100年戦争編③
こうして俺は、今までの記憶を取り戻す事が出来た。幼馴染の慧を殺したあいつを絶対に許す訳には、いかない。そこで、これからやるべきことを考えてみる事にした。まずは今俺がいるこの世界はステージ2だという事だ。そしてこのステージにはまだ先がある。いったいどの位先があるのかは分からないが進んでいけば、あいつの手がかりも掴めるはずだ。
そして、次に赤く光り輝く謎の力の事だ。今分かるのはとてつもない力だという事だけだ。あの戦いから鍛錬を積み、自由に使えるようにしようとしているのだが、なかなかうまくいかない。それでも自分の意思で引き出す事が少しずつだが出来るようになってきた。素手で戦う事が多い俺には強力な武器になる事は間違いない。なんとしても100%の力を出せるように鍛錬を続けよう。俺自身の目標としては今はこんなとこだろう。
そして、この世界でやるべき事を今ジャミーン様達と話し合っているのだが・・・・・
『こら、ジャン私の話を聞いているのか?』
『え、、いえ、すみませんジャミーン様聞いていませんでした。』
『こ、こら~ジャンったら~』
『・・・・・・・』
あの戦いでジャミーン様を助けてからというものなんかジャミーン様の距離感が近いような・・・
そしてジャミーン様の側近達の視線も痛いような・・・
『そ、そういえば、この剣凄く切れ味も良いし丈夫だし、俺気に入っているんですよ・・・』
『・・・・・・・』
『へぇ、何処で手に入れたんだ?』
あ、ありがとう話題を変えてくれて。お前は良い奴だ。
『いや~旅の行商人から買ったんですよ。この模様も個人的には気に入っているし。』
『模様?』
『ええ、あまり意味は無いと思いますけど。』
しかしなんだろうこれ、鳥かな梟みたいだな・・・・・
『と、とにかくです、ジャミーン様。あの王様からの使者が怪物であり俺達を襲ったという事は、つまり・・・』
『つまり?』
『王様も敵という事です。確かにインテグランド軍の動きも気になります。しかし敵軍は今ロナール川より北側にいます。それも簡単には川に近づけないでしょう。そうなると、今は背後からの敵を警戒すべきでは?』
『確かに、そうだな。それに王様が敵という事は、私達を賊軍に仕立て上げる事も容易だろう。』
『その通りです。』
『うーん・・・・、しかし、王様を討つといっても簡単ではないぞ。これから会う見方の兵が全て敵になるという事だしな。それに、あの時の戦いの怪物も恐らくいるだろう。あれに勝てるのはジャン位しかいないだろうしな・・・』
『そういえば、リッチモンド殿は今何処にいるのだろうか?』
『リッチモンド?』
『そうです。あの方なら我らの助けになってくれるかも。』
『確かに、兵達の信頼も厚いようでしたし、何より正義を重んじている方でした。それに強い!!』
『それは良い考えだな。私もあの男からはただならぬものを感じていた。よしリッチモンド殿の領地を目指すぞ!!』
『おう!!!』
・・・・・・・・・・・
そして俺達はリッチモンドの館に着いた。
『これはこれは、ジャミーン殿。村や町を開放して以来ですな。』
『その節はお世話になりました。』
『して何用かな?実はジャミーン殿にあまり良くない噂がたっていましてな。捕らえよという命令が出たとか出ないとか。まあ私は上の命令をよく無視するので、上層部からは嫌われていましてな。捕らえるつもりはありません。それにジャミーン殿の人間性は共に戦ってみて分かっているつもりです。』
『いえ、それはリッチモンド殿は兵達の事を最優先で考えていると言う事でしょう。それにやはりそうでしたか。信じては貰えないかもしれませんが、実は・・・・・・・』
・・・・・・・・・・・・・・・・・
『なるほど、王様が化け物か。私も前から上の連中は嫌いでしたが、最近は何か得体のしれない感じがしており恐ろしくさえ思っておりました。それなら合点がいく。いいでしょう、私もその戦いに加わりましょう。』
『え、よろしいのですか?こんなにあっさりと。こちらとしては嬉しい限りですが。』
『構いませんよ、それが兵達やこの国の民の為になるのだから。』
『ありがとうございます!!!』
・・・・・・・・・・・
それからさっそく具体的な話に入った。幸いリッチモンド殿を慕っている兵や民は多く、王様が化け物という突拍子も無い話でも、多くの人が協力してくれた。
そして、首都まで残り僅かという所で・・・・・
『よし、今日はこの主人の好意で特別に泊まらせてくれるそうだ。』
『ありがとうございます!!』
『いえいえ、私はリッチモンド様と部下の方達に助けて頂きましたし、このくらいお安いご用ですよ。』
『ではいつも通り、ジャミーン殿達は部屋から出ないように。買い出しは我らが行いますので。』
『本当に毎度毎度申し訳ございません。』
『いいんですよ。このくらい。では』
・・・・・・・・・
『見つけたぞ。ジャミーン!!!』
『殺せ!!!王様からのご命令だ!!!』
『み、見つかった。ジャミーン様、早くこちらへ。』
『ご主人は何処に?』
『ご主人は・・もう助からない・・・・・は、早くこちらへ』
・・・・・・・
『く、くそ囲まれた。』
『へへへ、お前達はもう終わりだ。』
『それに隊長、本当にジャミーンは殺す前に何をしてもいいんですね?』
『ああ、構わん。しかし俺が一番最初だぞ。ははは』
『へへへ、分かっていますよ。』
『な、何という下種な連中だ。それでもこの国の正規軍か!!』
『なんとでも言うがよい。構わんやれ!!』
・・・・・・・
『な、何という強さだ。特にジャミーンと素手の男。勝ち目が無い。ここは撤退・・・』
『何を言っているんだ。何のために私が来たと思っている。』
『貴方は、司教様。しかし司教様では・・・』
『ふん、黙って見ていろ!!!』
バキ、ゴキ・・・・
『ハァー』
『う、化け物・・・』
『黙れ』
グチャ
『ま、またあの時の化け物だぞ・・・』
『大丈夫だ、俺がいる!!』
『ジャン!!』
『皆下がれ。ここは俺が!!』
『馬鹿が、死ね!!』
『何!!素手で受け止めた・・だと』
『くそ、まだあの時ほどの力は出せないのか。一撃では倒せない。しかし勝てる!!』
『!!!ジャミーン様。な、何をしているんだ!!』
『ジャン、ここは私にやらせてくれ。』
『ジャミーン様、下がるんだ!!』
『いや、この先こういう化け物が次々と出てくるだろう。その時にジャンしか戦えないというのは駄目だ。それに俺は姉さんを必ず!!!』
『ジャミーン様・・・・分かった。』
俺?姉さん?何を言っているんだ、ジャミーン様は。
こ、こんなに強い人間がいるとは・・・くそ。ん、どうしたあの女が出てきたぞ・・・そうか、あの男はもう限界という事だな。そりゃそうだ、普通の人間では一撃で死んでいるはずだ。それを何発も受けて平気でいられる訳がない。これなら勝てる。あの女を殺し、その後であの男諸共皆殺しだ。特にあの男はゆっくりと苦痛を味あわせてから殺してやる。
『どうした、あの男は限界か。お前のような女で俺に勝てるのか、死ね!!!』
落ち着け、よく見ろ。こんな大振りな攻撃避けられるはずだ。この眼があれば!!!
『ハァ、ハァ何故当たらん。くそ、当たりさえすれば!!!』
良し、眼は慣れてきた。後は、隙を付き急所に一撃入れれば倒せる。
『くそ、死ね~』
『死ぬのはお前だ!!!』
グサッ
『グフッ』
『良し、勝てた!!!』
『ジャミーン後ろだ』
『分かっている。見えている!!!』
グサッ
『馬鹿な、この私が、この力が敗れるだと。』
『お見事です、ジャミーン様。さすが救世主様だ~うお~~~』
『大袈裟だよ、皆。それにジャンが倒せたんだ、私だって負けてられないさ。』
『全くひやひやしたぜ、ジャミーン様。しかし流石だ。』
『もうジャンったら。』
う、皆の視線が痛い・・・・・