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9.格差システムの導入

三人が森に到着したのは、夕暮れ時だった。


クロウは小屋の前で待っていた。


「連れてきたか」クロウは淡々と言った。


「はい」レオンは答えた。


「この二人です」

シエラとボブは、クロウを見て息を呑んだ。


それは、レオンが初めてクロウに会った時と同じ反応だった。


圧倒的な存在感。しかし、それは威圧ではなく、何か別の重さ。


「名前を言え」クロウは命令した。


「シエラ・ヴァンクリーフです」

「ボブ・マローンです」


クロウは、二人をじっと見つめた。


その目は、まるで二人の魂を見透かすようだった。


「なぜ、ここに来た?」


シエラは、真っ直ぐにクロウを見返した。


「強くなるためです」


「ボブは?」


ボブは、緊張で声が震えた。


「俺も...強くなりたいです」


「理由は?」

ボブは、答えに詰まった。


しかし、シエラは即答した。

「自分の居場所を作るためです」

クロウは、わずかに頷いた。


「では、レオン。お前の理由は?」


レオンは、拳を握りしめた。

「魔王を倒すためです」


クロウは、三人を見回した。


「全員、違う理由だな」

「それが...問題ですか?」レオンは尋ねた。


「いや」クロウは首を振った。

「むしろ好都合だ」


「好都合...?」

クロウは、三人に背を向けた。


「明日から、三人の訓練を始める」


「しかし」クロウは続けた。

「三人を平等には扱わない」


三人は顔を見合わせた。

「どういう...意味ですか?」

レオンが尋ねた。


クロウは振り返った。

「この世界に、平等など存在しない」


「強者と弱者、有能と無能、価値ある者と価値なき者」

「それらは、常に区別される」


「だから、私も区別する」


シエラが口を開いた。


「つまり、差別するということですか?」

「差別?」クロウは冷笑した。


「違う。区別だ」

「能力に応じた、正当な区別だ」


ボブが不安そうに尋ねた。

「どうやって...区別するんですか?」


「ランク制度だ」クロウは答えた。


「ランク...制度...?」


「そうだ」クロウは説明を始めた。


「お前たちには、毎日課題を与える」


「その達成度によって、ランクが決まる」

「ランクが高い者には、良い待遇を与える」

「ランクが低い者には、相応の待遇を与える」


レオンは眉をひそめた。

「それは...不公平では?」


「不公平?」クロウは問い返した。「なぜだ?」


「だって、最初から能力に差があるなら...」


「だから何だ?」クロウは遮った。


「能力がない者は、より努力すればいい」

「それができないなら、その者は弱いというだけだ」


シエラが言った。

「では、ランクが低い者は、どうすればいいんですか?」


「努力しろ」クロウは即答した。「それだけだ」


ボブは、既に恐怖を感じていた。


自分は、絶対に最下位になる。

それが分かっていた。


「ランクは、どうやって決まるんですか?」

レオンは尋ねた。


「総合評価だ」クロウは答えた。


「体力、技術、知識、判断力、全てを評価する」

「そして、毎週ランクを更新する」


「つまり」クロウは冷たく笑った。

「お前たちは、常に競争し続けることになる」


三人は、言葉を失った。


競争?仲間同士で?

「待ってください」レオンは抗議した。

「俺たちは、仲間のはずです」


「仲間?」クロウは冷笑した。


「誰がそう言った?」


「それは...」


「お前たちは、ただの訓練生だ」クロウは断言した。「仲間ではない」


「仲間になるかどうかは、お前たち次第だ」


「しかし」クロウは続けた。


「仲間になることは、お前たちの成長を妨げる」


「なぜですか?」

「なぜなら、仲間は甘えを生むからだ」クロウは説明した。


「お前たちが助け合えば、弱い者は努力しなくなる」

「強い者は、弱い者に足を引っ張られる」


「それでは、誰も成長しない」


シエラは、クロウの言葉に納得しかけていた。

確かに、それは理にかなっている。


しかし、レオンは抵抗した。

「でも、協力することで、もっと強くなれるはずです」


「甘い」クロウは一蹴した。「それは、理想論だ」

「現実は違う」

「弱者は、常に強者に依存する」

「そして、強者は、弱者に搾取される」

「それが、人間の本性だ」


ボブは、既に絶望していた。

自分は、間違いなく弱者だ。


では、自分は他の二人に依存することになるのか?

そして、嫌われるのか?


「では」クロウは宣言した。「今から、最初のテストを行う」

「テスト...?」


「ああ」クロウは頷いた。「お前たちの現在の能力を測定する」

クロウは、三人を森の中へと導いた。


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