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食堂にいた生徒たちはいったん出入り口へと向かい、扉がなくなったことを全員が確認した。それからみんなは食堂の中央に集まった。集まった15人ほどの中で一番背の高いお兄さんが口を開いた。
「俺ははじめてだけど、こうやって閉じ込められるのって時々あるらしいんだよな。友達が前、閉じ込められてた。結局さ、宝探し終了時間までこの部屋から出られないんだよな。まあ、あと45分ぐらいだろうし、この中でガードの魔法が切れるやついないよな」
お兄さんは言い終わると確認するようにみんなを見回した。それに対して、大丈夫とばかりにみんな頷いた。お兄さんはみんなの様子を見て安心したように言った。
「ならよかった。こんな雪の世界でも途中で魔法が切れたら危険だからな。ま、そうは言ってもこの部屋に入ってきた時点でそれ相当の力があるはずだから大丈夫に違いないだろうがな」
そう言ってみんなに笑顔を向けるお兄さん。
うわぁ、カッコいいなぁ!!お兄さん、リーダーだよ。ほら見て、さっきどうしようって騒いでいたお姉さん3人もお兄さんの言葉ですぐに落ち着いたよ。
お兄さんもといリーダーは言葉を続けた。
「それじゃ、この部屋の宝をまだ見つけていないやつは探すのを推奨する。なんたってレアな銀色だしな。ま、探し終わったやつは雪だるまでも作って時間が過ぎるのをゆっくり待つかな」
リーダーの言葉によって5、6人ほどが宝を探しに奥へと向かっていき、残りの人達は雪遊びを始めた。キャッキャッと楽しそうな声が響き渡る穏やかな雰囲気の中、お姉さん3人はというと雪だるまを作り、そして鎌倉作りにも精を出していた。
なんだか楽しそうだねぇ。これだけ見たら冬の楽しい外遊びだよね。これもそれもリーダーの言葉だよね。一歩間違ったら、みんな閉じ込められてパニックになっていてもおかしくない状態だったのにね。それが、こんなにみんなが楽しそうなのは、さすが、リーダーだよ。それに、宝物もとっくに見つけていたみたいだしね。あ、そう言えば王子さんは?さっき食堂の奥の方にひとりで向かって行くのを見たのにね。とっくに宝物を見つけていて、僕の気づかない間に食堂から出ていっていたのかな?
「ねぇ、そこでコソコソと何をしているのかな?」
突然、頭上から声をかけられ僕は驚きのあまり、心臓が止まりそうになった。心を落ち着け、ゆっくりと顔を上げると、リーダーが僕を見てニッコリと笑っていた。
げっ!もしかして見つかっちゃった?
リーダーに見つかてしまった僕はお姉さん3人に見つかった時のように心配されるのが面倒臭くて、説明を捲し立てた。
「ここの食堂で働いていて、普通科の生徒で、試験なのに食堂に来てしまって、でも魔法をかけてもらっているから寒さは大丈夫で・・・」
「ストップ!そんなに勢いよく教えてくれなくても大丈夫だってば。だいたい見たらわかるから。それよりも、こんなところで小さくなってないでさ、こっちに来なよ」
素敵な笑顔のリーダーになかば強引にカウンターと言う雪の塊の下から引きずり出されてしまった。僕はそのまま鎌倉作りに勤しむ3人のお姉さんの横を通り過ぎて、白い雪が飛び交う雪合戦が行われている場所まで連れてこられた。
ちょ、ちょ、危ないなぁ。今顔の横を雪玉がかすったよ。にしても、ここでは4対3で雪合戦をしてるわけね。って、まさか!?
「ひとり仲間が増えたぞ!」
嬉しそうなリーダーの声にリーダの味方らしき2人が手を振りリーダーに答えた。
味方ってもしかして僕のこと?僕も雪合戦に参加なの?
僕の心の声が聞こえたかのようにリーダーは言った。
「雪合戦楽しいぜ。一緒にしような。えーと、名前は?俺の名前はリサエル。18歳クラスだぜ」
雪合戦、確かに楽しそうだよ。でもさ、僕を呼んだのって、絶対に人数合わせでしょ?まぁ、いいけど・・・。みんなより小さい僕だけどやるからには全力でいくからね。固めて固めて、当たったら痛い雪玉作っちゃうからね。
「普通科12歳クラスのセラーレテです。リサエルさん、やるからには勝ちましょうね」
18歳クラスということで兄様と同じクラスらしきリーダーに僕は不適な笑みで自分の名前を言うと、足下の雪で雪玉を作りはじめたのだった。




