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第二十五話 ソロ活動

 俺は『速度上昇』を利用し【冒険者ギルド】に到着する。


 魔法のおかげで所要時間が通常の半分以下に短縮されていそうだ。


 最初は早すぎる動作に慣れず、壁にぶつかりまくっていたが今ではかなり自在に身体を操作できるようになっている。


 こんな経験をしたらリアルで歩くのが辛くなりそうなくらい便利だ。


「さてと、急がなくちゃな」


―――――――――――

DAY【1092/1095】

Time【10:00 】

DEATH【63 /1000】

―――――――――――


 【赤い森の塔】との会議まであと2時間もない。正確な時間を打ち合わせては無いが、10分前集合はマナーみたいなものだ。


 仕事じゃないから事情を説明して待ってもらうという手もあるが、今後の事を考えれば街中で起床させる方法を知っておいて損は無い。


 ギルドに入ると他にプレイヤーはおらず、受付嬢にすんなりと質問する事ができた。スキルで起こす場合はダンサーや吟遊詩人といったパーティーメンバーへのバフをメインとした職業であれば対応したスキルがあるらしかった。


 どちらもパーティーで戦闘する事を前提にした職業なので、突如発生したデスゲームにおいてこの職業を選ぶ者は少ない気がする。


 この職に就いている者がいる可能性としては【街の中心亭】に行って探すのが早いかもしれないが、仮にいたとしてそんな雑用みたいな事で協力してくれるだろうか?


 悩んでいる俺に受付嬢はモンスタードロップアイテムである『突撃ラッパ』でも起こす事ができると教えてくれた。


 確か20年前の『突撃ラッパ』はそんな仕様は無く、ただ売るためだけのドロップアイテムだったが、今回は楽器として使用できるのか。


 ドロップアイテムの新しい使い方に興味を持った事もあるが、ドロップアイテムを探しに行く方が早いかもしれない。


 好都合にも『突撃ラッパ』は地下墓地の少し奥に行った所にいる『ゾンビオーク』『スケルトンオーク』がドロップすることのあるアイテムだ。


 20年前に良く利用した狩り場だし、ハイクレリックの俺がソロ狩り可能な場所。アイテムが手に入らなくても30分だけでも経験値上げをする事で開いたレベル差を少しでも縮められる。


 また今朝の詠唱でのスキル習得の検証も1人でなら恥ずかしくなく検証できる。


 そう思うとこれが最善の選択に思えてくる。


 俺は受付嬢に礼を言って墓地へと走った。


―――

――


「良し、行くぞ」


 俺は気合を入れるために入口前で頬を軽く叩いた。急いで墓地入口に移動したのでSPは8割ほど残っている状態か。


 街までの帰路を考えて、狩り場にいれる時間を計算すると30分程だ。目的の『ゾンビオーク』『スケルトンオーク』以外の敵は無視して奥に進んで行く必要がある。


『速度上昇』


 2度目のソロ狩りだ、きっとうまくやれる。


 自分に言い聞かせ恐怖をやわ―――


『ギャァァァァァアアアア!!!!』


 複数の冒険者が蜘蛛の子を散らすようにして入口から出てきた…。



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