33
屋上で眠った僕は朝日の光とさえずる鳥の声によって目を覚ました。
・・・いつの間にか眠っちゃったんだね。って、あ!今何時だろう?食堂の朝のお手伝いはまだだよね、過ぎてないよね。
まだのぼりきっていない太陽を横目に僕は大急ぎで自分の部屋へと戻り、時計を見た。時計の針はまだ朝の5時を指していて、食堂のお手伝いまではまだだいぶ時間があった。
ふぅ・・・遅刻しなくてすんだね。
安堵の息をひとつ吐くと、僕は洗面台に行き蛇口から出てくる冷たい水で顔を洗った。
昨日の早起きは辛かったけど、自然に起きた早起きは気持ちいいねぇ。せっかくだから、どこかに出掛けてみる?
コップ一杯のリンゴジュースを飲むと僕は部屋を出た。
寮を出て鳥の森と呼ばれる森に着くと、踞る人の影が見えた。人影が魔法科のフードを目深く被っていたことが遠目にわかった。
フードをあんなに深く被っているってことは、もしかしてシルバー・レイ?でも、そんなはずないか。シルバー・レイは全員、昨日の朝、銀国に向けて学院を出て行ったのだから・・・。
少し警戒しながらゆっくり近付くと、深く深く被ったフードの隙間から銀髪が僅かに見えた。
ん?この銀髪はやっぱりシルバー・レイだね。
側まで近付くと、踞ったシルバー・レイに聞こえるように僕は膝をついて話しかけた。
「ねぇ・・・」
僕が声をかけた瞬間、踞ったシルバー・レイの体がビクッと大きく震えた。
急に声をかけて僕ビックリさせちゃった?
踞ったシルバー・レイを驚かせないように、僕は優しい声で再び話しかけた。
「急に話しかけて驚かせてごめんね。どうしたの?しんどいの?」
踞ったシルバー・レイは僕の言葉に顔を一切あげることなく答えた。
「大丈夫です。ありがとうございます。ただの貧血なのですぐに治まると思います。どうぞおかまいなく」
「立ちくらみなの?先生を呼んでこようか?」
「いえ、大丈夫です。しばらくじっとしていたら治りますので、ひとりにしていただけませんか」
本当に?ただの立ちくらみでどうしてそうも顔をあげてくれないの?なんだか、頑なだなぁ。
「顔、見せて?」
僕の言葉に踞ったシルバー・レイの体が固まった。
そうだよね、これは失礼だよね。僕がシルバー・レイって知らないんだから。
僕は慌てて名を名乗った。
「僕はセラーレテだよ。だから安心して。体調が悪いんだったら言ってよ」
僕の言葉に踞ったシルバー・レイが大きく顔をあげた。そして僕を見た。
「目の色・・・」
顔をあげたシルバー・レイの瞳の色を見て、僕は思わず声が出た。瞳が金色だったのだ。
シルバー・レイの寮の中じゃなくて、こんな普通の人が通るところで金の瞳にしちゃうなんてまずいよ。金の瞳を見たら、シルバー・レイ以外は死んじゃうんだよ。そういう呪いなんだよ。




