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第一話 作戦会議


挿絵(By みてみん)


あらすじから話が繋がっていますので、よろしければそちらも宜しくお願い致します。

 俺達3人はオープニングセレモニーが開かれていた噴水広場から少し離れた酒場で丸テーブルを囲んでいた。


「さて、どうしたもんかね」


 眉間にシワを寄せ腕組みをしている神丸は、いつも通りと言った感じで落ち着いている。


「よくある話…ですな?」


 神丸とは対照的に店内をキョロキョロと見回しながら話す梅梅につられて店内を見るが、どうやら俺達とNPCしかいないようだ。


「おいおい本気か?」


 俺は何時だって本気だぜ?と胡散臭い返事をしながら梅梅は店内をうろつきはじめた。


 彼は当時からちょっとしたムードメーカーではあるが、高校卒業後大阪人になりエセ関西人として磨きがかかっているのかもしれない。


「事故でログアウトできないってだけならまだ真実味はあるが…あれは無いだろ」


 神丸は一つ大きなため息をつくが、その気持ちは良くわかる。


 俺達はどうやら、Roの世界に閉じ込められたらしい。


「あー、あれどこまで本当なんだろね」


 俺は苦笑しながら頬杖をついて改めて思考を巡らせる。


 セレモニーで運営を名乗る黒魔道士風のキャラに伝えられた事を要約するとこうだ。


①表向きはゲーム会社の事故だが本当は国家プロジェクトで、国が求めているデータを集めるため超リアリティ使用でゲーム中に死ねばリアルで死ぬ事。


②クリア時に生存している者のみログアウトできる事と、生還後の口止め料としてクリアまでの【実績】に応じて数百万~数億円の賞金が出る事。


③制限時間は3ヶ月だが、ゲーム内時間で3年。それまでは参加者全員政府機関に収容され植物人間のように管理される。

制限時間までにクリア(ボス攻略)されなければ、その時点で生存していてもリアルで口封じされる。


 アニメや小説では良くある話だが、こんな事を発表されたプレイヤー達の混乱具合は酷いもので今も外から喧騒が聞こえてくる。


「外はまだまだ収拾つきそうにないわ、カオスやな」


 黒魔道士が説明を終え消えた後、すぐに酒場に移動したのは梅梅の提案だった。


「ログアウトが出来ない事実から考えると、高額報酬でテストプレイヤーに選ばれたと気持ちを切り替えるしかないな、数億あれば退職しても問題無い」

「これが最近流行りの闇バイト…って、なんでやねん」


 梅梅は席に戻りながら肩をすくめると、神丸は鼻で笑って返した。


 二人は相変わらずいつもの二人だ。


「いつあの混乱収まるんやろ」

「さぁな、学生だと不安になるんだろ?あんな演出されると」

「あー…」


 俺は言葉に詰まって苦笑する、決してゴア表現が得意な方ではないのであまり思い出したい演出でもなかったからだ。


「絶叫が超リアルやん、あれサクラやなくて一般プレイヤーなんかな」


 黒魔道士の説明中にヤジを飛ばすプレイヤーがいたのだが、即座に火炎魔法が放たれ息の根を止められていたのだ。


「黒魔導士の言う事を信じるならサクラで演出する必要は無いだろうからな、デスゲームの始まりとして見せしめに使われたのだろう。臭いもしたような気がするが、痛覚も含め超リアリティが関係してくるのかもな」

「そういえば作り込み凄いよね。指の一本一本に接触した場所に応じた感触があるし、顔や体型が実際の姿なら異世界転移と間違えるくらい凄いんじゃない?」

「「確かに」」


 不謹慎にも3人して笑ってしまう。


 デスゲームに巻き込まれた事より、ゲームの完成度に俺達は感動していたのだ。


「とりあえず状況把握と今後の作戦会議だな」


 こうして俺達のよくある話がはじまった。


―――――――――

―――――――

―――――

―――


「いやぁ、知れば知るほど感動もんやねこれ」


 俺達はステータスやアイテムボックスなどのゲームで馴染みのある機能を確認するたびに感激の言葉を漏らしていた。


「あぁ、電脳と言うべきか。インターネットの検索も使えるとはな…電脳を軍事転用する計画といったところか?」


「アニメの世界やん、こわやこわや」


 言葉とは裏腹に梅梅はニヤニヤしながら空間から袋を取り出す。


「初期配給アイテム袋やて、ホログラムみたいに一覧見えるからゲームの世界って感じがするやん。もしくは流行りの鑑定スキル主人公の気分やな」


 なになに、赤ポーションはHP30回復?とブツブツ言いながら梅梅は机にアイテムを広げていく。


 俺は試しに赤ポーションを手に取り試してみるが、梅梅の言ったような事は分からなかった。


「アイテムの効果分からないよ?」

「効果知りたいな〜と思ったら出てくるで」


 改めてポーションを見ると梅梅の言うホログラムのようなものが出てきて説明が記載されていた。


「そういうシステムか」

「システムを理解して戦えば百戦百勝…とまでは言わんが、生死の鍵は世界のルールを理解しているかが大きく関係するだろう」


 神丸が淡々と語るのを頷きながら、俺はある事に気付いた。


「二人とも気付いてる?視界の左上辺りに小さく数字が出てる。制限時間と…」

「…死亡者数だな」


――――――――――――――――

DAY【1095/1095】

Time【13:15】

DEATH【24/1000】

――――――――――――――――


 デスゲームが始まって約1時間で24人?

 黒魔道士が広場で見せしめにしたのは1人だから23人が既に死んだ?

 早すぎるサヨナラを目にして冷や汗を感じ、言葉が飛び出た。


「早すぎない?」

「…可能性だが、俺達みたいな過去にプレイしていたある種のチーターが攻略に出て死んだ。もしくは、広場での犠牲者じゃないか?」


 神丸は相変わらず眉間にしわを寄せ腕を組み冷静に分析する。


「ソロかパーティーかが気になるところやね」


 広場にはっと…。梅梅は呟きながら外を見に行く。


「相変わらず人多いけど、死んでそうなプレイヤーは見当たらんわ。それか死んだら消えるんかな?あ、また1人減ったわ」


 実感がまだ沸かないが、デスゲームに巻き込まれた事実を数字は示していた。


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