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モンスターファーミング  作者: 犬草
雑草畑と緑のスライム
2/21

01 夢の第一歩

 ●一日目●


「ここが我らにとって永久に安住の地とならんことを願う。王の祝福よ、我らを守りたまえ【領土宣言(ドメイン)】」


 開拓団の団長が特殊能力を発動させると、彼を中心に光の輪が広がった。

 彼の職種(ジョブ)もすでに【村長】へと変化を遂げているだろう。 

 開拓団の皆は一様に笑顔となり、ここに来るまでの旅の疲れを忘れて手を叩き合う。先に来て魔物たちを掃討していた騎士たちも、その光景を微笑ましそうに見つめていた。村長となった彼も、細波のように広がった拍手の音に聞き入っている。

 やがて祝いの音が収まると、村長が言った。


「皆、ここまで一人の脱落もないままよく頑張ってくれた。それぞれ理由は違うだろうが、ここにいる皆はこれから共に暮らすことになる仲間だ。知らない人だからとすれ違わず、積極的に交流を深めて欲しい。まずは整地からだ。自分の寝るところはくらいはキレイにしておきたいだろう」


 そうして廃村の再開拓が始まった。打ち捨てられた家屋はすでに人の住める状態ではなく、旅の最中と同じように馬車と野外に分かれて寝ることになった。

 だが、魔物に襲われる可能性は減少している。

 【領土宣言】をしたことで、この場を中心とした一定の領域内では、魔物の戦闘力を減少させ、国民の回復力を上昇させる効果が広がっている。その違和感を感じ取って、魔物が入ることを嫌がるのだそうだ。 

 そうして、一日目が終わった。



 ●二日目●


「次のもの」


 早朝から村長さんが特別な職種を【任命】していた。そして、ボクの番がやってきた。


「お願いします。モンスターファーマーを希望しているポロンです」

「うむ、この者をモンスターファーマーとして【任命】する」


 光に包まれるてすぐにそれは消える。

 パーソナルカードを取り出して確認すると、今までなかった職種という表記の横にモンスターファーマーという表示が生まれていた。

 今この瞬間からボクはモンスターファーマーだ。

 だけど夢の第一歩を踏み出しただけ、これからが本番だ。


「ずいぶんと若いようだが、こんな何もない場所だ。思う存分無茶をしてくれ」

「もちろんです」

「ははははは。元気でよい。それで牧場の場所のことなのだが……」


 村長さんが少しだけ口を濁す。

 その様子に、何を伝えようとしているのか理解した。

 

「わかってますよ。やっぱり怖い人は怖いでしょうからね。一番外にしますから心配しないで下さい。それに後々のことを考えれば外側ってのは悪くないですからね」

「そうか、助かった」


 飼い慣らすといっても魔物は魔物だ。怖い人と感じる人は少なくない。


「念の為にだが、騎士に同行してもらえ」

「わかりました」


 騎士団の休憩場所となっている仮設テントへと寄る。

 夜番だったのか、眠たそうに体を揺らしながらテントへと戻る姿を見かけた。反対に、ごくろうさまと声をかける人物がいた。

 あの人がいいかな。


「すみませーん、ちょっといいですか」

「何か用か。む、従魔師(テイマー)の方か。少し撫でさせて貰ってもいいだろうか」

「よく気づきましたね。クロ、もっと姿を見せてあげて」


 ボクの影から黒い狼が姿を表す。

 影狼。光を反射しない影色の毛を持つ狼。旅の最中でさえクロの存在に気づくものは誰もいなかった。

 そんなクロを恐ることもなく、ガントレットを取り去ると慣れた手つきで毛並みを整える。


「もしかしあなたも従魔師(テイマー)ですか」

「残念ながら私は守護者(ガーディアン)だよ。昔、父が狩人をしていたころは相棒に狼を連れていた。私もこうして世話をしていたことがある」

「なるほど」


 それでクロに敵意がないのか。

 従魔であれ、敵意を持たれれば人を警戒する。クロにその様子はなく、大人しく自慢の毛並みを触らせていた。

 というかボクが撫でるよりも気持ちよさそうだね、クロ。


「ちょうどいいですね。あなたに護衛をしてもらえないでしょうか。土地探しにちょっと遠くへ出なければならないので」

「【領土宣言】したとはいえ、廃村は魔物たちの住処になっていたのだ。この辺りはまだ危険だぞ」

「ボクはこの(たび)モンスターファーマーになりまして、牧場を作るための土地が必要なんですよ。魔物はやっぱりアレですから」

「ああ、なるほど」


 それで通じるのだから、この人もボクの職種に十分理解のある人のようだ。


「わかった。少し待っていてくれ」


 そう言って場を離れると、食事をしていた騎士の一団へと近づき二言三言話すと、すぐに戻ってきた。


「では行こう。ところで先程から気になっていたのだが、中に何が入っているか聞いても良いか」

「ああ、これですか」


 どうやら騎士様はボクの背負っている樽が気になっているらしい。

 旅の間は隠していたが、この騎士様なら大丈夫だろう。


「スライムです」 


 読んで下さってありがとうございます


 これを書いていてもう一つのほうをすっかり忘れていました。おやすみですzzz

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