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『殺してやる』だってさ、それに『お前は何者だ!』って。食堂で王子さんがみんなの掌から血を抜き取っている時も思ったけど、王子さん絶対悪役だよね。言葉が怖すぎるんですけど・・・。
王子さんは一体何がしたいのかな?
王子さんに罵声を浴びせられて困惑中の僕は、王子さんを追いかけて歩いてきた道のりをトボトボと逆に戻っていた。
あーあ、僕がシルバー・レイのお姉さんの金目を見ていたところはバッチリ見られちゃってたんだね。それにしても、『金目を見ても死なないお前は何者だ!』だからね。言い方が怖いし威圧的なんだって。誰だっけ?王子さんを祝福の王子なんて言っていたのは。祝福どころか呪伏の王子だよ。
散歩道に戻り、シルバー・レイのお姉さんが罠にかけられていた場所を通ると、地面の砂に描かれた魔法の模様はもう完全に消えていた。意地悪な魔法がお姉さんにかけられたことを思い出し、嫌な気持ちになった僕は足下の砂をほんの少し蹴りあげた。
王子さんはシルバー・レイの金目無効化の魔法を破ってまで一体何がしたかったの?隠れて様子を見て、シルバー・レイが金目になるのを確認した後、何をするつもりだったんだろう?
結局、何を聞いても答えてくれなかったしね。それにしても、僕がシルバー・レイだってことばれちゃってるのかな?金目を見ても死なないってことは同じシルバー・レイだけだからね。でも、銀髪じゃなくて黒目の僕をシルバー・レイと思うには無理があるから、どうだろうな。
普通科の寮に戻ってきて、入り口の階段を上りながら僕は気になることを思い出していた。
僕の気のせいかもしれないんだけどね、王子さん、食堂閉じ込められ事件の時に腕を掴んだのが僕だってことも知っているんじゃないかな。『いつも掴みますよね』の王子さんの言葉がひっかかるんだよね。
寮から普通科の食堂へと向かいながら僕は心に決めたことがあった。
王子さんには金輪際、近寄らないようにしよう!殺されるかもしれないしね。まぁ、本気じゃないと思うけど・・・。本当に誰だよ、王子さんのことをいつもにこやかに微笑んでいるなんて言ったのは?僕に対するさっきの態度は鬼の形相だったんだからね。
普通科の食堂に到着し、魔法科の食堂に向かう途中で僕はあることに気付いた。
あのさ、僕には魔法科食堂のお手伝いがあったんだよね。今まさに向かっているんだけど、これって王子さんに関わりたくなくても、食堂で会っちゃうんじゃ・・・。どうしよう?あ、でも注文は取り巻きの人がするから大丈夫か。え?てか、不思議なんだけど、どうして王子さんは学院にいるわけ?ほとんどの生徒が家に帰っているんだよ。僕だって罰則さえなければさっさとお家に帰っているのに。
「ああっ!もう、わからないや」




