勧誘対策
「・・・正直、ちょっと行きたい気持ちはある」
「ッ本当ですか?ぜひお願いします!できれば一緒に魔法も創ってください!あ、もちろんリーゼも!」
正直行きたい。時間もまだ1時間程度なら余裕があるし、私以外の人がどんなふうに魔法を創っているのか興味はある。ただ、クランの人が全員このテンションだったらしんどい。10分もすれば疲れて寝ちゃいそう。
「リーゼ、行ってもいい?」
「私は構いませんが・・・マジーニア、ルピナスに迷惑をかけないでくださいね」
「もちろんです!それに、ここでルピナスさんが来てくれるのはルピナスさんの身を守ることにもつながると思います」
「「?」」
私の身を守るのにつながる?多分昨日のリーゼが話してた危険性についてだと思うんだけど、それがどうつながるんだろう。
「ルピナスさんがここで魔法構築のメソッドみたいなものを共有してくれるなら、それは多少の時間さえかければ自分で魔法を創ることも可能にします。ルピナスさんの能力が希少で狙われるなら、その能力を持つ人間を増やせばいいんです。そうして広まっていけば徐々にルピナスさんを狙うのも落ち着くと思います。もちろん、ルピナスさんが魔法構築のメソッドを公開してくれることが前提になりますが・・・」
なるほど、私の希少性を薄れさせるってことか。『魔法研究会』の人から私の魔法の創り方が流れれば、私をわざわざ勧誘する必要はなくなるし、何なら自分で作れるようになればいい。
もちろんそれを面倒くさがる人はいるだろうけど、そういう人はクランに入っていようと勧誘するでしょ。わざわざ私を勧誘する理由はない。
「なるほど。確かにそれはいいかもしれない。できれば私からもお願いさせてほしい。リーゼもついてきてくれる?」
「はい。もともと私が原因みたいな所もありますし、お供させてください」
「ありがとうございます!それじゃあついてきてください。少々歩きます。教会の近くにあるので」
教会!そんなのもあるのか。この世界にも神はいるだろうし、よくよく考えればないほうがおかしいのかも。そうだ。教会って神聖なイメージあるし、回復魔法とかないのかな。
「ね、教会って回復魔法とかないの?」
「回復魔法ですか。それと教会をつなげて考えた人は結構いるんですが、発見した人はいないですね。神父に聞いてもありませんとしか言われないので、多分ないんだと思います」
「そっか」
ないんだ、残念。あれば戦闘が楽になると思ったのに、これじゃあポーションを飲む以外方法がない。後はハティが持ってたようなスキル。あ、ハティで思いついた。
「リーゼ、配信っていつでもできるの?」
「配信ですか?一応できますけど・・・」
「本当?マジーニアさん、お願いしたいことができた」
「なんでしょう?」
どうせ私の魔法構築のメソッドとやらは遠からず広まるのだ。それを多少早くするくらい、問題ないだろう。




