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第二十二話 デジャヴ

―――――――――――

DAY【1092/1095】

Time【07:45】

DEATH【63 /1000】

―――――――――――


 梅梅が起きるつもりでいた3時間がそろそろ経過する。起きる前に帰ってこれただろうか?

 

 路地裏に戻ってくると、神丸が起きていて何やら腕組みをして思案中だ。


「お疲れさん、早いな」


 俺がどこに行ってたか話さずとも察したのか、特に説明無しで通常運転に入る。


 20年前と同じ様なルーティンを復帰三日目にして既に行い初めている自分に少し驚くが、この調子ならブランクを取り戻せるのは案外早いかもしれない。


「おつあり、石畳が痛くて起きちゃってね。

 ウメはどんな感じ?

 4 時頃まで薬草取ってたみたいだけど」


 干し草の中に沈んでいる梅梅は俺が今朝見た時と何も変わっていなかった。


「とりあえず死んではいない様だが俺が起きてからはピクリともしてないな。

 脈拍や呼吸は分からないからデータを信じるしか無いんだが、多分生きてるだろう。

 起きるまで待つしか無いというのが不便極まりない」

「音に反応して起きるとかは?」

「そう思って試したら挑発スキルの【大声】を習得した、それから何度か試しているが反応は見られないな」


 そう言って神丸は梅梅の耳元で剣士の挑発スキル【大声】を使った。


 空気が振動したように感じるほど耳の奥で キーンと言う音が残っている。


「うるさ!?」

「これがレベルMAXの【大声】だ」

「いや!?どんだけ叫んだんだ!?」

「しかしどうする?【赤い森の塔】と昼から会議なのだろう?」


 俺のツッコミに特に反応する事なく神丸は淡々と続ける。優秀な秘書とかにありそうな反応だな…。


「うーん…寝落ちする前に本人は3時間後に起きるつもりでいたようだけど、起きる気配が無いって事は回復が遅いのかも?」

「何の回復だ?」

「ゲームは違うけど、ザ-ジムピープルとかだとベッドの効能によって必要な睡眠時間とか変わるんだよ。野宿は起きるのに必要な睡眠ゲージの回復が遅いとかあるんじゃない?」

「なるほどな、超リアリティがここにも影響している訳だな」

「過労死とかあったりして?」

「それは否定できんが、先にデバフとして影響が出てくる気がするな」

「確かに、そう思うと割と健康を管理できるツールかも?」

「デスゲームで健康管理か、笑わせてくれる」


 なんだか今朝もこんな事話したような…と、デジャヴを感じるやり取りをしていると8時を過ぎてきた。


「朝飯でも食べに行く?さっきゾンビが落とした宝石を貨幣に変えてきてるんだけど」

「宝石とは良いじゃないか。

 【街の中心亭】に何泊できる金額になったんだ?」

「3 人が1泊できるくらいかな」

「まだ序盤で稼ぎにくいとはいえ結構シビアだな。賞金が少なかったのは賭け金が少なかったからかもしれん。

 まぁ、取り敢えず飯にするか?」

「梅梅はどうする?」 

「ふむ、俺達がいない間に目覚めてすれ違うのも面倒だな。すまんが何か買って来てもらっても良いか?」

「オッケー、それじゃちょっと行ってくる」


『速度上昇』


 徐々にスキルに慣れていくのを感じながら、俺は露店を目指した。


―――

――


 ん?


 あれは?


 露店まで高速で移動する途中、見覚えのある二人が何やら揉めていた気がする。


 あれはたぶん…


 マロンさんと…


 【月光】の…ライト?


 俺はすぐに踵を返す事にした。

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