16
「今までこそこそしてたのが報われたんだ。よかったな」
「うん、そうなんだけど・・・」
故郷に帰るリーヤやクラスメイト達を学院の門の前で見送りながら、僕はリーヤだけに魔法科の食堂での手伝いになったことを伝えた。リーヤは当然のようによかったなと言ってきたのだけれども、当の本人の僕はいまいち乗り気じゃなかった。その様子を見て、リーヤが不思議そうに尋ねてきた。
「あれ?嬉しくないの?」
「うーん」
「合法的に魔法使いを見放題なわけだろ」
「うーん、そうなんだけど、食堂では誰も魔法を使ったりしないんだよね。だから、僕達の食堂と何も変わらないっていうか・・・」
「そっか。確かにな」
「ま、2週間もあるんだし、僕が転んで皿を吹っ飛ばしたりしたら、面白いことが見られるのかもしれないんだけどね」
「ちょ、怖いこと言うなよな。魔法科って言ったら、王子ナシュイハルトやシルバー・レイがいるんだからな。くれぐれも彼らの頭の上に熱々シチューとかをぶっかけないでくれよ」
頭に熱々シチューか・・・。シルバー・レイなら、ごめんなさいって僕が謝ったら、みんな許してくれそうだけど、王子さんはどうなるだろう。昨日の朝、階段でぶつかった時は、すごくきつい口調だったからね。ぶつかった相手を牢屋にでも入れそうな勢いだったと思う。
王子だからそうなるのかな。でも、僕も一応王子だけどそんなことないよ。人とぶつかったらごめんなさい、人がぶつかってきたら大丈夫?って言うけどなぁ。
「うん、気を付けるね。あ、バスが来たみたい」
電車に乗るためには、バスに乗って街まで降りなければいけなかった。そのためのバスが今、ちょうど来たところだった。
「行くな、レテ。じゃ、一ヶ月後にな」
「うん。僕も二週間したら、お家に帰るね」
手を振りバスに乗り込むリーヤやクラスメイト達。僕も手を振り、笑顔で見送った。
「さてと、もうすぐ12時だね。食堂にお手伝いに行くとしますか」
眩しい空を見上げて呟いた僕は、朝と同じ場所を目指して駆け出していった。




