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#3(改稿)

「――ええ……ええ、了解。引き続きお願いね」

 通信用の端末をエプロンのポケットへ押しこんだコトハは、足を組んで艦長席にすわるユーリのほうへゆっくりと向きなおった。

「アヤネからか?」

「はい。宝物庫らしき部屋の扉をひらけないのだそうです」

「宝物庫?」

 宝物庫という言葉に反応し、ユーリの目がかすかに光った。

 海賊艦の宝物庫といえば、略奪した品々を保管しておく部屋と相場がきまっている。略奪されたものを奪いかえして正当な所有者へ返還すれば、価値に応じた謝礼金が手に入る。

「で――」

 艦長席から立ちあがったユーリは、ゆったりとした足取りでコトハに近づいた。

「開けられないというのは、どういうことだ?」

「セキュリティーが網膜認証らしく、それがないとどうにもならないそうです」

「なるほど……」

 ユーリは、半眼のまま海賊の一人ひとりにゆっくり視線を合わす。

 誰かが生唾を飲んだ。

 海賊は、みなユーリと視線を合わせようとしない。

 そんなとき、ユーリの腕時計型通信端末が鳴った。

 ユーリは、舌打ちして通信ウィンドウを開く。

『おい、ユーリ! 食堂に変なのがいるぞ!?』

 通信はサクヤからだった。

 彼女の焦った顔がディスプレイを占有している。

「顔が近ぇよ」

 ディスプレイから顔を遠ざけたユーリは、思わずしかめ面を浮かべた。

 ディスプレイの背後では、銃声が響いている。

 いまどき火薬銃を使う者は珍しく、その銃声がミカヤのものであろうことは容易に想像できた。

『とにかく来てくれっ! あたしらじゃ手に負えねぇんだ!』

 通信は一方的に切られた。というよりは、強制的に切断されたといったほうが正しいだろう。

 ユーリは、しばしコトハと顔を向き合わせた。

 あの二人が手を焼いている相手なのだから、相当手ごわい相手なのだろう。

「ったく……」

 ユーリは小さくため息をつき、ぼりぼりと頭を搔いた。

「コトハ、ここを任せても良いか?」

「問題ございません」

「じゃあ、俺はあいつらのケツ拭いてくるわ」

 心底めんどくさそうな重い足取りで外へ向かうユーリ。

「マスター」

「あん?」

 足を止めたユーリは、肩越しに視線だけを向けた。

「くれぐれもお気をつけて」

「ああ、わかったわかった」

 適当な返事を返し、ユーリは片手をひらひらさせながらブリッジをあとにした。

 コトハはユーリのうしろ姿が完全に見えなくなってから、ゆっくり海賊たちのほうを振りかえる。

「……さて」

 無表情な視線は、ベロムに向けられている。

「な、なんだよ!?」

「宝物庫のセキュリティーを解除していただけますね?」

「な、何で俺に言うんだ?」

「私の見立てでは、セキュリティー解除に必要なのは、あなたの網膜のはずだからでございます」

 コトハは、ベロムの目をみてきっぱりと言いきった。

「何を根拠にそうだと思った?」

 視線を逸らし、つとめて冷静な口調で問いかえすベロム。

「マスターに見られたときの視線の泳ぎよう。室温に対しての不自然な汗の量。口腔内の緊張による嚥下障害。そして、私と視線を合わせようとしないこと」

「おいおい、おい嬢ちゃん。この俺がそう簡単に口を割ると――」

「網膜のサンプルさえあれば問題ございますので、無理に協力していただかなくても結構でございます。あなたの網膜が違うのであれば、ここにいる全員の網膜を一人ひとり採集するだけでございますから」

 淡々としゃべりながら無表情のまま腰の短刀をぬくコトハの姿をみて、海賊たちが悲鳴をあげる。

 ベロムの前に膝をつき、ゆっくりと短刀を近づけた。

 コトハの瞳には、一切の迷いが感じられない。

「ちょっ、ま、待て! わ、わかった、開ける! 開けるからやめてくれ!!」

 短刀の切っ先がベロムの眼球の前で止まった。

 ベロムの目からは、滝のように涙が流れ落ちている。

「では、ご協力いただけますね?」

 コトハはすっと立ち上がると短刀を鞘におさめ、がっくりとうな垂れるベロムにいった。


 食堂は、火薬臭いとブイヨンの香りが入り混じった不思議な臭いに包まれていた。

「何なんだよ、この筋肉だるまは……。ミカ姉ぇとあたしを同時に相手しても互角とは……」

「困ったわね~」

 サクヤとミカヤは、目の前のコックもどきを攻めあぐねていた。

「この子たちは渡さないわ! あきらめて帰りなさい!」

「何、わけ分かんねぇこといってやがる!」

 カエルスの戦闘能力は凄まじく、ミカヤとサクヤが舌を巻くほどだった。

 破壊され、散乱したテーブルや椅子、床のいたるところに落ちている薬莢の数々が戦闘の激しさを物語っている

 そこへ、ゆったりとした足取りでユーリがやってきた。

「お前らが手を焼いている相手ってのは、こいつのことか?」

 やる気のない半眼がカエルスの姿をとらえる。

「確かに変な奴だな」

 頭を掻く手をとめ、ぼそりつ呟くユーリ。

「やだ、良い男っ!」

 ユーリの姿をみたカエルスは、顔を赤らめていった。

「二人の美男子がアタシを取り合うことになるなんて……」

 頬に手をあて、体をくねらせる。

「野性味溢れるリカルドちゃんも良いけど、どこか締りがない表情ながら、内から溢れる気品を漂わせるこの子も捨てがたいわ……っ!!」

「気品……?」

 思わず声をあげたサクヤは、ユーリの顔をまじまじ見つめてた。

「……なんでそこに俺の名前が入っているんだ」

 厨房の陰から様子を伺っていたリカルドは、震える声を絞りだす。

 食堂の惨状を眺めていたユーリは、厨房の大鍋で視線がとまった。

 食堂を満たす食欲をそそる香りは、そこから発生しているものなのだろう。

 無言のまま食堂へいき、大鍋をのぞきこんだ。

「それはお前が作ったのか?」

「そうよ。アタシはね、この船のシェフ、な・の」

 カエルスはレードルをくるくると回し、得意げに答える。

「食ってみても良いか?」

「や、やめろユーリ! 腹壊すぞ!」

 あわてて止めようとするサクヤ。

「失礼ね! アタシの料理を食べた人は、今まで誰一人としてそうなったことないわよ!」

 器にポトフを盛り付けたカエルスは、思わず抗議の声をあげた。

 倒れたテーブルと椅子を一セットだけ整え、ユーリはそこへ座る。

「さあ、召し上がれ♪」

 カエルスは、上機嫌でポトフが入った器をユーリの前にさしだした。

 ユーリが来てから食堂の空気は、すっかり彼のペースに飲まれている。

 さきほどまでの張り詰めた緊張感は消し飛び、ほのぼのとした空気が流れていた。

 ポトフは立ちのぼる湯気に食欲をそそらせる香りを含ませ、ユーリの鼻腔をくすぐった。

 じゅうぶんに香りを堪能したユーリは、スプーンで具をすくい、そっと口へ運ぶ。

「…………」

 まるで時が止まったかのようにユーリが硬直した。

「マスター……?」

 ミカヤが心配そうに眉尻を下げ、ユーリの顔をのぞきこむ。

「うまっ」

 ポトフの具をつぎつぎ口に運ぶユーリ。

「だ、大丈夫なのか……?」

 唖然とするサクヤ。

「美味いぞ、これ。お前らも食ってみろ」

 ユーリはスプーンに具をのせ、二人に勧めた。

「そうですか~、では、一口だけ失礼いたしますね~」

 ミカヤはユーリから具がのったスプーンを受け取り、それを口に運ぶ。

 普段、穏やかな笑みを浮かべているミカヤの目が大きく見開かれた。

「……美味しい」

「ま、マジか!? あたしにもよこせ!」

 ミカヤからスプーンを掠め取ったサクヤは、ユーリからポトフの器も奪い、具を口の中に搔きこんだ。

「ぅお! すっげー美味ぇ!」

「あったりまえじゃない。誰が作ったと思ってるのよ!」

 次々と沸き起こる賞賛の声に、カエルスは得意げに胸をはった。

「海賊艦のシェフなんかにしとくのは惜しい腕だな」

 ユーリはカエルスをまじまじと見つめた。

「お前さ、うちの専属シェフにならねぇか?」

「やだ、ナンパ!?」

「俺の船には、料理人が乗ってねぇんだ」

「あ、アタシが欲しいだなんて……」

 両手で頬をおさえ、赤面しながら体をくねらせるカエルス。

 微妙に話が噛み合っていないことについては、だれも触れようとしない。

 その動きが止まり、カエルスは急に真剣な表情になった。

「一つ、条件があるわ」

「条件?」

 ユーリは、訝しげな表情でそれを見かえした。

「そこに隠れている二人。あの子たちも一緒にということ」

 カエルスが指差した先には、厨房からこちらを伺っている、みすぼらしい衣服をきた浅黒い肌を持つ青年と少女の姿があった。

「そういえば、さっきから気にはなっていたんだ。そいつら、奴隷か?」

「詳細はよく知らないけど、ベロムが襲った貨物船から連れてこられたみたいよ。海賊の仲間じゃないわ」

「なるほどな……」

 まるで品定めするかのような視線を送る。

「まあ、別にかまわないぜ?」

「決まりね。もうアナタたちは自由よ」

 カエルスは、二人に優しげな笑顔を送った。


「くそぅ、俺様がこんな小娘ごときに……」

 ベロムはぶつぶつと呟きながら歩く。

 後ろ手に縛られ、背後からコトハが無言で威圧している。

 別に睨んでくるわけでも、罵声を浴びせてくるわけでもない。

 一瞬でも隙をみせたら体格を活かして押し倒して形勢逆転させるつもりでいたのだが、コトハは短刀を握り締めたまま、じっと無表情な視線を背後から突き刺してくる。

 ベロムは打つ手がないまま、目的の部屋の前まできた。

「ここだ」

 ベロムはあご先で扉を指し、ぶっきらぼうに言う。

「扉を開けてください」

「少しは笑いやがれってんだ」

 舌打をして悪態をついたベロムは、網膜認証装置を覗きこむ。

 赤い表示灯が青に変わり、扉は空気が抜ける音とともに開いた。

「開けたぜ。もう用済みだとか言って、ばさっと斬り殺したりするんじゃねぇぞ?」

「それは良い考えでございますね」

 コトハは顎に手をあて、思案する素振りをみせる。

「お、おいっ!?」

「冗談でございます」

 無表情でそんなことを言われても、全く冗談には聞こえない。ベロムは背中にたっぷりと冷や汗をかいた。

「これが……略奪品でございますか?」

 部屋の中には、絵画などの調度品が無造作に保管されていた。

「これは……」

 宝物庫にある調度品を一つ一つ確認するコトハ。

「どうだ、驚いただろう」

 驚きをみせるコトハをみて、ベロムは得意げな表情を浮かべた。

「あなた方が襲ったのは、どこの船籍の船でしたか?」

「あ? 知らねぇよ。識別信号出してなかったからな」

「そうですか……」

 コトハは絵画の一つに歩みより、絵の表面や額縁の裏まで隅々チェックした。

「間違いありません」

 すっと立ち上がったコトハは、ベロムに向きなおった。

「ここにあるのは、ベラルージュ王家が所有していた美術品や調度品でございます」

「だから何だよ。国籍不明の船がベラルージュとかいう国の船だったってことだろ?」

「ベラルージュ王国という国は、既に存在してございません。半年前、ドルドリア帝国によって滅ぼされましたので」

「じゃあ、ドルドリアの船だったんだろ? それが何だってんだよ」

 首を捻るベロム。どうやら、話が理解できていないようだ。

 再び宝物庫を見渡したコトハは、無造作に並べられた調度品の中に、ひときわ異彩を放つ砂紋のような模様が刻まれた二十センチ四方ほどのキューブをみつけた。

 コトハは無言でそれに近づき、手にとってまじまじと眺めた。

「それが何なのかは良くわからねぇけど、やたら厳重に保管されてたから一緒に拝借してきたのさ」

「そうですか」

 そういうとコトハは、通信用端末でユーリを呼び出した。

 端末のウィンドウには、口いっぱいにポトフを頬張っているユーリの顔が映し出される。

『おう、どうした』

「……取り込み中のところ申し訳ございませんが、こちらまでご足労いただけませんか?」

 いろいろとツッコミを入れたいのを何とかこらえ、コトハは用件だけを伝えた。

「……わかった、すぐ行くから待ってろ」


 回線を切ってから二十分後、ユーリはミカヤとサクヤをともなって姿をあらわし、その後ろからカエルス、リカルド、ファレルとつづく。

 コトハは見慣れない三人に怪訝な表情をむけた。

「マスター、そちらの方々は?」

 ユーリが何か言おうとする前にベロムがほえた。

「カ、カエルスてめぇ、寝返りやがったな!?」

「あら、ベロム。良いザマね」

 コック姿の筋肉塊は、冷たく蔑むような視線をベロムに投げかける。

「もともとアタシは、あんたにお金で雇われてあげていただけ。海賊の仲間になったことなんて一度もないわ」

「な、なんだとテメェ!」

 鼻で嘲笑われたベロムは、顔を真っ赤にして怒鳴った。 

「それに、今日からはアタシの雇い主はユーリちゃんよ」

 ちゃん付けで呼ばれたユーリは、げんなりした表情を浮かべている。

「お初にお目にかかります。私はマスター……ユーリ様の秘書を担当しております、コトハ・スメラギと申します」

 深々とお辞儀をしてコトハ。

「今の話しぶりですと、カエルスさまはタルタロスで雇われるということで間違いございませんか?」

「間違いないわ」

 ユーリも頷いているところをみると、どうやら本当のようだ。

「では、申し訳ございませんが、お名前と出身だけ口頭で構いませんのでお教えいただけませんでしょうか?」

「あら、それだけで良いわけ?」

「正式なものは後ほどということで、とりあえずは」

「アタシの名前はカエルス・ランペニウス。ブラン・ドラン連邦の出身よ」

「ありがとうございます。ところで、そちらのふたりは……」

「それは後にしろ。俺を呼んだ理由はなんだ?」

 コトハが浅黒い肌の男女に話を振ろうとしたところで、しびれを切らしたユーリが言葉を遮るように口を挟んできた。

「申し訳ございません。実は、この船の積荷に関してなのでございますが……」

 コトハは深々と頭を下げて詫びたあと、促すように視線を部屋の中へとうつした。

「この積荷がどうかしたのか?」

「はい。ここにある絵や調度品は、すべてベラルージュ王国が管理していたものでございます」

「ベラルージュといえば……」

「半年前にドルドリアに武力統合された国でございます」

 話を聞いていたサクヤは、ベロムに近づき、

「お前、ドルドリア正規軍の輸送艦を襲ったみてぇだな」

 哀れみ半分、冷やかし半分の口調でいった。

「バカ言うんじゃねぇ! 海賊が正規軍に喧嘩吹っかけるわけねぇだろ! 俺たちが襲った船には、識別信号を出してない国籍不明船だったんだぜ!?」

 もはや涙目のベロム。正規軍に手を出せば、かならず討伐艦隊が派遣される。それが小国の艦隊ならいざ知らず、ドルドリア帝国のような強大な国家なら派遣される艦隊も強大になる。

 だから、正規軍とはなるべく接触しないようにするのが海賊たちのなかでは常識となっていた。

「それは妙ですよね~」

 人差し指をあご先に当て、ミカヤが口をひらいた。

「ドルドリアが~、ベラルージュを武力統合したことは~、もはや国際的にも周知の事実なんですし~、わざわざ国籍を隠して輸送する必要なんてありませんよね~」

 首をかしげて考えこむ。

「マスターには、もうひとつ、見ていただきたいものがございます」

 そういって、コトハは部屋の隅に置かれた砂紋のような模様が刻まれた二十センチ四方のキューブを拾いあげた。

 とっさに動こうとしたリカルドの服の裾を、ファレルはそっと掴んでとめた。

 リカルドが振りかえると、ファレルは小さくかぶりふる。

 幸い、カエルスの巨体に隠れていたおかげでふたりの動きに気付いたものはいないようだ。

「……メモリーキューブか」

 コトハからキューブを受けとったユーリは、それを様々な角度から眺めてみる。

「メモリーキューブは、厳重に保管されていたそうでございます。これを運んでいた人物は、それが何なのかを知っているのでしょう」

「おい、メモリーキューブって何だよ」

 声を上げたのは、あたりに漂い始めた神妙な空気についてこれなくなったベロムだった。

 しかし、ベロムのことなど誰も眼中にないようで、その問いにはだれも答えなかった。

「いかがなさいますか?」

「いかがっつってもなぁ……」

 キューブをぼんやり眺めながら、ユーリはネックレスを指先でもてあそぶ。

 コトハたちは、その様子を黙って見守っていた。

「よし、こいつだけ貰っておくとしよう」

 十数秒間の沈黙のあと、ユーリはおもむろにいった。

「それから、予定通り水と食料もいただく。ただし、二日分だけ残してやれ」

「かしこまりました」

 深々と礼をしたコトハは、すぐさま船外で待機中のスズネへ通信をおくる。

「お、おいっ!」

 ベロムは思わず叫んだ。

「何だよ、うるせぇな」

「二日って何だよ! 殺すならひと思いに殺しやがれ!」

 耳の穴を小指でほじくり、迷惑そうな顔を向けるユーリに食って掛かるベロム。

「お宝と一緒にくたばるなり、救難信号出してみるなり、二日間ゆっくり考えればいいじゃねぇか」

 やる気のこもらない半眼をむけたユーリは、投げやりな口調でいいはなった。

 ベロムの顔は怒りでみるみる真っ赤に染まる。

「こうなったら、てめぇだけでも道連れ――」

 逆上したベロムがユーリに飛びかかろうとした瞬間、ユーリの姿が視界から消えた。

 気がつくと、いつの間にか懐へ飛び込まれ、短剣の刃を喉元に当てられていた。

 額から冷や汗を流し、がっくりと膝をつくベロム。

「帰るぜ」

 完全に戦意を失ったベロムを見下ろし、ユーリは短剣を腰にぶら下げた鞘へおさめた。

「アタシは自分用の調理器具を取りに厨房へ戻ってから向かうわ。リカルドちゃん、ファレルちゃん、手伝ってくれない?」

「あれか……」

 ミカヤの銃弾をはじき、サクヤの刀を受け止めた、強靭な強度をほこる調理器具の数々が頭をよぎり、サクヤはうんざりした声をもらす。

「ミカ姉ぇ、サク姉ぇ、二人もカエルス様と一緒にいって、スズネの搬出作業を手伝ってあげて」

 コトハは二人の姉に指示をだす。

 それぞれが次の行動へ移るために部屋を出ていき、貨物室にはがっくりとうな垂れたベロムだけが残された。

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