クランハウスで説明会2
彼女の仕事は未来世界特有のお仕事だと思ってください。設定的に時代は結構先です。
「・・・開示する前に少しだけ私の話をさせてね」
私はデザイナーとして仕事をしているんだけどね。昔デザイナーとして仕事をしていた時、依頼者に贈り物をしたいということでデザインをお願いされたことがあったんだ。本人は手が不自由でデザインができなかったから、私に頼んだんだって。当時はまだ無名だった私に。
私はいつものように作った。一番きれいになるように。でも、それじゃダメだった。何故か聞いた。これが一番バランスが良くて、綺麗だと。だが依頼者は言った。確かに綺麗だ。でも感情がない。美しくない。
私は衝撃を受けた。これは依頼者が贈り物として贈るものだ。贈り物に大切なのはデザインのバランスや綺麗さではない。感情だ。私のしたデザインにはそれがなかった。ただ綺麗なだけだった。
私はもう一度作らせてくださいと頼んだ。依頼者は変わらず私に依頼してくれた。私は依頼者の感情をデザインに落とし込むため、たくさん話を聞いた。その相手の名前は?あなたにとってどんな人か?何年一緒にいる?最初はどう感じた?今はどう思っている?
依頼者は丁寧に答えてくれた。私がした数々の質問に、一つずつ、時間をかけて。私はそれらの感情をデザインに落とし込めた。デザインとして綺麗になるように。そして送り主に、依頼者の想いが伝わるように、と。
できたデザインは綺麗だったが、それだけじゃなかった。人の感情が乗ったそのデザインは、美しかった。依頼者はよく満足してくれた。
その人は今でも私に依頼をくれる。もちろん、急な仕事がない場合はなるべく優先するようにしている。
あなたたちはその大切な想いを理解している。きっとあなたたちは創ることができるだろう。あなたたちの想いがこもった、あなたたちだけの魔法を。ならば、私も出し惜しみはしない。あなたたちの想いにこたえたい。
「デザインするうえで、感情っていうのは思っている以上に大切なんだ。それはこのゲームで魔法を創るときも変わらない。私は文字を用いてデザインすることで魔法を創ってる。私はこの魔法にどんな感情を乗せる?想いがある?そういうのを込めることで、私は魔法を創ってる」
「感情・・・ですか」
「そうだね。わたしは魔法を創るとき、私自身の感情を乗せてデザインしてる。私がみんなに伝えることができる魔法構築のメソッドっていうのはこんな感じだと思う。・・・さぁ、それじゃあ私の魔法を見せるね」
私は見てみたい。私の考えを知ったあなたたちの魔法が、どんな風に変わるのか。だから私も、私の創った最大の魔法を見せるね。




