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第二十一話 三日目

 うぐぐ…身体が軋む…。


 ええと、あれから俺達は…。


 賞金で軽く一杯交わして、金がまた無くなって、店から路地裏に出て?


 それからすぐに限界が来て気絶するように寝たんだっけ?


―――――――――――

DAY【1092/1095】

Time【04:10】

DEATH【60/1000】

―――――――――――


 ワンちゃん夢オチを今日も期待したけど、やはり現実はそんなに甘くないみたいだ。


 しかも硬い石畳の上で寝たため十分な睡眠が取れなかった。微妙な時間に目覚めてしまったな…。


 まぁ、死人も特に増えて無いし、神丸も死んだように眠っているだけで問題無いか。


 梅梅は……どうやら今、帰って来たようだ。


「また無茶をしてる」

「すまんすまん、起こしたか」

「いや、寝心地が悪くて自然と目が覚めた。また薬草取り?さすがに寝ないと身体壊すよ」

「昨日の戦闘で薬草使い切ったしな、3時間寝たら大丈夫や」

 

 梅梅は地面に干し草をばら撒いて横になると、チクチクするなぁ…、まだ酒場で寝たほうがましなんやないか?と続けてボヤいている。


「3時間とか過労死するよ」

「社会人になってからの睡眠時間の平均は4時間くらいやからな、なんとかなるで」

「でもあれでしょ?エナジードリンクありきの話じゃ無かった?」


 以前リアルで話た時にかなりカフェインを摂取すると言っていたのを思い出した。


「そうやねんなぁ。Roにも覚醒ポーションと狂気ポーションあったやん?あれ飲みたいんやけどなぁ、まだ売ってるとこ見たことないわ」

「いやいやいや…」


 覚醒ポーションは行動速度が1.25倍、狂気ポーションは1.5倍になるポーションなのだが20年前には使用するのにレベル制限がかけられていた。


 デスゲームでもあるならどの様なものになっているのだろう。


「錬金術師になったのは半分それ目当なんやけどなぁ…」

「いやいやいや…どんだけ中毒だよ。この機会に健康な身体を取り戻したら?」

「デスゲームクリアして健康体になるとか、ちょっと考えられんで」

「まぁ、そうだね」

「とりあえずそろそろ限界き――――」

 

 どうやら寝落ちしたみたいだ。死亡者数を調べたところ変わりなかったのでひとまず安心するが、急に糸が切れたようになるのは心臓に悪い。


 限界がきた後の睡眠で3時間後に起きれるかは疑問が残るが、梅梅の話し方からすると3時間経った頃に起きるつもりだろうか?


 さて、俺はどうしようか。二度寝するにはちょっと地面が不快すぎるし。


―――――――――――

DAY【1092/1095】

Time【04:30】

DEATH【60/1000】

―――――――――――


 3時間を目安にして俺も経験値を稼いでおこうかは。今なら人通りも少ないだろうし、動きやSP管理の勘を少しでも取り戻さないと。


『速度上昇』


 俺は20年前からよく利用していた町外れにある教会の地下墓地へ向かう事にした。


―――

――


 早朝の地下墓地には誰も居らず、モンスターが溜まっていた。


 スケルトン、ゾンビ、コウモリえとせとら。


 はっきり言って20年前ならともかく、超リアリティになってる今、ここには来たくは無かった。


 うめき声、何かが這う音に羽ばたく音、薄暗く、湿った空気、何もかもが恐怖の対象で、超怖い。


 ただ、俺の職業ハイクレリックは攻撃魔法は得意としていない支援と回復に特化した職だ。


 筋力による攻撃力は期待できず、高い魔法力で効率良く経験値を積むなら嫌でもこの場所に頼るしかなかった。


『ヒーリング!』

『ヒーリング!』

『ヒーリング!』


 俺の狙いはスケルトンやゾンビの死属性モンスターだ。

 不死属性に回復魔法をかけると、ダメージが入るというのはゲームあるあるなのだか、今作においてはどうも肉体が戻っていく感じになっていて、最後には元の死体になって討伐完了みたいな事になる。なんというか超気持ち悪い!


 おそらくだが、この戻った死体は時間経過で腐りまたゾンビやスケルトンになるのではないだろうか…。


 そう考えると、死体を放置して先に進むと挟み撃ちにあうのだが…。


 これは新しいスキルの習得が必要だな…。


『ターンアンデッド!!』

『ターンアンデッド!!』

『ターンアンデッド!?』


 迫りくるゾンビやスケルトンに未だ習得していないターンアンデッドを試す。


 なんとか、なんとかスキル習得してくれ!?


 イメージか?イメージがたりないのか!? 

 それならこれでどうだ!?


「汝、安らぎを知らず彷徨う魂よ、聖光の下に眠れ!『ターンアンデッド!』」


 俺を中心に光の半円が広がり、その範囲にいたモンスターが一定数光となり霧散する。


 こ、これは…詠唱するイメージでスキル習得の成功率が変わるのかも!?

 

 続けて試そうとしたが、一気に疲労感が襲ってきて頭がぼやける。確認するとSPが残り僅かしか残っていない。


 あと少しで何かコツを掴めそうだけど…命あってこそだ。俺はひとまず街に戻る事にした。


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