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第八話 ステータス

「そういえば、他のキャラクターを触れないってどんな感じ?」


 露店が並ぶ街一番の大通りを歩きながら俺は梅梅に問う。


「実際やってみたらえんやない?」


 そう言うと梅梅は立ち止まり無い胸を突き出してきた。


 なんでやねん!とツッコミのグーパンチをお見舞いしようとしたところ、見えない壁にはじかれた。


「わかった?ちなみに俺が握ってるこの白薬草を取ろうとしてみ?」

「ほ、ほぉ?」


 俺は言われるままに、梅梅がアイテムBOXから取り出した白薬草を取ろうとする。


 俺の指先は薬草から5cm程手前で見えない壁に阻まれる。


「取れんやろ?そんで、次にこれや」


 梅梅は何か操作する仕草をすると、パーティに入る時の様な感じで俺の視界に選択肢が浮かんだ。


【梅梅と取引を行いますか?Yes/ No】


「Yes選択したら薬草掴んでみ」

「…うお、触れる」

「そういう事、あとは自分のアイテムBOXに収納する流れやな。ただま、これもアイテム触れるだけで相手の外装には触れられないで」

「街中での犯罪行為を防ぐためなのかな?抜け道はある気もするけど…」

「ちなみにモンスターがいるフィールドじゃ普通に相手に触れるから、PKプレイヤーキラーするやつもたぶんおるで、知らんけど」


 言われてみれば、神丸が梅梅にフレンドリーファイアした後の救命行為、確かに相手の外装に触れていたな。


 割とリアルなゴア表現まで思い出してしまい気持ちが沈むのを感じると同時に、街中だけでも安全な事に気持ちを切り替え安堵する。


「二人とも、確認はそれくらいにしてまずは飯にしよう」


 え、でも昨日全部使ったんじゃ、と言う俺を遮り神丸から取引の申請が来る。


「お前達が話してる間にそこの露店で貨幣に変えておいた」


 貨幣を受け取りながら露店を見ると【資源買取】とあった。おそらく木材や鉱石の部類だろう。


「段取りいいやーん、まぁまぁの稼ぎ?」

「まだ相場が良く分からんからなんとも言えんな。20年前と違い店を選ばずドロップアイテムを売れるシステムでも無いようだ」

「専門の買取屋か…」


 俺が買取屋を覗いている間に2人は、何かの肉らしい串焼きを買ってすでに頬張っていた。


 うまいな。技術の進歩おそろしなぁ。とそれぞれ感想まで話している。


 呆れて文句を言おうとしたところ、梅梅から串焼きを差し出されて俺の口はふさがった。


 確かにうまい。食べる事の幸福を感じていたところ食べ終わった神丸が邪魔をする。


「それで、もう気付いていると思うがアイテムBOXには重量制限があってステータスの筋力に比例するシステムは継承されている」

「あ、やっぱりそうなんだ?」

「たぶんゴッドしか筋力あげてないで、今確認とれた感じやな」

「あぁ…言われてみればそうか」


 まぁ、それでだ、と腰に手を当て神丸は話を再開する。 


「どうも20年前と違って倉庫が見当たらなくてな、アイテムBOXの重量制限にひっかかる前に倉庫を確保しておきたい」

「神丸も見つけて無かったんか、俺も薬草で余力ほぼないから賛成」

「…んぐ。なら、今日は街中の探索?」


 串焼きを急いで食べ、平和そうな今日の予定を確認した声がはずんでいる気がする。安全な街の中が目的地だともストレスを感じないのかも知れない。


「そんなところだ、まず街を囲う外壁に沿って探索、可能なら家屋の中も見る。ひとまわりしたら次は中央に向け同じように探していく」

「おっけー、それじゃ行こか」


 梅梅、神丸、俺という相変わらずの並び巡で俺達は探索に向かった。


―――

――――――――――――――――

DAY【1094/1095】

Time【09:30】

DEATH【53/1000】

――――――――――――――――

―――


 探索を始めてから1時間程たっただろうか?避難所と化していた宿屋の他にもいくつか宿屋がある事を確認したり、20年前の街並みを思い出しながら、隅々まで再現されている建物に感動して入れる建物には片っ端から入ろうとするがどうもNPCが住んでいて勝手に入れる建物は少ないようだ。


 また、NPCそれぞれのAI技術の高さや個性に感動し、これがデスゲームである事を忘れてしまうくらいに没頭して街を探索する。


 かなり広い街だがおそらくNPCの方がプレイヤー数より多い可能性がある。というのも、プレイヤーの場合近づくと外装の上に名前が表記されるのだが、これまでにほとんどすれ違っていないからだ。


「いやぁ、結構探したけど無いもんやな。そういやステータスの話でもしとく?」


 梅梅も感動に慣れてきたのか、子供の様にあちこち走り回っていたのをやめて話を振ってくるので、その話を少しまとめてみる。


 初期ステータスは全て1、1レベルあがるとステータスを2ポイント上げられる。


 職業スキルは反復練習で経験値が入りあがるので、基本レベルとは関係なくあげられる。


 職業のスキルツリーにはスキル発動の条件説明が無く効果のみ記載されていて、どうも本人の強いイメージとスキルに関連性のあるステータスが発動条件として必要なのではないかと神丸は推測しているようで、魔法が使えないのは恐らくINTが1だからだと。


 また、スキルLvゼロから1 にするのが一番大変らしく、SPはスキルポイントというよりスタミナポイントで職業スキルの発動に使い、魔法もおそらくSPが関係してくるだろうという認識らしい。


 そして俺達個人の能力はこんな感じか。 


―――――ステータス―――――

名前    梅  神  鈴 


基本LV  20  30  15


HP    233  53  38

SP    20   30  160


※STR   1   59   1

※INT    1   1   29

※DEX   1   1    1

※VIT   39   1   1

※AGI    1   1   1

※LUCK   1   1   1


―――――職業&スキル―――――

梅梅

盗賊(スティールLv7)

鍛冶師 未習得

錬金術師 未習得


神丸

剣士(強打Lv5)

魔法使い 未習得

弓使い(集中力向上LvMAX)


鈴星

ハイクレリック 未習得

――――――――――――――――


 いやいやいや…俺が酔い潰れてる間に開いた差が激しいな。それに神丸のスキルだ。


「弓使い選んだ理由ってそれかぁ、集中力向上で命中率(DEX)をあげるわけだね」

「そういう事だ。スキル発動から3分間だが、DEX+30補正でゴブリンのような中級モンスターにもこれで対抗できる、20年前と変わらなければだがな」

「俺も早く二人に追いつかないとな」

「まぁ俺はベルについては心配はしていないが…」


 神丸はそう言うと眉間に皺を寄せ、眼鏡キャラクターではないのに眼鏡を押さえるモーションを取った。恐らく本気で悩んでいるのたろう。


「え、俺?大丈夫大丈夫、なんとかなるって、知らんけど。それより倉庫、はよ探そ」


 何か言いたげな神丸から逃げるように梅梅は会話を断ち切り、倉庫探しを再開した。

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