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悪役令嬢になる? もふもふ美少女妖怪ミイコの初めてのバイト

作者: 夕凪ナギ
掲載日:2019/07/07

『急募! 私の引き立て役となる悪役令嬢を演じてみませんか?』


「なんじゃ? この貼り紙は?」


「バイト募集のようだな。人間が間違えて、この里にも貼ったんだろう。しかし珍しいな」



 妾が住む妖狐の里は、最近あまり人が近寄らなくなっていたのじゃ。残念なことに、この付近の村人は賢くなってしまったらしい。騙して食べ物を簡単に奪えたあの頃に戻りたいのじゃ。



「楽しそうじゃな! 行ってみるのじゃ」


「まぁ、ミイコなら素のままで、悪役令嬢だろうな」


「意地悪をすればよいのじゃろ? 妾の得意分野じゃ」


「食い意地は……あ! 知らないよ〜」


 相棒ギンガの注意も聞かず、妖狐ミイコはくるりと宙返りし、その場からスッと消えた。




 彼女はバイト募集の面接を受けに行き、持ち前の意地悪パワーがさく裂。即採用となったのだった。



「ミイコさん、物語は主人公の人生ですから、やり直しができません。気をつけてくださいね」


「わかったのじゃ」



 セリフを打ち合わせ、それを彼女は正確に記憶した。打ち合わせの間に、着替えも終えた。


「なんじゃ? 妙な着物じゃの」


「ミイコさんは、もっふもふな尻尾があるから、ドレスにしました。頭の狐耳はリボンで隠しましょう」


「むむ…」


「さぁ、出番ですよ。打ち合わせ通りに演じてくださいね」


「任せるのじゃ。意地悪は得意じゃ」



 自信満々な彼女は、完璧な悪役令嬢を演じていた。


 妖狐である彼女にとって、主人公を騙し、追い詰め、あざ笑うことは、あまりにも容易なバイトだった。


 その後、彼女は休憩時間に入った。



「ミイコさん、完璧です! 後は、主人公に逆襲されてバイト終了です」


「逆襲などされたくないが、バイトだから仕方ないのじゃ」


「ささ、お弁当も食べ放題ですよ。次の出番までしばらくお待ちください」


「うむ」




 出番の呼び出しがあり、クライマックスだ。ごにょごにょとセリフが進む。


(はぁ、ちょっと食べすぎたのじゃ)



 いよいよ主人公が、ざまぁ砲をぶちかます最終段階だ。何気なく頭をかき、ミイコはハッとした。


 主人公のセリフが止まり、その視線はミイコの頭に釘付けになっていた。


(リボンが…)


 焦って落ちたリボンを拾おうとして、悲劇が起こった。


 ビリッ!


「きゃあぁ〜っ!」



 次の瞬間、ミイコは天を仰いだ。


(やらかしたのじゃ…)



「いや〜ん! もっふもふ〜」


 主人公は、ざまぁを忘れて、ミイコのドレスの裂け目から飛びだした尻尾に抱きついていた。



 ミイコの初バイトは、失敗に終わったのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言] うんうん…(゜-゜)(。_。)(゜-゜)(。_。) モフモフには抗えないよね
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