絶望の始まり
以前、ミリタリーものを書くと言いましたが、予定変更です。
ある方からのリクエストでミステリー系を書く事になりました。
よろしくお願いします。
「被害者は金田隆司、25歳。この近辺で働いていた建設作業員で、近所のアパートで一人暮らしをしていたらしい。午前7時半頃、車で出勤途中だった男性、彦坂栄一さん、48歳が発見し、通報した。その他の詳細については調査中だ。」
そう言うのは川本信介刑事。今回の事件で捜査の指揮をとっている。
「しかし、おかしなもんだな〜。」川本は呟いた。
被害者は口径5.56mmのNATO規格で製造された弾で頭を正面から撃ち抜かれていた。だが、道路の真ん中に倒れていて、死体を動かしたり、金品を漁った形跡も無い。
しかも司法解剖で出てきた弾丸はアメリカ製の正規品。国家の陰謀か何かにあの男が関わっていたような事は身辺調査でも出てこなかった。スパイである疑いのかけようが無いから、それを前提として捜査することもできない。外国のスパイが国内で殺されたとなったらそれはそれで不味いのだが。
そんな思考をしているうちに、腹が減ってきた。時計を見れば、ちょうど昼だ。川本は食堂に行く事にした。