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第二十四話 睡眠

―――――――――――

DAY【1092/1095】

Time【09:15 】

DEATH【63 /1000】

―――――――――――


 俺はマロンさんと別れてから露店でコッペパンとミルクを購入し、急いで俺達の拠点に向った。


「ごめん!遅くなった!」

「まさか1時間過ぎるとは思わなかったぞ、何かあったのか?」

「あー話せば長くなるんだけど―――」


 俺はコッペパンとミルクを神丸に渡してから遅れた事情を説明する。


 神丸は興味があまりないのか特に質問する事なく頷きながらコッペパンを食べていた。


「とまぁ、こんな感じ」

「事情は分かった。ただ、俺は二人のどちらとも会ってないから何とも言えん感じだな。梅梅が起きてれば良かったんだが」

「やっぱりまだ起きてない感じなのこれ?」


 微動だにしない梅梅を見ながらコッペパンをかじる。やはりあまり動かないと心配になるな。


「そうだな、かれこれあと少しで5時間くらいになるか?」

「仮説だけど、無茶して見えないパラメーターの睡眠ゲージがゼロになると強制的に何時間か気絶寝するみたいな感じで理解したら良いかな?」

「状態異常のデバフとして【酩酊】が出るって前に言っただろ?あの時俺は感覚でそろそろ本当に限界だな…と分かると所で気絶したんだ。

 どのくらいで【酩酊】が解消するかは出てなかったし、いつから気絶するかの数値は分からなかった。

 あと、【睡眠不足】も似たような感じで表示はされるんだ」

「出てるのならさっさと寝ようよ、ウメも何してるんだか…」

「まぁ、そうなんだがな。実際こんな事になるとは思わんだろ。

 【睡眠不足】は能力値が少し下がるくらいの認識しかしてなかったからな。つい寝るのを後回しにしてしまう」

「うーん…まぁ事故みたいなもんかな。

 ところでフィールドで寝落ちしたとして、殴って起こすとかできると思う?」

「おそらくできるだろうが、様々なデバフが強化されて現れるんじゃないか?【毒】が【猛毒】になるみたいに。

 本来気絶寝する所を無理矢理起こすのだからな。それに【酩酊】ではアルコール耐性が少しあがったが【睡眠不足】は何もあがらなかった。寝なくても良い身体になるとかだとゲームバランスを崩すからだろう」

「うーん、そこはゲームバランスというか、脳の限界なんじゃない?単純に。

 寝ないで大丈夫な経験してリアルに戻ったら普通に問題あると思うし」

「デスゲームのくせに親切設計なのが気に食わないな」

「運営もデスゲームに巻き込まれた側だからとか?」

「そういう事ならまぁ説明もつくのか」


 神丸はミルクを飲み干し、溜息を一つついた。


「まぁ、色んな可能性を考えながら順応して進むのみだな。今のところ20年前と比べて状態異常の種類は豊富そうだ。

 …ところで、何時まで待つ?」

「そうだなぁ…そろそろ5時間だよね」


「5時間がどないしたん?」


 その時、何の前触れも無く急に梅梅が会話に入ってきた。


「なるほど、5時間で起きれたか」


 神丸が何か考え事をするのか腕を組み虚空をみつめ始める。


「ウメ覚えてる?気絶寝してたんだよ?」 

「あー…5時間も経ったのか、俺が寝てる間に何かあったん?」

「ええとね―――」


 俺はコッペパンとミルクを渡しながらマロンさんとライトとの揉め事について説明した。


「へぇ、男?本人が?ほほ~ん?」


 ウメは何か気になる事があるのか何か呟き始める。


「俺の予想やったら、たぬきち君以外は女やと思ったんやが、そうかぁ、男ねぇ?」


 女だと?

 またややこしい話を持ち出してくるな。


「そんなことよりウメ、【睡眠不足】状態は解消されたのか?」

「あー…まだ残ってるわ」

「どうやら【睡眠不足】が一定時間続くと気絶寝するようだ、ひとまず時間まで寝るか?」

「ほんまか、それやったら寝とこか」

「俺も残念ながら【睡眠不足】状態だ。ベル、すまんが11時くらいに起こしてくれ」

「いや、外部から起こす方法なくなかった?」


 ん?


 おかしいな、返事がない…。


 いやいや、もう寝てるとか早すぎるだろ!?


 …仕方ない、起こす方法が無いか情報収集してくるか。

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