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 兄様のその笑顔が何かを含んでいそうで怖い・・・。僕の淡い期待は砕かれたか・・・。僕を助けてくれたシルバー・レイはやっぱり兄様で、この様子から、倒れていたのは僕だって完全にばれてるね。


「レテ、部屋に行こうか」

 優しく微笑む兄様に頷いた僕はライナとシュリモナに別れを告げ、兄様と連れだって兄様の部屋へと向かった。談話室を出るときにライナが心配そうな視線を僕に送っていることに気付いた。

 

 勘のいいライナは気付いたのかもしれないね。兄様の笑顔がいつもと1㎜違うのが・・・。

 このまま談話室で話したかったな。そうしたら、みんなの目があるから2割は怒られるのが少なくすんだはず・・・。


 ここにきて、悪足掻きをする僕。前を歩く兄様に甘えた声を出した。

「兄様、僕晩ご飯食べてないんだよ」

「部屋で何か作るよ」

 サラリとかわされ、死刑執行が段々と近付いてきた。

 

 覚悟を決めなくちゃ。兄様には何もかもばれているよ。だって、リーヤが言っていたシルバー・レイは間違いなく兄様だよ。僕が魔法を使ったのに気付いてとんできたんだと思う。ここに来てすぐに、空を飛ぼうとして魔法を使って気絶したときも、兄様がすぐに気付いて助けにきてくれたのだから。そのことを忘れていたなんてね。


 談話室を出ると廊下が続く。その一番奥が兄様の部屋であった。僕の前を歩く兄様にトコトコとついていった僕は兄様が開けた部屋の扉から中に入った。

「腕、見せて」

 部屋に入るとすぐに兄様が僕の左手を指差した。僕はスゴスゴと腕を差し出した。兄様が赤あざを擦りながら言った。

「ああ、これはすごいなぁ。よく手が千切れなかったね。うーん、5秒いや3秒かな、あと3秒締め付けられるのが長かったら、レテ左手無くなっていたね」

 さらりと怖いことを言われ、僕は青ざめた。

「レテ?怖かったの?泣いてるけど」

「・・・うん」

「大丈夫。僕は運が良かったねって言っているんだよ」

「・・・うん」

「それじゃ、詳しく話してくれるよね」

 そう言ってふわりと微笑んだ兄様の金の目は薄い金の光をはなっていて、兄様が物凄く怒っていることと、普通の人がこの目を見たら、一瞬で死んじゃうだろうなってことのふたつのことが頭の中を駆け巡っていた。

 

「ふーん、それで魔法を使ったわけか」

「うん」

 説明が終わり、項垂れた僕の頭を兄様がポンポンと優しく撫でた。そして、席を立ち、キッチンへと向かった。


 怒られない?!


 料理をはじめた兄様の動きを目で追いながら、僕の心に光が差し込んできた。


 よくよく考えたら、僕は人を救ったわけだからね、この国の王子さんと言う人を。いや、兄様は話がわかるね。前回はこっぴどく怒られたのにな。


「レテ、はい」

 たった5分で焼きたてパンとサラダとハンバーグとスープを僕の前に持ってきてくれた兄様。

  

 うわぁ!!美味しそう・・・。よだれが出ちゃうよ。かぶりつきたいっ!!待て待て、僕は今約束を破って反省しているわけだから、しょげていないといけないんだよ。


 食べたいけど、色々と思惑があり、しょげた体を装っていると、僕の前の椅子に座った兄様が笑いながら言った。

「反省したふりしなくてもばれているからね」


 うぅ・・・。ばれてる。と言うことは・・・。


「いっただきまーす!!」

 満面の笑みでハンバーグを頬張った。


 美味しいなぁ。あっという間にこれだけ作っちゃうんだから、すごいよね。これも魔法なのかなぁ。魔法のこと全然知らないんだよね。魔法の力はあるけど、みんなみたいには使えないから・・・。


「そんなに美味しい?」

「うん」

「兄様も食べる?」

「いや・・・レテ忠告しとくよ。次に魔法を使ったら、たぶん死ぬよ。守れないんだったら、腕輪を外して国に帰らないといけなくなるけど、どうする?」

「・・・・・・」

「王子ナシュイハルトはレテが助けなければ、死んでいたかもしれない。誰ひとり彼の異変に気付いていなかったのだから・・・。でも、もう一度言うよ、魔法は使ったら駄目だ。不可抗力だったとしても」

 真剣な眼差しの兄様に僕はフォークを皿におき、答えた。

「約束します。もう、魔法は使わない」

「そう・・・」

 兄様は優しく微笑んだ。


 その兄様の優しい微笑みを見て、自分の兄ながら銀国の王子様はかっこいいなぁって思っちゃった。


 兄様と会わなかったここ一週間のことを兄様に聞いてもらっているうちに、お腹もいっぱいになった僕は段々とまぶたが重くなってきていた。

 今日、僕の友達のリーヤに初めて会った兄様がリーヤのことを誉めてくれたのがなんだか嬉しくて、左腕の赤あざのことも気を失ったことも、力のない王子さんのことも、兄様が触れたことで左腕の感覚が戻ったことも、全部、全部忘れていつの間にか心地よい眠りへと落ちていっていた。


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