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「なんだよっ、この部屋!!」
食堂の入り口付近から生徒の叫ぶ声がまたもや聞こえてきた。
うん、うん、わかるよ。この食堂の部屋の温度ね、今-20℃らしいよ。睫毛とかも凍っちゃうんだって。
「うぅ・・・寒い!!ここはやめとこう」
食堂に入って数歩で踵を返し、生徒は食堂から出ていった。
「まだ2人だけか・・・」
そう呟くと、食堂のカウンターだった場所に隠れながら、食堂だった場所を見渡す僕。そうなんです、ただいま宝探しに潜入中なのです!!
『宝探し』という管理人さんの言葉を聞いて、食堂が閉まった後、ひとりこっそりと戻ってきた僕。すると、少しして魔法科の教師がやってきた。見つからないようにカウンターの裏に踞って隠れると、食堂を魔法の閃光が走った。そして、その後すぐ教師は食堂を出ていった。誰もいなくなったことを確認して顔を上げると、辺り一面が雪と氷の世界になっていた。
「うわぁ、凄いなぁ・・・!」
雪景色に見惚れるのもつかの間で、すぐに全身を寒気が襲った。
「凄いけど・・・寒い・・・」
睫毛が凍り、まばたきができなくなった。厨房にいき、コンロをひねって火をつけようと試みたが、コンロは氷の塊になっていて無理だった。食堂が完全な雪と氷の世界になってしまっていたのだった。
「ここの雪のどこかに宝が隠れているわけね。てか、宝探しを見たいけど、その前に僕凍死しちゃう!」
魔法科の実技演習試験の宝探しだけあって、魔法で体をガードしないと、この部屋には長い時間いられないようだった。命の危機を感じて、普通科の厨房に繋がるドアに向かったものの、頼みのドアももれることなく雪景色の一部となっていた。背に腹は変えられないと魔法科の生徒に会うのを覚悟して、魔法科の食堂の出入り口を開けようとすると、ばったりと兄様にあった。僕の凍える姿を見て全て理解したようで、兄様が魔法をかけてくれた。すぐに体がポカポカと温かくなり、凍死は免れた。食堂だったはずの雪景色の中を兄様は奥にずんずんと進んでいった。こっそりと僕も付いていくと、氷の池があり、兄様はそれを容易く割って手のひらサイズの銀色の玉を手に入れた。
「それが宝物なの?」
こっそりを忘れて尋ねた僕に兄様は頷きそして言った。
「食堂の外には生徒がたくさんいるから、出ていかない方がいいよ。宝探しが終わる間はレテにかけた魔法は消えないから、終わってからいつもの道で帰るんだよ。いいね」
ラッキー!!
ということで、僕は今カウンターだった雪の塊に隠れつつ、宝探しに来る生徒達を思う存分、観察しているのだった。でも、部屋が極寒の地になっているので、さっきの生徒のように入り口付近で帰ってしまい、中まで進んできたのは10人ほど。そのうち、氷を割って銀色の玉を手に入れたのは、兄様を除いたらひとりだけだった。
なんだかなぁ・・・。魔法で作った雪世界が見れたのは嬉しいけど、ほとんど人が入ってこないもんなぁ・・・。最初はウキウキしてたけど、これだけ誰も来なかったら退屈だよ。試験は何時ごろ終わるのかなぁ?
時計がある場所を見上げるとそれは雪だるまになっていた。
駄目じゃん。てか、何時に終わるかも知らないんだけどね。
「ほんとに暇だなぁ・・・ふわぁぁ・・・zzz」
大きな欠伸をひとつして、僕はそのまま眠ってしまった。




