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第九話 出会い

 俺は二人に言われてから倉庫を探しながら補助魔法スキルの習得を目指していた。


「むぉぉ…速度、上昇!!」


 俺の足元が白い光で包まれると足が軽くなった感覚とともに、視界左上の表記に変化があった。


―――――――――――

DAY【1094/1095】

Time【11:35】

DEATH【53/1000】

【速度上昇】レベル1習得

―――――――――――


「良し!」


 スキルを初めて使えた感動が知らず声に表れる。スキル発動に要した集中とSP消費の影響からか、軽い脱力感もあったがまるで異世界転生して魔法を使っている気分だ。


「お、ついに覚えたんか」

「俺達にも頼む」 

「オッケー」


 一度習得すると簡単に使えるようで、立て続けに速度上昇を二人にかける。


「うぉ、めっちゃはや!歩く速度か自然に2倍くらいになる感じ!?かいおーけん4倍だーーー!!!」

「2倍だろ。しかし、これは速度に慣れないと事故る可能性があるな」


 異常な動きを俺も体験しようと一歩踏み出す

タイミングで俺に先程かけたばかりの【速度上昇】の効果が切れた。

 レベル1なので持続時間が非常に短いのだろう。続けて自身にスキルをかける。


「あ―――」


 俺は次の瞬間何かに激突して視界一面が白く染まった。



―――――――

―――――

―――

―――

―――――

―――――――


「あ、れ?」


 意識を失っていたのか?まぶたを開ける前に先に口が開いた事に違和感を覚える。


「あ、気が付きましたか?」


 女の声?


 まぶたを開けると至近距離に茶髪の少女?の顔があった。心配そうな顔だ。


「あの、大丈夫ですか?」

「え、いや?大丈夫ですよ?」


 視線を動かし二人を確認するが、いない…。


―――――――――――

DAY【1094/1095】

Time【11:40】

DEATH【55/1000】

―――――――――――


 時間は5分程しかたっていないようだが…新たに二人亡くなっている。…まさかね?


「あの、立てますか?僕はマロンって言うソーサラーをしてる者です」


 そう言ってショートカットの少女?もとい僕ッ娘?は手を差し出してくる。


「あ、どうも。俺はベルです。ハイクレリックをしてます」


 差し出された手を掴もうとすると、見えない壁に阻まれた。


「あ、あれ?」


 マロンという僕ッ娘は自然な動揺を見せる。


「あぁ、そうでした、街中では接触禁止だったんだ」

「街中では?」

「フィールドに出ると接触出来るんですよ」

「そうなんですか、お兄さん詳しいですね」

「い、いやぁ?」


 慣れないとお兄さんと言う言葉と中性的な見た目と声音からどう接したものかと思案してしまう。


「ハイクレリックをされてるなら、もしかしてホワイトアウトした感じですか?」

「ホワイト…アウト?」 

「あ、もしかして初めてですか?SPが減ると倦怠感に襲われて、ゼロ以下になると視界が真っ白になって気絶するんです」

「え、ええ!?ゼロ以下!?」

「あ、SPが足りなくてもスキルは使えるんで、マイナスになったりするんです」

「や、やば!?」 

「時間経過で自然回復するんですけど、SP1に戻るまで動けないので、本当にフィールドじゃなくて良かったです」


 そう言うとマロンはニッコリとごく自然に微笑む。な、なんだろう。この世界にきて初めての体験を俺はしているのでは…。


「あ、ありがとうございます」


 俺は貴重な情報を教えてくれたマロンに深々とお辞儀をする。


「いえいえ。ところでお1人ですか?もしお1人なら僕の所属ギルド【赤い森の塔】に案内しましょうか?」

「あ、すみません。悪友2人とギルドについては決めてるので。お心遣い感謝します」

「そうですか、僕達は宿屋【街の中心亭】に拠点を置いてますのでもし心変わりされましたら悪友さんたちも一緒にどうぞ」

「ありがとうございます」

「それでは、またどこかで」


 そう言って中性的なマロンは去って行った。


 連絡手段も無いので仕方なく二人が帰って来るのを待っていると、おー!いきてたかぁ!と二人が帰ってきた。


「なぁなぁ、俺らが死んだと思った?思ってしもた?」

「俺はベルが時間差で死んだ可能性を危惧していたぞ」

「ほんとかなぁ…」


 二人はやはり相変わらずなのだった。

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