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 部屋へと戻り、フードを急いで脱ぎ捨てると、ベッドに腰をおろした。

「ふぅ、間に合った・・・」

 気持ちを落ち着かせていると、部屋をノックする音が聞こえた。

「はーい」

 返事をしながら、いそいそと扉を開けるとリーヤが立っていた。

「レテ、おはよう。体調、どう?」

「もう、バッチリだよ」

 僕の笑顔にリーヤもホッとしたような表情を見せた。

「よかった」

「おぶってもらったり、薬をもらってきてくれたり、色々とありがと。リーヤがいなかったら、大変なことになっていたと思うよ」

 僕の言葉を聞いて、リーヤが小さく微笑んだ。

 

 ほんとだよ。魔法科の図書館の階段で泡吹いて倒れたままだったわけだからね。いつかは、兄様が助けには来てくれただろうけど。


「お腹空いたね。今日はどこで食べる?」 

「中庭とかは?」

「いいね!」

 鞄を手にとると、僕はリーヤと一緒に朝日が射し込む花で溢れる中庭に行った。食堂で買った朝ごはんをお腹いっぱいふたりで並んで食べた。



「ええぇぇっっ!!それって、どういうことですか!?

 僕のすっとんきょうな大声が教室中に響きわたった。クラスメイト達は僕と、僕と対峙している教師とを交互に見ていた。教師は淡々と告げた。

「はい、決定事項ですので」

「何でですか!?僕みたいな健康優良児が、どうしてペナルティをもらわないといけないんですかっ!」

「健康優良児はおいといて、校則破り魔だかですよ」

「校則なんて、破っていません。あれとあれぐらいです」

「あれとあれとは、夜中に屋上侵入したのと部屋で隠れて豚を飼っていたことかな」

「はい、そうです。その2つはトイレ掃除一週間と食堂の手伝い一週間で、帳消しになりました」

「そうだったね。その2

つのことは不問だよ。だから、他の校則違反だよ」

「だから、他にはしてないですってば!」

 やれやれという様子で中年の教師が再び口を開いた。

「魔法科校舎の教室に5回、魔法科図書館に32回、魔法科プールに2回、魔法科体育館に7回・・・と、これ、君が勝手に潜り込んだ回数ね。まだまだあるよ。魔法科音楽室に4回、魔法科トイレに8回、全部言ったほうがいいかな?」

「結構です」


 最後のトイレって別に隠れて何かしようとかしてたんじゃないんだからね。ただ、魔法科に潜り込んでたら、トイレに行きたくなって行っただけなんだから、変な言い方しないでよ。


「ということで、最初に言った通り、セラーレテ君、明日から2週間、食堂のお手伝い頑張ってください」

 落ち込む僕に対して、クラスメイト達の励ましの言葉が飛び交っていたが、それどころではない僕には一切届いていなかった。

「はい、それではこれにて終業式も終わり、前期が終了となります。皆さん、大いに長期休暇を楽しんできてください」


 うぅ・・・。甘くみていた。捕まらないから、ばれてないとばかり思っていた。シルバー・レイの寮に行ってるのもばれてる・・・?


 教師が退出し、ざわつく教室から僕は急いで廊下に出て教師を追いかけた。

「先生!」

「どうしたんですか?」

「あのですね、僕の魔法科潜入記録リストの中に寮は入っていましたか?」

 僕の問いに不思議そうな顔をしながらも、教師は答えてくれた。

「入っていませんでしたよ」

「そうですか」

「こんなこと言うのも何ですが、寮は止めといた方がいいですよ。シルバー・レイなどは呪いの目でいると聞きますから」

「はい、わかりました。気をつけます。あと、どうやって、ばれたんですかね、魔法科に行ったことが。先生、知ってますか?」

「知っていても教えませんが、普通科に魔法を持つ者が、魔法科に魔法を持たない者がいると感知されると耳にしたことがあります。残念ですが、もう行けなくなりますね」

 そう言って、いたずらそうに笑うと教師は手をフリフリと振って行ってしまった。


 シルバー・レイの寮に行っていることはばれてないけど、あとはバレバレなわけね。腕輪で魔法の力がゼロに見える僕は魔法科敷地内では魔法なしで感知されちゃったってことか。で、寮はまがりなりにも僕もシルバー・レイだから、スルーってことなのかな。


「レテ、大丈夫か?落ち込んでないか?」

 廊下で立ち尽くしている僕にリーヤが心配そうに声をかけてきた。顔を上げて、笑顔で答える。

「ものすごく落ち込んだけど、もう立ち直ったから大丈夫。2週間なんて、きっとあっという間だし、お手伝いが終わったら、すぐに国に帰るよ」

「そうだな」

「もしかしたら、料理も上手になるかもしれないし」

 笑顔の僕にリーヤも笑っていた。


 リーヤと教室に戻ると、クラスメイト達から賛辞の嵐を浴びた。

「レテ、すごいな。魔法科に行くなんて」

「豚事件からこいつはやるやつだと思っていたよ」

 みんなに誉められ、ちょっとした英雄気分を味わっていた僕だったが、リーヤがそっと囁いてきた。

「レテ、勘違いしてそうだから言うけど、誰も誉めてないからな。誉めてたら、一緒にしたいって言うやつが出てくるはずだけど、誰もいないだろ」


 たしかに・・・納得。もうちょっと浸らしてよ、英雄気分に。

 ま、いっか。明日には銀国に帰るつもりだったけど、2週間学院内を探検し放題だと思えば。空を飛ぶのをあと2週間我慢しないといけないのが、ちょっとつらいけどね。


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