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「体調は大丈夫なんですか?」

「お体の具合は?」

「今日の宝探し、準優勝だって。おめでとう」

「暴走した魔法にひとりで立ち向かったんですってね。凄いわ」

「先生達が誉めまくってたぞ。王子ナシュイハルト、本当に凄いな」

「魔法科最強を見せてもらったぜ」

「凍死しかけた俺の友達が、王子ナシュイハルトがいなかったら死んでいたかもしれないって言っていたぜ」

「尊敬します!」

 王子さんが食堂に現れると食堂にいた生徒達が口々に声をかけた。王子さんの体調を心配する声であったり、王子さんの行動を称賛する声であったりした。王子さんに話しかける生徒達の姿は王子さんに憧れを抱き、熱い視線を送り、それはまるで王子さんに陶酔しているかのようであった。そんなみんなの言葉に対し、王子さんはふわりと微笑んだだけで、一切言葉を発することなく取り巻き5人に守られたまま、テラス横のサンデッキへと消えていった。


 夜のサンデッキには電灯が灯るんだね。ムーディーだねぇ。


 明かりが漏れてくるので、夜のサンデッキが光に照らされ幻想的な空間を作っているであろうことが容易に想像できた。


 王子さん達以外にサンデッキに行く人を見たことがないけど、あそこは王子さん達だけのものなのかな。ずるいなぁ。今度、王子さん達が来ていないときにこっそり探検してみようっと!!


 そのあと、王子さんの取り巻きが料理を注文するために僕のもとへときたけれども、王子さんが来ることはなかった。


 そういえば、ここでお手伝いをはじめてから王子さん一度もカウンターに来て注文したことがないね。取り巻きさんがディナーセットを2つ頼んでいたから、きっとそのひとつが王子さんの分てことなんだろうけど。王子さんは自分で注文なんかしないってことなのかなぁ。なんだかそれって高貴だね。


 それから30分後、王子さんが取り巻き達と食堂を出ていくのが見えた。その時も食堂にいた何人かが王子さんを見て、誉め称えるような声をかけたが、王子さんはそれに対してもふわりと微笑んだけだった。食堂を歩いている間中そんな王子さんをじっと見つめていたが、王子さんがカウンターに立つ僕のことを見ることは一切なかった。


 よかった。あの時腕を掴んだのが僕だったって王子さんに気付かれていないんだね。だって気付いていたら、死んでもらうとまで言ったんだよ。言った相手を意識しない訳がないよ。

 それにしても、王子さんに対するみんなの態度を見ていたら、王子さんが人気者だってことがわかったよ。それと、今日の宝探しでの閉じ込められ事件は王子さんが全部助けてくれたことになっているってことがね。

 でも、僕はそれは間違いだと思うんだ。あの時、王子さんには魔法の力が残っていなかった。気を失ってしまったリーダーやみんなと同じようにね。だから、王子さんのガード魔法がきれるのも時間の問題だったはず。だから、王子さんはみんなのことを助けることなんてできなかった。

 あの血の儀式が何を意味しているのか、僕にはわからないけど、ただひとつわかることはあるよ。あれは普通のことじゃないってことだけがね。王子さんはみんなの血を使って何かをしようとしていた。でも、僕が王子さんの腕を掴み途中で止めさせた・・・はず。

 だとしても、まだ大きな謎が残るんだ。食堂にかけられた暴走して加速し続けた魔法を、王子さんが消したのじゃないのだとしたら、一瞬にして消し飛ばしてくれたのは一体誰なのかって謎がね。

 あともうひとつ気付いたこと。みんなに人気者の王子さんだけど、みんなに見せてる姿が偽りの姿なんだってことがわかってしまったよ。

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