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100年戦争編②

お、俺こんなに穏やかに過ごしていていいのだろうか?まあいいか今まで大変な思いばかりしていたから




な。しかしあの夢がやはり気になるな。早く神の信託を受けたとかいう聖女様が来ないかな。




旦那様から話は聞いた。俺はその聖女様達と共にロンレランに向かうらしい。




『皆、聖女様が来たらしいぞ~』




・・・・・




『これはこれは、聖女様。私はこの館の主、ロズワード男爵でございます。』




『これはご丁寧に。私はジャミーン。王様よりロンレランを救えとの命を受け駆けつけているところです。』




『伺っております。どうかこの館でゆっくりと休憩されるがよろしかろう。』




『いえ、それには及びません。幸いまだ日も高い、少し馬を休ませて頂ければ、直ぐに出発します。』




『しかしそれでは、あまりに急ぎ過ぎではありませんか?』




『いえ、お構いなく。本当に急がねばなりませんので。立ち寄らせて頂いた事には感謝致します。』




『分かりました、それではこの少年をご同行させて頂いてもよろしいでしょうかな?この少年は先の戦で両




親を亡くし、憎きインテグランドに復讐をしたいと考えております。お役に立てると思いますよ。』




『ふむ、分かった。こちらも一人でも戦力は欲しいところだ。ありがたく。』




『おお、良かったではないか、少年。』




『は、はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。』




『ああ、よろしく頼む。』




よし、ようやく敵をやっつけれるな。数も10と聞いていたが、50はいそうだな。あの聖女様、若いな。




俺とそんなに変わらないんじゃないだろうか?それなのに、落ち着いているというか、妙に威厳があるという




か。なんとかなるかもしれないな~。しかし旦那様は俺の名前をとうとう呼ばなかったな。名前覚えてなかっ




たりして。




・・・・・




『よし馬も休めたし食料等もこんなに頂いてありがとうございます。』




『いえいえ、皆様のご武運をお祈りしております。』




『ありがとうございます。では出発だ』




『了解!!』




こうして聖女様一行は急ぎロンレランに向かった。各地で志願兵もおり、その数は100程になっていた。




そしてロンレラン付近までやって来ていた。




ロンレランは包囲されているといっても、敵の小さな砦が町から見て北西に2,3。東に1そして、南に1つ




と完全に包囲されている訳では無かった。なので北東から暗闇に紛れて町に入る事自体はそんなに難しい事で




は無かった。しかし攻略となると、厳しいものがあった。




例えば1つの砦を攻めるとしよう。すると他の砦から応援が直ぐに駆けつけて、連動して対応してくる形にな




っていた。砦自体はそんなに大きくないが、それ故に機動性があり応援も直ぐに駆けつけられるようになって




いた。今までロンレランの兵士も何もしなかった訳では無いが、この連動での対応にことごとく敗れていた。




また敵軍はロナール川を南下する為に敵本国から兵が次々と派遣されているらしく、もし主力が北西の砦に




到着し、本気で攻めて来れば、ロンレラン等あっという間に壊滅させられる。いわば時間との闘いでもあっ




た。しかしロンレランに入ったジャミーン達が見たものは、女、子供ばかりであり皆死んだような目をしてい




た。無理も無かった。何時敵が攻めてくるかも分からず、食べ物も無い。そんな極限状態で皆疲弊しきってい




た。実際ジャミーン達が町に入っても、誰も迎えには来なかったのである。また敵側もこの町が落ちるのは




時間の問題と思っており、ジャミーン達が町に入った事は気づいていたが、もはや何も出来ないと放置して




いたのだ。その位、絶望的な状況だった。




『これはひどい。もはやこの町は・・・・・』




『しかし私は神の信託を受けている。祖国の為に絶対に敵を打倒しなければならないのだ。今すぐにでも・』




『お、お待ちくださいジャミーン様。兵や馬も疲れています。さすがに今からでは・・・』




『分かった、では私一人で行く。少し休憩をとるので、付いて来られる者のみで良い。共に来い。』




え、え~~~~~!!!




『な、なりませんジャミーン様。さすがの貴方様でもそれは死んでしまいます。いくら小さな砦と言っても




100人程はいるのですよ。無謀です。おやめください!!!』




『いえ、私なら大丈夫です。それに暗闇に紛れた方が不意をつけます。さあ私は休憩します。どきなさい。』




『ジ、ジャミーン様。お、お待ちください~~』




『ジャミーン様かっこいい!!俺も付いていくぞ!!!』




・・・・・・・




そして夜明け前




『ふむ、集まったのはこれだけか。まずは連動が難しそうな東の砦を攻めるぞ。では出発!』




俺を含めても10人もいない。これで勝てるのか?




・・・・・




『ふぁ~~もうすぐ夜明けか~。早く本国に帰りたいな~』




『ぼやくな、この戦は俺達の勝ちさ。この町ももう大した戦力は残っていない。さらに川を渡ればこの国は




もう終わりだよ。はっはっは~~~』




『そうですね~はっはっは~~』




『あれはなんだ??・・・・・・・・・て、敵~~~~』




『敵襲だ~~、しかし騎馬が10程だぞ。』




『早く砦に知らせろ。そして弓で応戦だ。』




『あ、当たらない。どうして??くそっ・・・えっぐわ~』




『そ、そんな~』




・・・・・・・・・




『な、なんて強さだ!!』




なんと敵の東の砦をほぼジャミーン様一人で壊滅させてしまったのだ。ありえない、なんだあの強さは!!




相手の攻撃が全く当たらなかった。どういう事なんだ?




『さあ、敵を倒しました。ひとまず町に戻りましょう。』




『は、はい。』




・・・・・・・




町に戻った俺達を待っていたのは、町の人達の盛大な歓迎だった。たった一つの小さな砦を落としただけなの




に、凄い熱気だなと思ったが、それほどこの町の人は、勝利が久しぶりだったのと何より何時敵が攻めて来る




のかと恐怖していたのだろう。その日はどんちゃん騒ぎだった。しかしジャミーン様は浮かれてはいなかった




その勢いのまま南の砦も落としてしまったのだ。しかもまたほぼジャミーン様一人の力でだった。




しかし、俺達もジャミーン様と共に出撃すると乗せられるというか、体の内からとてつもない力が湧いてきて




普段の何倍もの力が出るのだった。




そして残るは北西にある2つの砦のみとなった。結論からいうとこの砦も落とす事に成功した。これでこの町




を包囲していた砦はすべて無くなった。ジャミーン様が来てからたった一週間足らずでの出来事だった。




そして俺もこの一連の戦いで功績を上げ部隊長を任される事になった。10人にも満たない隊だが。




そしてジャミーン様一行はロンレランに別れを告げ、今だ敵軍に占領されている数々の町や村を開放していく




のだった。ジャミーン様一行はその圧倒的な力で各地で連戦連勝していった。




そして、とある都市で復興作業の際敵兵からの攻撃に備えて警備をする為、数週間滞在していた、そんな時だ




った、王様から使いの者がやってきたのは。




『これなら俺たちの国から敵兵を一掃出来る日も近いんじゃないのか?』




『そうだな、この調子ならば。』




『しかし途中であったリッチモンドとかいう兵士は凄かったな。』




『ああ、かなり強いし指揮も的確だ。また会えるといいな。』




『しかし何週間この都市にいるんだ。早く他の町や村も開放しないと・・・』




『慌てるな。この都市はこの国でもかなり大きな都市だ。ここをきちんと復興し拠点を作るのだ。なあに




後、数日したら兵士が来る。私が王様に伝令を出しておいた。兵士が来たら出発だ。』




『了解しました。』




『伝令だ、王様からの伝令だ~』




『お、噂をすればだ。』




『なになに、兵士の補充はもう少し時間がかかる。すまないが、この都市の守備兵を置き残りの兵で先へ




進んではくれないか?だって!!』




『しかし元々兵が少ないのに、守備兵を置いていったら・・・・・』




『しかし王様の言う事も分かる。今この瞬間にも自国の民が殺されているんだ。一刻も早く町や村を開放




しないと!!』




『・・・・・』




『ではこうしましょう、私もご一緒します故、偵察がてら周囲を見て来るというのはどうですか?』




『王様からの伝者の方をそんな危険な事に付き合わせる訳にはいきません。』




『いえいえ、私は大丈夫ですよ。それより私もジャミーン様とお話がしてみたい。』




『ジャミーン様含め10人もいれば十分でしょう。すぐに戻ってきますよ。』




『・・・・・分かりました。では出発しましょう。』




『では、俺もご一緒してもいいでしょうか?』




『ジャンか、しかしもしもの為にお前はここに残れ。』




『いや~、俺ってばこういう任務は退屈で。少しは体を動かしたいんですよ。』




『まあ、いいだろう。伝者の方もよろしいですか?』




『・・・・・ええ、構いませんよ。私は。』




な、何で俺はこんな事を言ってしまったんだ??しかし何か変な感じがするぞ。




・・・・・・・・・・・




『ん、ジャミーン様。この先の両脇の茂み敵が潜んでいるかもしれません。』




『そうだな、ここは引き返すぞ!!』




『何を言っているんですか?敵なんていませんよ?さあ先に進みましょう。』




『いや、ここは引き返す。後退だ!!』




『チッ・・・・・』




『な、なんだ本当に敵が出てきたぞ。』




『くっ、戦闘隊形ー』




・・・・・・・




『な、なんとかなりましたな。』




『ああ、しかしこちらも5人やられた。くそっ』




『何を言っているんですか?さあ進みましょう。』




『なんだこいつ。おかしいぞ。』




『貴様、何者だ!!』




『ふっふっふっふっふっ、ばれてしまってはしょうがない。ジャミーン様、あなたはここまでです。』




『くそ、ジャミーン様をお守りしろ。突撃ー』




・・・・・




『くそ、残ったのは私とジャンだけか・・・・。』




『おやおや、あの無敵のジャミーン軍がこんなものですか?ではさっさと終わらせましょう。』




『くそ、ジャミーン様、お逃げ下さい。うお~』




『遅い』




『ぐあっ・・・・・』




『ジャン、くそ。』




『さあ残るはあなただけです。死になさい。』




・・・・・




『ふむ意外とやりますね~。私の攻撃が当たらない。その目に秘密があると見ました。』




『!!!!!』




『やはり、そうですか大方ステージ2の力でも、おっとこれは禁句でしたな。このままやっても埒が明かな




さそうですね。本気を出しますか。』




メキッ・・・・・バキッ・・・・・




『な、なんだこれは?化け物!!ヒッ』




『お待たせしました、では死ね!!!!!』




ザクッ




『何・・・・・剣が』




『早く逃げろージャミーン!!』




『もう遅い!!死ね!!!』




『ジャミーンー』




なんだこの感覚?どこかで・・・・・




・・・・・・・・・




・・・・・・・・・




『はっ、ここは何処だ。俺は死んだのか?』




『くそ、俺は慧を守れなかった。』




『おやおや、こんな所にお客さんとは。珍しい』




『誰だ、あんた?』




『私?私はこの星の神とでも思って下さい。』




『か、神様なのですか?』




『そうですね~ただ神といってもあなたが想像しているような大層なものではありませんよ。そういった存在




はもっと上のステージに行った所にいる存在です。私はただの役人みたいな者ですかね。そう地球のような




ただのステージ1の星ではね。』




『何を言っておられるのですか?ス、ステージ???』




『まあでも、神様がいるという事は俺は死んだのですね?心残りはあるが・・・・・』




『いえ、あなたは死んではいませんよ。』




『し、死んでいない?』




『正確に言うと、あなたが考えている死と私が考える死は別物です。』




『?????』




『まあ、理解出来ないでしょうね。』




『では、簡単にこの世の理を説明しましょう。この世は輪廻転生。生き物は生を受け、老いてやがては死に




また生を受ける。これは分かりますね?』




『は、はい。仏教か何かで学んだ記憶があります。』




『そうです、しかしそれはステージ1という中での事だ。大体の人はこれを永遠に繰り返す。いわば無限の牢




獄です。そしてそれはただのまやかし。しかしそれもまた一つの真実。しかしもう一つの真実もある。人や




動物も成長する。稀にステージ1の牢獄から抜け出し、上のステージへと上がる者もいる。そういった存在




がやがて、超越者や天使はたまた神という存在へとなっていく。そう元々は皆同じ存在だったのです。




しかし、同じステージにいても努力する者、怠けるものと色々な者がいる。当然両者の差は開く一方だ。




この場所は、いわばステージ1と2の中間点。ステージ1で明確な目標を持ち努力してきた者や強い目的達




成の意識がある者にしかこの場所には来られない。さあ君はどうする?もう一度輪廻転生の渦に戻るもよかろ




う。しかし、上を目指すのならば。叶えたい事があるのであれば。まあ決めるのは君自身だ。』




『お、俺は正直こんな意味不明な事を急に言われても、分からない・・・・・ただ、慧を殺したあいつは許せ




ない!!あいつはもっと上のステージとやらにいるのか?』




『分からないが、そんな力を持っているのなら恐らくは。』




『・・・・・分かった。ならば俺は行くよ!!!!!』




『良かろう、では行くが良いステージ2へ』




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




全て思い出したぞ。俺は慧を殺したあいつを許さない。こんな所で終わってたまるか!!!




『ん??なんだこの感覚は?この女、死んでいない???それに先程まで向こうで転がっていたこの男、どう




して私の目の前に??それになんだこの男の輝きは???ッツ、わ私の腕がー』




『ジャミーン様下がっていて下さい。あいつは俺がぶっ殺します!!!』




『ジャ、ジャン・・・・・』




『お、おのれ貴様ー許さんぞー!!』




『かかってこい、ぶっ殺してやる。』




ドス・・・・・




『ば、馬鹿な、この魔人たる私が・・・・・・・・・』




・・・・・・・・・・・




『ジャミーン様、ジャミーン様、気が付きましたか?』




『あ、ああ。あの化け物は?』




『俺が倒しました。さあ帰りましょう。そして本当の敵を倒しに行きましょう!!』




『ああ、よろしく頼むぞ、ジャン!!!』




・・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・




『しかし神様、本当に良かったのですか?あの少年。私が思うにいささか力不足では?』




『神様という呼び方はやめてくれ。しかし、それはもっともな意見だ。私もあの少年は力不足だと思うよ。




だが今は緊急事態だ。この宇宙には戦力が足りない。それについに悪魔が出たらしい。』




『あ、悪魔ですか!!』




『何だ知らないのか?この前、通達が出ていたぞ。我々の宇宙を脅かす者は何人たりとも許さない!!




多少の力不足は目をつむろう。先ずは戦力の確保だ。しかしあの少年には酷な事をしたかもな。




それに本当の試練はここからだ・・・・・・・・・・・』



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