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第十三話 お茶会

 【赤い森の塔】ギルマスのルヤさんから俺はギルメンを紹介された。


 まず男のイケメンアバターの前衛職が二人。ナイトのキオさんと、アサシンのスバルさんだが二人は会釈のみで声は聞いていない。


 次にアバターも声も女性だった、ハーさん、シンちゃんさん、ユカさんはなんと全員がクレリックだ。


 そして後衛職のソーサラーに中性的なマロンさんと、男のアバターで声も男の子のたぬきち君といった感じだ。


 リアルでの年齢や職業は伏せて置くようにルヤさんから釘をさされているのかその辺りの話は無かったが、危機管理の面やマナーの良さに俺は好印象を抱いていた。


 また、アバターと声が一致している事が多く、声が若い。これらの事と、隠そうとしても隠せない独特の雰囲気から判断するならば、学生の集まりという可能性が高い気がする。


 リアルで付き合いがあるメンバーだから女性比率が高いギルドという事も考えられる。


 何にせよ、若い子がデスゲームに巻き込まれるという事実を目の当たりにすると今まで感じてなかった辛いものを感じてしまう。


 何か力になってあげたい。


「皆さんもしかして、まだ職業を3つ選択されてない感じですか?」

「はい、レベルが低いというのもあるんですが、一度決めると変更できないという話でしたから」

「なるほど、良い選択ですね」


 Roではこれで生死が決まるといっても過言ではない、3つの職業を組み合わせる事が肝だ。


「あの、おじ…ベルさん。さっき言ってた前作ってのはどういう事ですか?」


 たぬきち君。途中で言い換えてくれたけどおじさん呼びとは…軽くショックだし、感の良い子は嫌いだよ。


「あ、あぁ、20年くらい前にオンラインゲームとしてRoは大流行してたんだよ」

「20年前!?え、うま――」

「たぬきちちゃん、失礼がないように」


 ルヤさんが声を被せるが、おそらく産まれる前と言ったのだと思う。


 20年とはそのくらいの時間なのだ。


「あ、気にしないで下さい。特に俺も気にしてないので」


 苦笑しつつ痛む胸をおさえ、紅茶を飲む。


 俺にできる事か…。


「あの混乱の中、すでにこの宿を拠点にしている【赤い森の塔】の皆さんはゲームが得意なのだと思いますし、全員で協力してかなり頑張っているのだと思います。ただ、これはデスゲームで死ねば次が無い。

 俺の知識は初見殺しをいくらか回避できる知識だと思います。少し話が長くなるかもしれませんが、良ければお話ししますよ」

「それは…是非。よろしく、お願いします」


 ルヤさんから肩の荷が少し降りたという感じなのか、穏やかながらも張り詰めていた緊張が少し解けたような、そんな気配を感じた。


 ギルマスではあるが、彼女もおそらくは未成年なのだろう。


「すでにご存知かも知れませんが―――」 


―――――――――

――――――――

―――――――

――――――

―――――

――――

―――


 どのくらいたっただろう?


 NPCによって室内にロウソクの日が灯されていく。


 俺は神丸と梅梅の事をすっかり忘れて話に没頭していたが、たぬきち君が急に声をあらげ慌てだした。


「わわわ!?

 ベルさん!!

 確か【通天閣商会】でしたよね!?」

「え?ええ、それが何か?」


 分かっていない俺をよそに【赤い森の塔】の皆がざわつきはじめた。


「あの、標示されるシステムみたいです!」


 たぬきち君が左上を差しながら何かを伝えようとしている。え?何が標示されてるんだ?


 なんだ?項目が増えている?


―――――――――――

DAY【1094/1095】

Time【17:48】

DEATH【58/1000】

NEWS【通天閣商会】神丸が草原フィールドBOSS【大蛙】を撃破しました(賞金250万円)

―――――――――――


 いや、おま…寝てたんじゃなかったのかよ…!?


 てか、お茶会前より1人死んでるのが増えてるし…あああ、モヤモヤするなぁ!!!


 心配で気が気じゃなくなってきたところに新たに死者数が1人増え、俺は自分で分かるくらい真顔になっていった。

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