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終業式があった次の日の朝7時、僕は教師に言われたように、食堂へと向かっていた。もちろん、お手伝いをするために。2回目ということでかってもわかり、食堂の管理人さんを見つけると挨拶をした。
「おはようございます。セラーレテです。今日から2週間、よろしくお願いします」
笑顔の僕に管理人さんは、またあんたかというような嬉しくなさそうな表情を浮かべていた。
「今度は厨房じゃなくて接客を頼むよ」
「はい、わかりました」
「返事と愛想はいいんだけどね。今度はあんまり転ばないでおくれよ」
そう言えば、厨房の床は滑りやすいから、よく転んでたな。
前回のお手伝いのことを僕が思い出していると、管理人さんが僕の手をとって言った。
「前と場所が変わるから、案内するよ」
「変わるんですか。どこにですか?」
食堂ってひとつしかないと思うけど、どういうこと?
「魔法科の食堂」
「え?」
僕が管理人さんの言葉を聞き取れなかったと思ったようで、管理人さんがもう一度同じことを言った。
「魔法科の食堂を手伝ってほしいの」
「ええっ!いいんですか!!」
嬉しさのあまり急に大声を出した僕に管理人さんが訝しげな視線を送ってきた。
「君、もしかして喜んでる?」
僕が魔法科大好きっ子だってことがばれたら、せっかくのチャンスが水の泡になっちゃうかもしれない。ここは平常心平常心。
「ま、まさかそんなことないですよ。いやだなぁ」
「そう?」
まだ不審そうに僕を見つめる管理人さん。
「いや、だから、いいんですかって、いいのかなってことで、だって、僕、普通科の生徒ですよ。それなのに魔法科の食堂のお手伝いなんてしてもいいのかな、なんて」
「ああ、そういうこと」
しどろもどろな僕の説明をすんなり理解してくれた管理人さんにホッとしながら、僕は言葉を続けた。
「はい、そういうことです。先生とかも知っているのかなって」
「それは大丈夫。食堂で働いている人達は普通科でも、魔法科でもどちらも普通の人なのよ。だから、あんたも働けるに決まってるわ」
うっひょー!!でも、教師にばれないだろうか?
「先生は知っているんですか?」
「知るも何も、食堂で2週間こき使ってとしか、言われてないんだから、あとの采配と権限は私にあるってわけ」
やったね!!僕にとってはこれはプレゼントだよ。管理人さん、大好き!!
「今、魔法科の方で人手が足りないのよ。だから、そこに行ってもらうということ。どう?理解できた?」
「はい!!」
僕は満面の笑みで返事をした。
魔法科の食堂ってどんなところなんだろう?普通科と同じかなぁ?フォークとかスプーンとか持たずに、魔法で浮かして食べるのかなぁ?食堂には色々な食べ物が浮いていたりして。ぷぷぷぷ。楽しみだなぁ。
「はい、着いたわよ。みんなに挨拶するから中に入って」
普通科の調理場から、地下の通路を10分ほど歩いて魔法科の食堂に到着したようだった。管理人さんの開けた扉の向こうに向かって、僕は挨拶をした。
「魔法科12歳クラスのセラーレテと言います!!これから2週間、よろしくお願いします!!」




