始まり
俺は急いでいた。
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本当は聞かなければ良かったのかも知れない・・・
それに、そんな事珍しい事ではないはずだ。今の世の中そんな理不尽どこにでもある・・・・
むしろあいつにとっては良い事だ、幸せに暮らせるのだろう・・・・・
たまたま通りかかった大名に気に入られて、城で何不自由無く暮らせるのだ・・・・・・・
これでいいんだ!!!そうと決めたらもう家に帰ろう。
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いや、やはり俺は許せない。側室というのは仕方ないだろう。ただの農民出の娘が正室というのは無理という
のは俺でも分かる。しかしただの使用人というのはあんまりなのではないか!!!
つまり数年経てばお払い箱だ。そんなの許せるか!!!
俺は急ぐ。何故なら大名共はもうこの町に来ているからだ。大名共は目的地に行く途中でこの町に寄った。
そこで、あいつを見つけ目的地で用が済んだらまたこの町に寄ってあいつを自分たちの領土に連れて帰ると
言った。そしてもう大名共はこの町に来ているのだ。あいつが連れていかれる。急がねば。
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やっと追いついた。大名がいるとはいえ侍の数は10人程、内密の用事だったのだろう。
服装もとても大名には見えない、しかしあいつを連れて帰る手前、あいつには素性を明かしたという所か
この町の連中も大名とは思っていない。しかし俺とあいつは幼馴染、俺にだけは事情を説明してくれた。
『お侍様、ちょっとお待ちください、その娘・・』
『!!』
いきなり斬りつけてきた。しかし・・・
『何!!!』
『刀も持たないガキが我らの仲間を倒したと!!』
そう、俺は体だけは丈夫だった、殴るだけでも大人を倒す事が出来た。何故かは分からない。
『お侍様、止めましょうよ素手の農民なんかを襲うのは。』
『俺はただ慧、その娘に本心を聞きたかっただけですよ。』
『こら武、何してくれてるのよ。』
『私は自分の意思で行くのよ、お父さんお母さんの為、小さい弟妹の為に行くのよ』
『分かったらそんな邪魔をしないでよ!!!!!』
『なっ!!俺は・・・・』
泣いている!!
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そうだ、ただの使用人でも、もしかしたら何処かの侍に拾って貰えるかもしれない。そうなればこんな
田舎にいるよりは良い暮らしが出来る。
『すみませんでした、俺の勘違いでした、そいつ連れていって下さい。』
『最初からそのつもりだ、しかしお前は殺す!!!!』
『!!!!!』
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『何、素手で我らを倒すとは・・・・・・』
よし、残りの護衛は一人だ
『情けないなーお前ら・・・・・』
・・・・・・・
『速っ』
斬られたかと思った!!
『おっ今のを避けるかねー』
何だこのおっさん尋常じゃない速さだぞ・・・・・
『次いくぞー』
『!!!!!』
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『はぁはぁはぁ・・・・・』
『おっやるねーここまで耐えたのはなかなかいなかったぞー』
やばい、速すぎる次は避けきれない、死んでしまう・・・・・
ざわざわざわ
『おい半蔵門、お前がとろとろするからゴミが集まって来たではないか!!!!』
『すみません、お館様』
『もういい、ここでやるぞ・・・・・この娘を殺す!!!』
『!!!!!!』
『どういう事だ、なぜ慧を殺す。使用人にするのではないのか!!』
『まあ良いか、言ってしまっても。』
『この娘は生贄にするのだ。バテレンから貰ったこの本と首飾りに書いている。』
『この首飾りが選んだ女を生贄にすれば神をも超える力が手に入ると!』
『私はこんな弱小大名で終わるつもりは無い。この国をいや世界を手に入れるのだ!!!!!!!』
『や、止めて武助けてーー』
『逃げるんだ慧!!』
『おっと、お前は行かせないよー』
『く、くそーーー』
ザクッ
『あ、あぁ・・・慧・・・・』
『やったぞーこれで私は神をも超える力を手に入れる事が出来るッッ!!』
・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
『あれ?何も起こらない????』
『す、すまないお館様・・・・ゴフッ』
『え、な何なのだ!』
『何故あのガキが光り輝いているのだーー』
バン バン
『???何故銃が撃てない??』
『ッッッ』
『私の体がーーー ゴフッ』
何故こんな力が俺に? あの時、慧が刺された時、全身から怒りが沸き上がり気がついたらあの半蔵門
とかいう奴を殴っていた。そしたら奴の体に大きな穴が空いていた。そしてあの大名も・・・
殴っただけで右半身が無くなっていた。どういう事なんだ・・・・慧は!!!
『慧、大丈夫か?』
『大丈夫なのか?』
『うるさいわね・・・』
『慧!!』
『私はもう助からないわ・・・・』
『両親や妹達の事お願いね・・・』
『何を言っているんだ!!俺が医者の所に連れていってやる・・・・だからッ』
『無理よ・・・でも嬉しかった。あんたが私の為にここまでしてくれるなんてね』
『生まれ変わったらあんたのお嫁さんに・・・・・・・・』
『慧・慧・・返事をしてくれッッ 慧ーーーーーーーー』
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泣きつかれてしまった。慧を埋葬してあげよう・・・・
ん、なんだこの首飾りふくろうみたいな形し・・・光だした!!!!!
『んッ・・・・・んッ・・・・・・・』
『此処はどこかしら?』
『急に呼ばれたかと思ったら、この首飾り・・・・そうかこんな古の召喚術を使われるなんてね』
『これはもう処分ね』
『センサーを起動させてっと』
『センサーが壊れている?しかしそんなに高いステージでは無いようね・・・』
『こんな辺境に飛ばされるなんてね』
『まあいいわ、さっさと帰りましょう』
ドン
『???』
『何者だ貴様!!』
『あの大名が呼んだ化物か!!』
『あら、人を化物呼ばわりするなんて、失礼ね』
『あら貴方、鬼人化してるじゃない・・レベルは全然だけどね』
『何を言っている?』
しかしこんなステージで手に入れられる力では無いわ・・・危険ね、ここで処分しましょう。
『珍しいものが見れたお礼に私も鬼人化してあげるわ』
『本来、そっち系は苦手だけどね・・・』
『ふんッ』
『なッ!!!』
『こんなレベルではまだまだね、でも貴方よりは強いわよ』
ドスッ
一撃だと!!!強すぎる・・・・・・・
今までの慧との思い出や色んな事が思い浮かぶ、これが走馬灯ってやつか・・・・・
慧すまない埋葬してやれなかったな・・・・・・・
???『ジャン・・・・ジャン・・・目覚めなさい、そして祖国を救うのです』