シモン・フーリーン・ぺジオ
湖に落ちかけた少女をキャッチ、そのまま縁に立たせてあげる。そこそこの勢いで急降下して目の前に現れたものだから少女が目をまんまる開けてびっくりしてる。
「せいれいさん?」
「すごい、よくわかったね」
「きらきらしててきれいだったから」
へー、精霊ってきらきらしてて綺麗なのか。私以外の精霊は見たことないから知らなかった。正直これ分かったところで意味ない感あるけど、貴重な情報だ。同族探しに役立てよう。
「ここで何してたの?お父さんかお母さんは?」
「おかあさん、びょうきだからおとうさんにはこんでもらってるの。ここならせいれいさんがなおしてくれるかもしれないって。だからさきにきておねがいしてたの」
ふ~む、お母さんが病気なのはわかったけど、精霊が治すってどういうことだ。もしや今日ここで見れるのって精霊?で、この子はお祈りをしてて、落ちそうになったら精霊の私がやってきたと。これさ。
「おねがいします。おかあさんをたすけてください」
やっぱり。そりゃ目の前にお願いしてた精霊が来たらそうなるよね。でも困ったぞ、私病気なんて治せない。お姉さん印の万能薬で何とかならない?いやそもそも見てみないとわかんないか。鑑定すればわかるかな?
「ごめんね。私も治せるかどうかはわからない。でもできるだけやってみるよ。お母さんはここに来るんだよね?」
「ありがとうございます。はい、もうすこしでくるとおもいます。おかあさんをおねがいします」
自分より小さい少女に頭を下げられている状況は精神的によろしくないので、できれば早く来てほしい。というか湖から出てくるらしい精霊も何してるんだ。呼ばれてるんだから早く出てきてよ。
待ってたらちょうど空いてる場所だからか、騎士さんがたくさん出てきた。誰かを守るような動きだ。騎士さんに守られてるってことは領主家族とかかもしれない。それか別のお偉方。どちらにせよまた精神衛生上よくないことになった。はやくこの子のお母さん来てくれ。
「あ、おかあさんがきたみたいです。おかあさーん!!」
「え、ちょっとダメ」
少女が騎士の集団に突っ込んでいってしまった。流石にそれはまずいのでは。子供とはいえ害がないわけじゃないし、無理やり排除とかされかねない。そんなことを考えてふと思った。そういえば領主夫妻には子供が二人いるっておじさんが言っていたな?ならばもしや。
騎士の中から恰幅のいい男性を連れて少女がやってくる。ちょび髭をはやしたナイスダンディだ。リアルにいたら三度見くらいする。
「娘を助けてもらったようで、申し訳ないね。ありがとう。この町の領主をさせてもらっているシモン・フーリーン・ぺジオだ。シモンと呼んでくれ」
やっぱり!領主様じゃん。頭とか下げたほうがいいかな?




