墓場を統べるもの2
「リス・ピーピン・アウ・シン・ヅツ」
─オオ・・・ア?─
二人が戦闘をはじめ、接近戦とオーラによる離脱を2回ほど繰り返したころ。リッチの動きに異変が生じた。さっきまでの動きのキレはなく、すべての動作が遅い。それを見てリーゼも一気に攻め込む。
「はぁっ!」
─オア・・・アアッ!─
焦ったリッチがまたオーラではじくけど、それが最後だった。リッチは死んではいないが、地面に倒れて動くことができていない。それでもリーゼは油断せずリッチを見ている。
≪ダンジョン『腐臭漂う森の墓場』をクリアしました≫
≪初回クリア報酬として『怨嗟の塊』を入手しました≫
≪1分後、ダンジョンの入り口に送還されます。お疲れさまでした≫
そのまま見守ること数分。リッチは動くこともできず、塵となって消えていった。ボスが倒れたため、ダンジョンクリアのアナウンスが流れる。初回クリア報酬が気になるがそれは後だ。
「リーゼ、おめでとう。どうやったの?」
「ふふ、実はですね・・・」
入口に戻されながらリーゼの話を聞くと、リッチが倒れたのは脱水症状の重篤化によるダメージが原因らしい。
水分ゲージが存在する場合、減るにつれて眩暈や頭痛が発生する。そのままゲージが0になった場合、10秒で最大HPの3%分ダメージを受けるらしい。リッチが動けなくなって死んでいったのは、水分ゲージが0になったから。
「リッチを鑑定したときに、〈脱水耐性〉があったのに気づいたんです。ルピナスみたいなイレギュラーでもない限り、リッチも水分ゲージがあるはずだと思って狙いました。私の固有属性、『乾燥』なので」
なるほど!時々当ててた石礫、多分あれに『乾燥』属性が入っていたのだ。それをぶつけることで水分を奪い、時間経過で倒したと。すごい。その発想もそうだし、水分ゲージを減らしきるまで耐えきれる近接技能も。
「どうです、ルピナス。私強いでしょう?」
「うん。流石最上位勢だなって。私もリーゼみたいになりたいな」
「・・・ルピナスも最上位勢の一人ですよ」
「?」
リーゼ曰く、私のステータスもスキルの数も、十分最上位勢として通用するらしい。おまけにトップクランの『攻略し隊』リーゼであるライネスさんに勧誘されていて、トカゲの異常発生では常軌を逸した力を見せつけた。本当なら私がいてもいなくても無理な勧誘は来ないって。確かに勧誘されたことないかも。
それでリーゼはこのままでは私と一緒にゲームできなくなるって焦って、強さを証明しようとしたみたい。それでこのダンジョンをほぼ一人で攻略しようとしたのか。別にリーゼが強いから一緒にいるわけじゃないんだけど。
「そうは言いますがまぁ、私の中での決意表明みたいなものだと思ってください。とにかく、これで荷物になることはないと証明できたと思います」
「むしろ私のほうがお荷物になりそうで心配だよ」
「そんな日が来るとは思えませんが・・・それでルピナス、お願いがあります。これからも一緒に冒険してくれますか?」
「もちろん!」
私がリーゼと一緒にいるのは、リーゼが優しいからだよ。私のことを大切に思ってくれてるんだなってわかるから、だから一緒にいるの。これからもよろしくね。私もお荷物にならないように、頑張るから。




