100年戦争編①
???『ジャン・・・・ジャン・・・目覚めなさい、そして祖国を救うのです』
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・・・・・・・・・・・・・・・・・
『こらッ起きろーーーー』
『うわ~痛~~』
『なんだアイシャか・・』
『何だとは何よー』
『私はジャンがいつまで経っても起きないから起こしに来てあげたんでしょ!』
『すまない、皆は?』
『もう農作業に行ってるわよ、ジャンが最後~またペナルティね』
『マジか・・やべ、早く行かないと』
おれはジャン、このノンレミ村で暮らす何処にでもいる普通の少年だ。
年は16、自慢じゃないが腕っぷしは強い。自分で言うのはなんだが皆からは頼られる存在だ。
さっき普通の少年と言ったが俺には両親がいない、何故ならこのフランツ王国は隣のインテグランド王国
と戦争をしておりそれがもう100年近く続いている。民からは100年戦争なんて呼ばれている。
そんなだから国は荒廃し俺のような孤児もたくさんいる。さっきのアイシャも両親を戦争で亡くした。
俺たちはそんな孤児同士で集まって貧しいながらも皆で楽しく慎ましく暮らしていた。この時まで
は・・・・・・
走りながら俺は考えていた、今朝のあの声はなんだったんだろう・・・神のお告げ?まさかな
『やっぱり皆もう初めているよ~ジャンが寝坊するからだよ~』
『あ、やっと来たな~遅いぞ~』
『すまない皆、寝坊しちゃってさ~』
『またジャンか~アイシャも付き合わなくてもいいんだぞ~』
『えっいや~私は、そんなんじゃないって~ジャンは私がいないとダメ人間になちゃうからねっ』
『それって・・・・・・・・』
『うん・・・・・』
『まあいいや、早く作業を始めようぜ』
『そうだな』
・・・・・・・・・・・
『よし今日の作業はここまでにしよう』
『よし夕飯の用意だ』
『なあ~ジャンなんで朝、寝坊したんだ?』
『ああ、なんか夢の中で変な声を聞いてさ~』
『変な声?』
『なあ聞いたか?』
『ああ』
『ついにインテグランド軍が、ロンレランにまで来たって噂だぞ』
『何、そこを取られたらロナール川を渡られるぞ!!あそこを渡られたらこの国はおしまいだ』
『そうだな、いよいよこの国から逃げないと・・・・・』
『なんださっきの旅の奴かな?』
『多分な。しかし今の話が本当だとすると本当にこの国は危ないぞ』
『そうだな。ロナール川を渡られるとなると一気に敵が押し寄せてくる。』
『現状でもギリギリなのにもうおしまいだぞ。』
・・・・・・・・・・・・・
『とにかく帰ろう』
『そうだな・・』
『痛っ』
???『ジャン・・・・ジャン・・・目覚めなさい、そして祖国を救うのです』
今朝の声?まただ。それに目覚めろだって?俺は起きているぞ???。
『ジャン?大丈夫?』
『ああ、問題ない、帰ろう』
『痛っ』
な、なんだこれは?町が燃えている、それに皆が!!!血を流している。
それになんだこいつらは?人なのか?そんな事はどうでもいい。兵士が人を殺している。
こ、これは未来の出来事なのか?
作物が育っていた。そういえばもうすぐ収穫期だ!そう遠くない未来なのか!!!
???『ジャン、ジャン、急ぎなさいもう間もなく敵の襲撃が始まるのですよ』
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『ジャン、ジャン、大丈夫?』
『すまない、アイシャ、みんな、俺・・・みんなを救わないと!!』
『はぁ??何言ってんだお前?』
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とりあえず走り出したが、どうすればいいんだ。
何か手は無いのか?
あの丘の上にあるのは領主の館?行った事は無いが何か手がかりがあるかも知れない。
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す、凄いなんて立派な建物なんだ!!俺なんかの話を聞いて貰えるだろうか?
いや考えていても始まらない。何もしなければ皆が死んでしまうんだ。
『あ、あの~~』
『どちら様でしょう?』
誰だろうか?すごく上品な話し方だ、執事というものだろうか?
『実は、俺夢を見たんです。この町が炎で燃えていました。インテグランド軍の兵士がこの町に攻めてきたん
です。それに旅の人が言っていた。インテグランド軍がロンレランにまで来たんだって』
『・・・・・・』
『それは私共ではわかりかねます。しかし、軍に志願されるという事ですかな?それであれば駐屯軍にでも行
かれてみてはいかがでしょう?軍も人手が足りない。歓迎されるのでは?』
『なるほど~』
確かにそれしか無いかもな~、しかし軍隊か・・・
『どうしたのだ』
『はい、旦那様実は・・・・・』
遠くで声が聞こえる、この館の主だろうか?・・・
しかし長い、明日この近くの都市の駐屯地に行ってみようか?この町の軍は皆前線に行ったという話だし、よ
よしそうしよう。今日は帰ろう。
『あ~お待ちください、旦那様からお話があるそうです。』
『え、え~~』
・・・・・・・・・・・
『あ~、おほん私がこの館の主であるロズワード卿である。』
『は、ははぁ、私はジャンと言います。』
『・・・・・』
『・・・・・』
『え~、我が主は、ジャンでしたかな?あなたを館に泊めてもいいとおしゃられています。』
『え、本当ですか?』
『その通りである』
『や、やった~ あ、いえありがとうございます。』
しかし、旦那様はどうしてこのような者をお泊めになるのだ?
ふふふ、まさかこんな事が起こるとはな、もうすぐこの屋敷に神の信託を受けたとかいう訳の分からない
女が来るというのだ。包囲されているというロンレランに行くらしいが、そのような輩が来たからといって
今更状況が変わるとも思えん。数も10人程だというしな。
まあせいぜい数日泊まる位だろうが、手ぶらで送る訳にもいくまい。このガキは良い手土産代になるだらう。
『さあさあ少年よ、今日は夕食でも食べて、早く寝るのが良かろう。』
『そうですね、旦那様。ささジャン殿、こちらへ』
『え、いいんですか?ありがとうございます。』
『召使達が食べているものですが遠慮なくどうぞ、お口に合えば良いのですが・・・』
『こんな豪華な食事、食べていいんですか?こんなのいつぶりだろうか?す凄くおいしいです。』
『気に入ってもらえて良かったです・・・』
・・・・・
『では今日はこちらでおやすみなさい、この部屋も召使が使っている部屋ですが・・ちょうど空きがあったも
のでしてな』
『これも凄い、ベットで眠れるなんていつぶりだろうか。ありがとうございます。』
『いえいえ、礼なら旦那様に。ではおやすみなさい』
『はい、おやすみなさい』
ジャンは暫く振りの穏やかな日々を過ごした。そして、数日が経った。




