トカゲの楽園2
20分ほど地面に諸々かいて創った魔法は『風よ、音を私のもとへ届けよ』。風によって音を私のもとへ届ける魔法だ。これでより多くの音がするほうへと行けばいい。そうすれば下に行ける階段がある。下に行けば行くほど、トカゲの数は増えるのだから。
しかし問題もある。一気に大量の音を聞かされるので耳も頭も痛いのだ。これは長く使える魔法ではない。そもそも頻繁に使いたくない。ならいつ使うかというと、階層に降りて一番に使うのが多分ベストだとおもう。大体の方向がわかればなんとかなるだろうから。
余談だが、私が基本6属性で一番創った魔法の数が多いのは風属性だ。時点で火属性。おかげでなんとなくデザインする時の美しくなるルールみたいなのがわかってきたので、これからはもっと速く創ることができるだろう。準備しとけって?正論は正しいだけで納得できるかは別なんだよ!覚えておきやがれ!れ!
はい。そんなわけで大体の方向がわかれば後はその方向に進むだけである。時々出てくるトカゲたちを倒しながら進む。とはいえこの魔法は音を拾ってくるだけで、行く場所を決めるのは私だ。一発で階段にたどり着くわけもなく、行き止まりにちょくちょく当たる。
「ん?」
三度目の行き止まりにぶつかった時、何か違和感があった。何かこう、ボタンを一個掛け違えてるような感覚。それを行き止まりの壁に感じた。
「ん~・・・」
じっと壁を見ていると、一か所だけ色が違うことに気付いた。これは・・・お宝では?明らかにおかしいし。とりあえず掘ってみる。
「うわ」
出てきたのはきったない革袋。ずっと前から埋められていたみたいに外は変色してしまっていて、中は土が侵食している。中にはポーションが入っていた。
【道具】知力ボーナスポーション
飲むと永続的に知力をプラス10する。使用できるのは一つのステータスにつき10個まで。
〈鑑別〉30,000G
これは・・・かなり大当たりなんじゃない?装備スキルの〈幸運〉が仕事した気がする。あとこの違和感を感じれたのも装備スキルの〈観察〉のおかげっぽい。
【スキル】幸運
少しだけいいことが起きやすくなる。
【スキル】観察
小さな異変に気付きやすくなる。
二つともかなりいい加減な効果だけど、有用性は見せてくれた。これは今後ダンジョンに行くうえで力になってくれそう。
あたった知力ボーナスポーションはすぐに飲む。味はグレープフルーツの味だった。というかいつから地面に埋まってたかわからないのに飲んで大丈夫だったのだろうか。これで腹痛でも来たらシャレにならない。せっかくここまで来たのだから帰還結晶はまだ使いたくない。何階層あるか知らないけど。
「『風よ、音を私のもとへ届けよ』」
あ~頭痛い。でもおかげで次の階段は近そうだし、何とかこれにも慣れないと。




