表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/10

9、10ページ

9ページ


桔梗です。

綺麗な四葉のクローバーを見つけましたので、栞にしてみました。

四葉のクローバーを見つけると幸運が訪れるらしいですから、お裾分けです。

この日記に挟んでおきますから、もしよろしければ勉強の時にでもお使い下さい。

直接お渡し出来ればよかったんですが、こういった形で申し訳ありません。

テスト、比奈さんの満足いく点数が取れますように応援しています。

比奈さんは努力家の方ですから、きっと上手くいきますよ。


僕は雨が降るとよく祖父と囲碁を打っていました。僕の家は両親がいつも忙しかったので、相手はもっぱら祖父相手だったんです。

文句一つ言わず付き合ってくれる優しい人でした。

時々庭に出てみては一緒に虹を見つけてその日一日幸せな気分になってみたり、蛙とお喋りして楽しんだり、比奈さんと同じように水溜りを踏んだりもしていましたよ。

妹とは一歳違いですが、彼女は人形遊びをよくしていたように思います。どうやら姪もそうらしいですから、やはり親に似る、という事なのかもしれませんね。


見るもの全てがきらきらと輝いていて、希望で溢れていて、時間が過ぎるのがあっという間の日々でした。

大人になった今にして思うと、それが子供の特権なんでしょうね。

ついクローバーを探してしまったのは、そんな頃を羨ましく思ったからなのかもしれません。

一緒に探してくれた女の子は、なんと五葉のクローバーを見つけていました。

驚いていたら、十枚のも見た事があるよとあっさり言われてしまって更にびっくりです。


姪には、いえそもそもは妹との会話だったんですが、比奈さんの素敵なところを沢山話しただけですから心配されなくても大丈夫ですよ。


6月23日 桔梗





10ページ


比奈です。

栞、ありがとうございました。本当にとても綺麗な四つ葉ですね。それになんだか、清潔な香りがしました。

早速歴史の教科書に挟んでみました。憂鬱だった教科書を開くのが楽しみです。

なくさないように大事に大事にしますね。


十枚のクローバーなんてあるんですか! それはびっくりですね。

小学生の頃、クラスの男の子が七つ葉のクローバーを見つけて一生懸命数を数えていました。

枚数によって意味が違うそうで、七枚は最大の幸運だったそうです。

それを先生から聞いた男の子がお母さんにあげよう! とすごく嬉しそうにしていたのが印象深かったですね。

私もその時に四つ葉のクローバーを見つけましたが、見事に虫に食われていたのが残念でした。

五つ葉を見つけた女の子は、その後どうしたんでしょう。


栞で思い出したんですけど、以前桔梗さんとお話した蝶シリーズの最新作が出ましたね。

早速本屋に行ったんですが、桔梗さんがいらっしゃらないのはやっぱり少し寂しくなっちゃいました。

まだ序盤しか読めていませんが、今回も面白そうで読み進めるのが楽しみです。

本当にこのシリーズには外れがありません。

惜しみなく綴られる美しい表現の一方で、どんどん追い詰められていく主人公がこれからどうなってしまうのかはらはらです。

読み終わったら、今までのシリーズも読み直そうと思っています。

何気ないところに張られている伏線に気付いた時、たまりませんよね。


そうそう、母に相談してみたところ無事許可が出ましたので、字の教室に通う事になりました。

もっと読みやすい字が書けるようになるのを期待していてくださいね。


6月24日 比奈


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ