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シュリモナに言われて、銀国に帰れなくなるかもしれない事実を知って落ち込んだ僕だったが、兄様の登場で救われた。兄様が父王に僕の魔法使用の許可をかけあってくれていたようで、無事許可がおりたらしい。僕は魔法を使って銀国に帰ることができる。ライナとシュリモナの間で項垂れる僕にそのことを兄様が伝えに来てくれたので、僕は元気を取り戻したのだった。
魔法使用の許可がおりなければ、僕は銀国に帰ることができなかった。なぜなら、銀国への交通手段は船しかなく、その船も定期船はないので、学院に通う生徒が帰るためだけに、明後日、城下町に銀国から迎えの船が来る。つまり、それに乗ることができなければ、銀国に帰れないことを意味するのである。くしくも、僕の校則違反の罰則の期間は後13日も残っていて、どう頑張ってもその船に乗れない。だから、魔法が使えなければ帰ることができなかったのである。僕が使える唯一の魔法、そして僕にしか使えない魔法を使って僕は銀国に帰る。
半年ぶりぐらいだけど、魔法ちゃんと使えるかなぁ。ああ、地面から離れるその瞬間を想像するだけで、なんとも言えず気持ちが高ぶるね。
食堂のお手伝い2日目、朝は昨日と同じで食べに来る人は少なかったが、フード姿のお客さんが急に増えて、おばちゃんがびっくりしていた。シルバー・レイ達は昨日の夜、僕が口を酸っぱくして言ったことをしっかり守ってくれたようで、僕に対して騒ぐことはなかったし、話しかけたりすることもほとんどなかったので僕が被害を受けることはなかった。
食堂に来てもいいけど、話しかけたり、僕を見て騒いだりしないでねってみんなに言ったんだよ。だってさ、それでなくても孤高の人と言われるシルバー・レイが昨日の昼と夜の2回に食堂のお手伝い人の僕に話しかけていっているんだよ。これ以上みんなに話しかけられたりなんかしたら、僕悪目立ちしちゃうでしょ。僕は銀国出身ってことを隠して普通科にいるんだからね。このことを言ったら、みんな納得してくれた。
ただ、問題点はひとつあった。食堂に慣れている人が少ないために、メニューの見方や注文の仕方が下手だったり、カウンターの変なところで急に止まったりと、教えるべきことがたくさんあったので、それは疲れた。
あと、残念なこともあった。おばちゃんの様子を見ると、薄く目を開けた薄目でシルバー・レイに対応していた。そのため、人相がすごく悪く見えて、包容力があるように見えるおばちゃんの良さが半減していたのが、ちょっと残念だった。
「お疲れさまです」
朝のお手伝いが終わり、薄目が癖になりつつあるおばちゃんに頭を下げて食堂を出ようとすると、食堂の管理人さんが現れた。
「今日はここの食堂を授業で使うから、いったん閉めることになった。お昼はお手伝いには来なくていいから」
「はい、わかりました」
素直に頷きながらも、聞きたいことがたくさんあってウズウズとしてきた僕。
授業って今日は実技演習試験でしょ?ライナとシュリモナが言っていたもんね。ということは、食堂で何かをするってこと?料理対決とか?だったら学年は?
「何歳のクラスが使うんですか?やっぱり食堂では料理対決ですか?」
僕の質問に管理人さんが答えてくれた。
「料理対決って、またベタな。違うよ。宝探しだわよ。魔法科みんなでするやつ」
宝探し?まぁ、なんて楽しそうな。それもみんなでなんて!!
「どんなことするんですか?」
「魔法科敷地内の色々な場所に隠された宝を探すわけさ」
うわぁ、最高だね。これは潜入のしがいがありますね。てか、僕も宝見つけたいよ。僕の参加は駄目なのかな!?




