくないからって、困って悩んで苦しんで泣いていたんだよ。ひどすぎるよ!!王子さん!!


 王子さんの発言に言葉を失った僕だったが、王子さんは気付くこともなく、楽しそうに言葉を続けた。

「あんなことをしなくてもよかったのかもしれませんね。今十分に金目を見ることができているのですから。ああ、でも、なりそこないの君の目では私を殺すことはできていない、ということはこの金目もなりそこないってことですね。やはり、あのシルバー・レイの本物の金目を見ていて正解でした。おや、どうして泣くんです?なりそこないがそんなに悔しいのですか?」


 僕の両目からは涙が流れていた。

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