湖と飛行許可証
やばい寝坊した。ご飯食べてお風呂入って、ちょっと横になろ~で気づいたらぐっすり寝てた。すでに10時過ぎだ。
第3の町でログアウトしてたことだけが救いだ。セーフティーエリアから湖までは歩いて5分くらい、急げば3分くらいだ。空を飛べないのがもどかしい。急いで町に入ったものだから、聞くのをすっかり忘れていた。
湖に向かうにつれ住人NPCの人混みが多くなっていく。よかった、間に合ったみたいだ。見終わればみんなどこかに行ってしまうだろうが、そんな様子はない。寧ろNPCの近くを通った時に楽しみだなぁ~なんて声も聞こえてきた。
湖の周りには人がたくさんいた。今まで見たことない衣装のNPCなんかもいる。多分外国の人だ。雨乞龍の鈴生り龍鱗のおかげで、他の国があることはわかっている。
この場にいる人たちの年齢も様々だ。杖をついてよぼよぼのおじいちゃんおばあちゃんからやっと立って歩けるようになったくらいの子供までいる。ベンチに座って赤ん坊をあやしている女性の隣には昼間にここのことを教えてくれたおじさんもいた。結婚してたんだね。幸せそうだ。
少し離れたところでは騎士さんが見回りをしていた。人が多いもんね。ちょうどいいし、飛んでもいいか聞いてみよう。
「すいません、私、スキルで飛べるんですけど飛んで移動してもいいですか?」
「は、はい?すいません、新人の自分では何とも・・・先輩に聞いてみます。ちょっとこの場で待っててくださいね」
騎士さんは5分もすれば先輩を連れて戻ってきてくれた。飛ぶのは問題ないけど、問題は起こさないようにと飛行許可証なるものをもらった。たまに飛べる種族の人が町に来るから、その時はこれを渡して身分と安全を保障するんだそう。知ってたら初めに来た時飾りなんて言ってごまかさなかった。
取り合えずこれで飛んでも問題はなくなった。湖の周りは人が多い。私の身長だと周りの人が邪魔で視界が届かないんだ。でもこれで問題なし。ただ人が多いとがやがやして耳が痛いし、どこか人のいない場所を探そう。
少し離れて上から湖の周りを散策。どこもかしこも人でいっぱいだ。ベンチなんかは当たり前のように埋まってるし、地面にシートを引いて座ってる人もいる。これは空にいたほうがいいかな?下から私を見つけた人たちが驚いていてなんだか申し訳ないのだけど。まぁ問題起こしてるわけじゃないしいいか。
お、ちょっと奥の方だけど全然人がいない場所があった。金髪の小さい女の子が一人だけだ、危なくないのかな?湖に落ちちゃいそう。ちょっと心配だし近くによっておこうか。ついでに空いてたら一緒に見させてもらおう。
ってあ、バランス崩してる。急げ急げ。




