表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/11

ばしゃん!


僕のすぐ後ろで水しぶきがあがる。

何が起きたのかと思って振り返った直後、クラスメートの女子が叫んだ。


「先生! 夏輝が落ちた!!」


僕は咄嗟にプールに潜り、制服姿の日下部さんを水面まで連れて行く。

でも僕にはそれが精一杯で、あとはほとんど先生の力で日下部さんはプールサイドまで引き上げられた。


「日下部さん、大丈夫?」


日下部さんは先生からの声に反応することも出来ないくらい、激しくせき込んでいる。

少し落ちてしまっただけとは思えないくらいの量の水が吐き出される。

しばらくして落ち着くと、日下部さんは先生と目をあわせてゆっくり顎を引いた。


「よかった。けど、かなり水を飲んじゃってるね……。みんな、プールから一旦上がって! 先生、俺は日下部さんを連れて行くので、後の指示をお願いしても?」


もう一人の先生が少しだけ緊張した顔で頷く。

そうやって引継ぎをすると、先生は日下部さんを背中に乗せて行ってしまった。


「なあ、日下部って今日見学だよな」

「先生、体調不良って言ってなかったっけ」

「さっきまでベンチ座ってたじゃん。なんでプールに落ちんの?」


異常事態を理解し始めたクラスメートたちによって、徐々にざわめきが広がっていく。

僕は先生の指示通り、プールサイドへ上がる。

すると、最初に叫んだ女子の話が耳に入って来た。


「夏輝、何か変なひとりごと言ったの。そしたら急に立ち上がって、そのまま……」

「え、じゃあ自分でプールの方に歩いていって落ちたってこと?」

「なにそれ、意味わかんなくない? 夏輝はいったい何がしたかったわけ?」

「ていうか、ひとりごとって何?」

「私も、よくわかんない、けど……」



「『ミズノくんがヨんでる』、って」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ