第四話 職業申請
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DAY【1095/1095】
Time【17:00】
DEATH【35/1000】
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5分毎に湧き続ける最弱モンスターを手当たり次第狩りまくっていると日が落ちてきた。
「もう2時間近く経つのか…」
気持ち悪いモンスターの見た目と体液や粘液は未だに慣れないが、数をこなすうちに戦闘というものに慣れてきた。といっても、未だダメージは受けた事が無いので痛みについては未経験なのだけど。
「おーい、モンスターいなくなってきたし、そろそろきりあげようよ」
別方向に散らばっている二人にそれぞれ呼びかけると、二人は手をあげて返事を返してきた。
「収穫は?」
街に戻りながら二人に成果を尋ねる。
「基本レベル15やね、あとはノーマルのドロップアイテムと、レベルアップ時のHP回復は無いって事くらいや。そっちは?」
「俺はレベル20だな。ベルは?」
「レベル15だよ、1人だけ20って早くない?」
「俺はステータスポイントを筋力に全振りしてるからな」
「相変わらず脳筋だなぁ…今回も上位職のロードナイト?」
20年前の神丸は騎士の上位職で槍を振るっていた。Roでは職業を3つ選択できるのだが、3つ全て同じ職業を選択した場合にのみ上位職か選べるシステムになっている。
上位職は単純に強い性能を持つのだが、職業スキルを組み合わせる事ができないデメリットがあった。スキルの組み合わせとステータス次第では必ずしも上位職が最強になるわけでもなかったので上位職を選ぶ人はむしろ少なかったほどだ。
「いや、今回はVR視点で自分の姿が見れないから上位職は辞めておく」
「そうそう、俺もそれ思ったわ」
「あー…そういや二人とも前にキャラ選んでたのそんな理由だったね。ウメは折角の女キャラなのに踊り子でムチ無双しないの?」
「せんよ、変なのに絡まれたら面倒やん。ベルは今回も同じ?」
「クレリックの上位職、ハイクレリックに今回もなるよ。二人とも危機管理ガバガバだし、支援するのも好きだからね」
「人の運命を自分の意思で左右できるからな」
「ちょっ!?人聞きが悪い!!訂正しないと支援しないよ!?」
「ほらこれだ、教会権力ときたら」
純粋な俺の優しさの誤解のされ方が半端ない…。抗議しようかと思ったが梅梅に先を越される。
「ロードナイトせんのやったら何すんの?てか、腹減らない?食欲あるとかやったら睡眠欲とか、そのへんの数値とかまさかパラメーターにあるんか?」
「相変わらず目茶苦茶な話し方だな…。もう冒険者ギルドは目前だ、職業申請後に宿屋か酒場でも探してそれから打ち合わせしよう」
「オッケー」
俺達は冒険者ギルドに入り受付のNPCと会話し冒険者登録の申請をする。
NPCのスキルかシステムなのか分からないが、俺のステータスが紙の巻物に転写されステータスとレベルが確認がされた。
レベルの不足が無いことから、希望の職業を3つ選択していく。
※クレリック
※クレリック
※クレリック
これで良し…と。
受付NPCに特にこれも問題なく受領される。無事終わったので二人と合流しようと思ったのだが、何やら二人はNPCと揉めていた…。
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「冒険者様、現在のステータスから考えますとこの職業の組み合わせはオススメできません」
「かまわん」
「失礼ですがステータスと職業スキルの関係はご存知ですか?よろしければご説明致しますが」
「大丈夫だ、問題ない」
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「なかなか親切なNPCやなぁ、初心者にはこういうのええんやない?でもホンマに知ってるんよ、例えばやけど――
※STR(Strength)は物理攻撃と所持アイテム重量で戦士系とかに重要
※INT(Intelligence)は魔法系
※ DEX(Dexterity)は命中率で弓使いとか
※ VIT(Vitality)は体力やからどれでも
※ AGI(Agility)は素早さと回避やろ
※ LUCK(Luck): クリティカルとかドロップ
って感じであってるやろ?」
「認識はあってます、ただ選択されている職業の組み合わせは茨の道ですよ?職業は一度決めると変更できませんので、本当に大丈夫ですか?」
「一番良いのがこれや」
「わかりました」
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なんだろう、この既視感…モヤモヤしながら二人を待つ。
「待たせたな」
「いや〜新設設計やね。初心者でも最低限生き残れるように配慮って感じ?てか、受付NPCの能力高すぎん?中の人いたとしても分からんであれ」
「それぞれに固有のAIらしいな」
「凄い時代やなぁ。ま、それはそれとして、はよ酒場か宿屋探そ、腹減ったわ」
「腹減るか〜?」
梅梅に急かされ俺達は冒険者ギルドを出た。