トッププレイヤー
解放しておいた転移門を使い、始まりの町から第2の町に向かう。新しく装備した袴にも問題はない。今までと同じように動けそうだ。
「マジーニアさん!」
「あ、二人とも!来てくれたんですね!こっちです!それとルピナスさん、装備がよく似合ってます!」
「ありがとう」
「はい!あ、私は先に行きますね!それでは!」
私たちがここに呼ばれたのは、トカゲ種がこの町に迫っているということをマジーニアさんが教えてくれたからだ。少し前に聞かれたトカゲ種の異常発生を調べていたNPC冒険者が気付いたらしい。
大挙してやってきているトカゲの討伐はNPCにとって命に係わる行為だ。そのため、死んでも復活できるプレイヤーが門の外から数を減らし、中に来たのはNPCが狩るという手はずになっている。無論私たちも外である。
外には多くのプレイヤーがいた。300人くらいいるんじゃないだろうか。遅くに到着したせいで目立っている気がする。それか袴が珍しいからかも。みんなローブか鎧を着ているし。
「リーゼ!久しぶりだね。隣の彼女に自己紹介してもいいかい?」
「ライネスさん!お久しぶりです。ルピナス、彼はライネスといいます。プレイヤーの中で一番レベルが高いんですよ」
一番レベルがたかい!文字通りのトップ、すごいな。装備もかなり強そうだ。鎧と剣を持っている当たり多分前衛なんだろうけど、それでトップってすごい気がする。
だって種族が森人なのだ。耳が長いからわかりやすい。魔法に適した種族の森人はその反面接近戦が厳しいとAIさんが言っていた。
「初めまして。クラン『攻略し隊』のクランマスターをしているライネスだ。配信を見ていたのであなたのことは知っている。今後一緒に戦うこともあるだろう。よろしく頼む。それと、よければうちのクランに入らないか?」
「ルピナスです。こちらこそよろしく。クランのほうはまだ初心者だから考えさせてほしい」
「そうか、残念だ。ではまた会おう」
挨拶を終えたライネスさんは満足そうに戻っていった。多分周りにいる人たちがクランメンバーなんだろう。みんな強そうだ。
「ライネスさんは強そうな人を勧誘して攻略に命を賭けている方です。今回は控えたみたいですけど、いつかまた誘われると思いますよ。とはいえ乱暴なことはしないと思いますが。入らなくてよかったんですか?」
「うん。まだ初心者だし、リーゼといるのは楽しいからいいかなって」
「・・・そうですか」
トカゲたちはまだかな。背が低いとこういう時不便だ。せめて空でも飛べれば・・・あ、そうだ。良い魔法があった。
「リーゼ、私を敵だと思ってこれ読んで」
「え?はい?えっと・・・『風よ、地から沸き敵を浮遊させろ』」
よし、これで上から見下ろせる。おぉ・・・すごい。遠くにトカゲたちがいるのが見えたんだけど、それしか見えない。地面がトカゲで埋もれちゃっている。何匹いるんだろう。本当に。よし、見たいものは見れたので降りる。そんであの数はちょっと多いから、どうにかできるような範囲攻撃魔法創り。地面借りますね~。
「ちょっ、ちょっとルピナス!?何やっているんですか!?」
「?偵察したかった」
「いや、それはわかりましたけど・・・ああもう!次にああいうことをするときはほかに人がいないときにしてください!」
「?わかった」
何に怒ってるんだろ。緊張?
ヒント.袴




