腐臭漂う森の墓場2
【スキル】枝角
頭部から角が生える。また、折れても一定時間経つと再生する。
原因が分かった。さっきアンデッド・プライマルディアーから収穫したこのスキルだ。そりゃとんでもない痛みがするわけだ。だって頭から本来ないはずのものがにょきにょき生えてきてんだもん。
しかもこれ消せない。他のスキル、例えば〈浮遊〉とか〈炎の吐息〉とか、そういうアクティブスキルは私の意志で発動する発動しないを選べるんだけど、このスキルはパッシブスキル扱いなのかなくそうと思っても消えない。
しかもこの角、かなり立派なのでそれ相応に重い。多分30㎝くらいあるんじゃないかな。おかげで頭を動かすたびぐわんぐわんする。
問題はまだある。この角、神経が通っているのかぶつけると痛い。これでただの飾りなら生えるたび折ったりできたんだけど、さっきちょっとぶつけただけで激痛が走ったからその案は早々に破棄した。
結論。ただ邪魔なだけ。
というか鹿の角ってオスにしか生えないはずなのに、なんでシステムが女性と保証している私に角が生えるんだ。くそう。このスキルは収穫できないだろうなと思って油断してた。トカゲ種の〈棘砲〉も収穫できないから一緒なのかと。
ただ収穫できるスキルとできないスキルの違いは分かった気がする。スキルによって存在するものは収穫できるんだ。例えば先のトカゲたちだと、〈棘砲〉につかう棘はスキルで生まれたものじゃないから〈棘砲〉も収穫できない。
でもプライマルディアーの角はスキルによって生えてるから収穫できるし、したら角が生える。多分こういうことだ。
しかしこうなると、私がこのダンジョンを攻略するのは厳しいかもしれない。なぜならアンデッド・プライマルディアーはスキルで〈腐った体〉を持っている。要するにスキルによって腐っているのだ。私の【魂の収穫者】はこれを収穫しかねない。リーゼには悪いけど、正直帰りたい。流石に腐った体でゲームをしたくはない。
ということで、リーゼに予想も含めて説明した。正直きつい。倒せないと。
「・・・ルピナス、戦えはするんですか?」
「できるけど・・・」
「なら、私がラストアタックを取るようにします。お願いします。一緒に戦ってくれませんか」
え、そんなにこのダンジョン攻略したいの?それならついていくけど・・・て思ったけど、リーゼの目を見る限り違いそう。その目には好奇心よりも決意があった。
「・・・わかった。信じるからね」
「はい。必ず」
何を決意しているのかはわからないけど、リーゼにはたくさんお世話になったのだ。少しくらい無茶したってかまわないだろう。




